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パッド

*ここに綴られているのは2014年5月〜7月に経験した、皆川暢二のアメリカ自転車8000kmの物語です。

2014年 5月7日 アメリカ自転車旅 7日目

朝6時30分起床。

てか、朝寒すぎっ!!

昼と夜〜早朝にかけての温度差がありすぐる。
朝は猫のように寝袋にくるまって起床。

再び自転車を修理していると、パッドが「おはよう」といって、コーヒーを持ってきてくれる。
パッドは修理に苦戦している自分を見て、近くの自転車屋まで車で送ると声をかけてくれた。

タイヤとチューブがうまくフィットせず困っていたので、連れてって下さいとお願いする。

車の中でパッドが、

「俺もお前みたいに15歳の時、ヒッチハイクでアメリカ縦断してたことがあるんだ」

と話し出した。


15歳か。。

15歳の時に日本を周ろうなんて思ったこともないし、まず日本周る前にアメリカ周っちゃってるし。そしてその当時は、アメリカなんて教科書の中だけの世界だと思ってた。海外旅行さえ行きたいと思ったことがなかったのに。

今こんなことしてるなんて去年の今頃、想像さえできなかった。

そんなパッドの過去の話を聞きながら、近くの町の自転車屋に到着。

タイヤにフィットする新しいチューブ購入。

そしてそのままこの町で降ろしてくれることになったんだけど、自分がお礼にお昼を奢らせて下さいと言って、近くのバーガーキングへ。

アメリカ人はやっぱり身体のサイズが全然違う。
進撃の巨人の世界観を感じる。お酒を買う時必ず身分証求められるし。

お会計になり自分が払おうとすると、パッドがサッと大きな手で自分を制し、自分に目でサインを送ったあと、スッとお金を払ってくれた。

ドックとシャロンの時と同様、自分はまた何も返せなかった。
逆にお礼という形で分かりやすく返せたほうが助かるなぁ。

一緒にハンバーグを食べながら、パッドが知っている日本語について話しをしていたんだけど、50年前なのによく単語を覚えていた。

50年前、パッドが沖縄にいた時の周りの日本人は英語を興味を持っていたが、日本語に興味を持つアメリカ人はあまりいなかったらしい。

当時、パッドは日本について興味を持った数少ないアメリカ人だったのかもしれない。

そしてパッドは3口でハンバーグ完食。

ちゃんと噛んで食べよう、パッド。

二人とも食べ終わり、パッドがハイウェイの近くまで送ってくれる。

自分がパッドに、

「5分だけ下さい」

と伝える。

タイミングがなく結局この瞬間しかなかったので、鶴を折る時間を貰う。

ハイウェイの入り口の路肩で、車がハイスピードでインしていく脇で、鶴を折る自分と車の荷台で待つパッド。

滑稽にも程がある。

人生で初めて高速道路の脇で鶴を折ってるので、焦りつつ、でも丁寧に作ろうと心掛ける。

パッドはそんな状況にお構いなしで、むしろ楽しんでいるようにも見える。

さすがドワーフ。

鶴ができたと同時にパッドが、

「思い出した!!!」

と当然言い出す。

何事かと思ったら、いきなり日本語の歌を歌い出した。

鼻歌でリズム的には演歌っぽい。

「分かるか!?この歌!!」

全く分からず。

きっと50年前に沖縄で覚えた歌だろう。

思い出したのが嬉しいのか、楽しそうに歌い続ける。

別れ際に完成した鶴を渡してお別れ。

ありがとうパッド。

パッドは姿が見えなくなるまで、車の荷台から自分を見送ってくれていた。


そこには少し愉快なドワーフの姿があった。


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