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救世主。

*ここに綴られているのは2014年5月〜7月に経験した、皆川暢二のアメリカ自転車8000kmの物語です。

2014年 5月6日 アメリカ自転車旅 5日目後半

雨の中での出発というのはモチベーションが難しいものがある。

そしてやはり、膝の状態も良くない。

ウダウダ言っても始まらないし、自分一人しかいないので誰も助けてはくれない。

とにかく漕ぐしかない!

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写真の標識がバイクルート。非常に助かる。

ただ数100m漕いだところで、膝の痛みが耐えれず、少し漕いでは歩くの繰り返しが続く。そして雨。

雨と膝の痛み。
こういう障害は逆に楽しみに変えたい所だが、その渦中にいる時は楽しめる余裕はない。
歯がゆさと悔しさがこみ上げながらとにかく耐えて進む。

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こんな道とか。
*標識の数字はマイル表記です

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こんな道とかがずっと続く。


午後になり晴れてきた所で、

ただのスタンドバイミー。

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線路見ただけで、スタンドバイミーと言ってしまう所がまだまだひよっ子ですね。

セントラリアという町に到着。

町から町への変わり目に突入した瞬間、景色はもちろん、匂いも変わる。

ほんの少しの変化かもしれないが、自転車だからこそ分かる体感がある。

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もう、これはわけ分からんやつ。


そんな苦しさの中と体感の変化を感じながら進み、時間はもう18時。

そこからは足の痛みがピークで、ずっと歩きながら進む。

すると一台の車が横に停まる。

「足大丈夫かい?良かったらウチに来るかい?」

話を聞くと、自分が足を引きづりながら自転車を押して歩いている姿を、車の中から一瞬見かけそのまま通り過ぎたんだけど、心配になってわざわざ戻ってきてくれたらしい。

でも、正直進まなければいけないため迷った。

でもそこでふと考えた。

ゴールも大事だけど過程も大事だと。
ゴールに捉われて、この出会いを無にしていいのかと。
ゴールと過程をひっくるめて最高の旅にしたい。


そして、お世話になることに。

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ドッグとシャロン。

ドッグは少しマイケルダグラスに似ている。

物腰の柔らかい雰囲気を持った2人。

この土地がらが反映してるのかな。

娘さんが2人いて、両方とも結婚してもう家にはいない。

25年ここセントラリアに住んでいる。
お世辞にも何か目立ったものがある町ではない。言い方は悪いが、人によっては平凡な町と言う人もいるだろう。ドッグとシャロンの家にはネットもTVもない。

それでも2人は楽しそうに見える。

人にとっての幸せは色々な形がある。
他人の幸せを自分の物差しで計ってはいけないんだろうな。


夕食も作ってくれて、一緒に食べながら話してるとシャロンがボソッとこう言った。


「time goes fast.」 

時が進むのは早い。


娘が2人、孫が7人もいる。
娘の結婚、出産、孫の成長。
色々なことが一気に過ぎていくと。


少し感慨深く、そして少し寂しくも見えた。

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ここは家の庭からの風景。

家の中で寝ていいと言われたんだけど、遠慮して庭にテントを立てて寝ることに。

夕飯、そしてお風呂まで入らしてくれて、なおかつ湯船に浸かれる。
アメリカの人達は習慣として湯船を溜める習慣はないんだけど、ドッグが自分の身体を考慮して、ゆっくりお湯に身体を浸けて休めなさいと言ってくれた。


アメリカさん、とりあえず銭湯作って下さい。


アメリカに入って初めて、長時間ここまで密に人と関わった。
優しさがこんなに身体に染みるとは。


きっと知らない人を泊めるということは勇気のいること。いくら自分が大変な様子だったとしてもなかなかできることではない。しかも異国の得体の知れない人間だ。


ありがとうって言葉だけじゃ虚しくなってくる。


清々しく起きれた朝、朝食もご馳走になり、今日自分が辿る予定のルートも一緒に考えてくれる。そして気づいたらドッグが、自転車に空気を入れてくれていた。

ドッグも今はやらないが昔は自転車乗りだったらしい。

シャロンがドッグのチャリダー時代の写真を見せてくれる。

笑いながら喋るシャロンの小皺が目立つ。
それさえも愛くるしく感じるほど柔和な表情。

本当に楽しそうにドッグのことを話す。

その瞬間、涙腺に涙が溜まる。


自分でも理由が分からないんだけど、ふとこみ上げてしまった。

なんでだろう。


別れ際、プロテインバー・フルーツ等、食料も持たしてくれて、抱擁して別れる。

別れとは感じさせない、自然な流れのように。


そして最後に鶴を渡す。


ドッグとシャロン、


柔らかい風を吹き込んでくれてありがとうございました。


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