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父と私の桜尾通り商店街

今村夏子 2019年

・あらすじ
父のパン屋は人気がなく売れない。母が出て行ってから、半分以上も売れ残る。父も高齢で体力に限界を感じ、残りの材料をすべて使い果たしたところで店仕舞をすると決めた。そんなある日、見知らぬ女の人が店を訪れた。彼女は、いちごジャムとマーガリンのコッペパンを気に入ったようだ・・・。

些細なことから暴走を始めてしまう人たちを描いた、全7篇の短編小説集。

・感想
今村さんの作品はデビュー作の「こちらあみ子」をすでに読了し、これで2作目です。家族が読んでいたのが気になって借りてきました。

この本は全7篇の短編小説からなる小説集です。その中でも「モグラハウスの扉」はとても印象的な話でした。子ども心に応える大人の姿がとてもよくて、それを本当に信じ込んでしまう一部の子ども達も可愛かったです。

全体的に些細なことから暴走を始めてしまう人たちを重点に置いて書かれた話でした。読んでいるときも、ちょっとしたことから難しそうなことを始めたり、危険なことをしたりといったことが読み取れました。人は理性が無くなると、良い事でも悪いことも関係なく、何でもやってしまうという恐ろしさを感じました。

・書籍情報
この本は2019年2月に単行本として発売。「冬の夜」を新たに収録し2022年1月に文庫化されました。

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