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君たちはどう生きるか

吉野源三郎 1937年

・あらすじ

著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかに生くべきかと問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問わねばならぬ、というメッセージであった。著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載。

『君たちはどう生きるか』表紙より引用

・感想

去年、宮崎駿さんのスタジオジブリによって映画化されましたよね。公開されたとき、受験でかなり忙しかった時で観れませんでしたが、気になっていました。今月になって母が原作をもっていることを知ったので借りました。

1937年の日本が舞台です。「コペルくん」と呼ばれた中学生が主人公。何もわからない子どもから、幾多の苦難を経験して大人になる精神的成長を描いた作品です。この作品自体ももとは戦前に発表された作品のようで、まだまだ軍国主義だった日本の学校の様子が描かれていました。

作中には章の最後に叔父さんの手紙が書かれております。その手紙の内容が本当に共感する内容ばかりでした。「昔の学者は何かを不思議に思ったら、深く調べていたからあそこまでの偉業を果たせたのだ」、「調子に乗った王様は最終的に自分にすべて降りかかってくるんだ」、こういったことを踏まえた上で、コペルくんに「こういう人間になりなさい」と話している手紙は現代を生きる私たちにも大きく響く言葉だと感じました。小説なのにとても教育的だと思いました。本当に戦前に書かれたものなのかと感じるとともに、文章が世代を超えて多くの人の心に響くとはこういうことなのかとも感じました。

また、上級生と下級生のにらみ合いや争いは今以上に凄まじいもののようでした。上下関係が絶対だといえるような、なかなかなものであり上級生に逆らったり、少しでも気にいられなかったりするとすぐに殴られたりして大変な様子も描かれていました。ちょっと気に入らないことがあるだけですぐに殴られる。やっぱり凄まじいですよね。そう考えると、今の時代に生まれてよかったと思いました。

映画のほうも気になりますが、もう公開からだいぶたってしまっているので、多分映画館に行っても観れないような気がします。機会があればNetflixなどで観れたらと思います。

・書籍情報

君たちはどう生きるか 吉野源三郎
初版刊行:1982年11月16日
刊行元:岩波書店
定価:本体970円+税
ISBN978-4-00-331581-1
備考
底本:『君たちはどう生きるか』(新潮社 1937年刊)

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