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#003|-1億円の赤字決算から、+3億円の黒字決算への軌跡

※ご注意点:本文中の事業データ(数値)について
いつもnoteをご覧いただき、誠にありがとうございます。本記事における、売上や契約率などのデータは実際にプロジェクト内で使用したものとは異なります。記事の趣旨を明快に伝え、生み出したビジネスインパクトの大きさを感じていただくための架空の数値です。こちらの点のみ、お気をつけいただければ幸いです。

【はじめに】

こんにちわ。EDIIT Inc.・CEOの榎本です。前回の記事「手法ではなく、ブレイクスルーを売る」では課題に対して、手法に縛られない当社のソリューションモデルについてお話をさせていただきました。

今回はその後半の物語。冒頭にまず、顧客であるエステサロン企業で起きていたコンバージョンフローを可視化してみました。

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さらに労働環境との相関性を紐解いてみると・・・

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結果的に驚くほどの低単価でサービスを提供していたことになってしまっていたのです。仮に単月1,000件の来店で10%の契約率だとすれば、900件は機会損失であり、また労働環境への悪影響も小さくはありませんでした。

こうした負を解決するため、まずは、実現したい世界観を仮説立てしました。

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この見立てには、

「通い続けたくなるだけのサービスレベルの高さがある」

ことが前提になります。同社のサービスがカスタマーからどう見られているかを紐解き、事実や一次情報を取得した上でプロとしての分析が必須。

後編の今回はEDIIT Inc.によるクライアント企業の分析から、ビジネスインパクトが生まれるまでの物語についてお話させてください。

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01.夢中になれる感性を信じる

分析には他のメンバーの協力を仰ぎました。メンバーをアサインする場合、実績と専門性があれば問題ないと考えがちですが、私の場合はこれに加え

           ”その案件に夢中になれるか”

も重視しています。というのも、経験やスキルだけではブレイクスルーにたどり着くのは難しい。

向上心。好奇心。そして、依頼主へのリスペクト。

クライアント企業に感情移入し、楽しみ、120%の力を発揮してもらうためには、文化祭の準備をしている時のような高揚感が必要です。

「この仕事はこのくらいで」と及第点を決めず、その先へ行こうとする意志を感じるメンバーと共に分析を遂行するための提案書づくりを始めました。

02.成功の機運を高めた、分析結果

    「カスタマー目線で、サービスを見つめ直しませんか」

グループインタビューやアンケート調査はもちろん、様々な角度から分析を進める計画に専務も即決。チーム内では想像以上のアウトプットが上がってきました。例えば、分析の粒度。

競合になりうるエステサロンのサービスを受け、その品質を細かく分析するモチベーショングラフでは、来店前から来店後に至るまで40〜50もの所感が書き込まれています。

「サービスを経験したお客様」ではなく「マーケティングのプロ」としてのアウトプットは、専務の目を引きつけ、活発な議論を生み出しました。

さらに専務にはマジックミラーごしのグループインタビューにもご同席いただき、カスタマーのナマの声にも触れていただきました。

感情やファクトを網羅的に集め、整理することで思い込みを排除した「現状」が浮き彫りになりました。起きていたのは、

「低単価・高品質のサービスが、モチベーションの低いカスタマーを集客するエンジンになっている」

ことだったのです。一度、サービスを受けたら満足して再訪がない。それは決してサービスの質が低かったからではありませんでした。

  「通いつづけたくなる高品質のサービスを、高単価で提供しよう」

と、プロジェクト内の成功の機運が高まり始めました。優れた分析はチームの精神的な支柱になることを、あらためて認識しました。

03.-1億円から+3億円へ

見えてきた事業サクセスへの道のり。巷では、

          「モノよりも体験に投資したい」
        「良いサービスは積極的に人に伝えたい」

という声もあふれ、楽観視はできないものの、高単価・高品質のエステサービスへの追い風はますます強くなってきた印象がありました。

とは言っても、大胆な舵きり。理にかなっている方へ進んでいると分かっても、慎重にならざるを得ません。

様々な議論の結果、価格は数百円から数千円へ引き上げることに。中にはサービスの中身を大幅に充実させた、10倍の価格のプランも用意。

検討を重ねましたが、やはりリリース前にはチーム全体に緊張感がありました。それでも

「成功が100%約束されているわけじゃない。でもやるしかない」

という覚悟で大きな一歩を踏み出したのです。

その結果は想像以上でした。年間1億円だった赤字が、なんと、3億円の黒字へ大転換(+4億円)。高単価・高品質にしたおかげで、真剣にエステサロンを利用したいカスタマーの心をつかんだのです。

心の奥底からこみ上げる、言葉にならない嬉しさ。専務からも数えきれないほど感謝の言葉をいただきました。

         「みなさんを信用していましたから」

その言葉が、何度、私たちの底力を引き出してくれたか。貢献できたのは、専務が本気になってくれたことが大きかったと、今でも思っています。

04.社長へと昇格した専務が、今、コロナに挑む

高単価・高品質戦略は、売上や利益だけではなく、狙い通り、エステティシャンを長時間労働から開放させていきました。

仮説が証明されていくプロセスは何度経験しても気持ちのいいものです。

本来はこの後、組織改革に着手するのですが、こちらについては別の記事としてしっかりとご説明させていただきます。

人事制度も整い、課題としていた離職率も下がり始め、会社としてさらに勢いをつけていこうとした同エステサロン企業。

それはちょうど、新型コロナが世界的に猛威をふるい始めていた頃でした。

緊急事態宣言が発令され、飲食店はもちろん、エステサロン業界もダメージは甚大。一通りの施策が終え、専務ともあまり連絡を取り合っていなかったので

「大丈夫かな・・・」

と、心配になりました。

しかし、経営者としては私以上に豊富な知識や経験をお持ちの方です。何よりあのタフなプロジェクトを1年以上に渡ってご一緒していただいた。

    「ピンチの時こそ、人も、会社も試されるんですよね」

と話していた専務の言葉がよみがえりました。きっと大丈夫。

事実、同社はコロナ禍でも、たくましく事業を展開していました。経営への致命的なダメージもなかったと聞きました。

         「どんな魔法を使ったんですか?」

と、尋ねたところ、

「特別なことはしていません。顧客に向き合い、従業員に向き合うこと。自分の信念に基づいて、やるべきことを一つずつやっただけです」

と、すぐにお返事が返ってきました。

カスタマーや従業員に対する安心・安全対策はもちろん、コロナ禍の補助金・助成金に対しても早々に手を打っていました。また既存のお客様からの信頼が厚く、エステ通いを完全に辞める方が出てこなかったのです。

そこにもうかつての赤字企業の姿はどこにもありませんでした。逆境にも負けない会社へと成長させた立役者として専務は社長に昇格。絶対的なリーダーを得た同社の勢いはさらに加速しています。

自信に満ち溢れていた社長の話ぶりからは明るい未来を感じました。

●編集後記:再現性の高いノウハウを

記事を最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。クライアント企業に対する貢献や、その中での考え方をお伝えしていく中で

        「そうか、こうやればうまくいくのか」

と、ふだんのお仕事のヒントになればと、僭越ながら思っております。特に今回からは前半部分で、私たちの考え方をお伝えするための概念図もご用意いたしました。

今後とも皆様の気づきになるようなお話がお伝えできればと思っております。次回の更新もどうぞ、お楽しみになさってください。

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