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#002|手法ではなく、ブレイクスルーを売る。

【はじめに:予想以上の反響への感謝】

こんにちわ。EDIIT Inc.・CEOの榎本です。前回、初めて投稿した記事「ノウハウよりも、美学で戦え。」に予想以上の反響をいただき、非常に驚いています。

自分自身のビジネススタンスを構造化・言語化する過程で、第三者への情報発信を試みたのですが、知り合いはもちろん、そうではない方からもリアクションをいただき光栄に思います。

皆様からのフィードバックはこれまでの歩みを振り返り、内省するには欠かせません。よろしければ、引き続き、コメントなど頂戴できればと思います。

さて今回は当社が提供するバリュー「ブレイクスルー」についてのお話です。2話構成の前編。実際の案件のお話も出てきますので、ぜひ、ご注目ください。それではどうぞ!


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01.注文通りの仕事では、ブレイクスルーに至らない。

弊社EDIIT Inc.の商品は、本質的にはひとつだけです。

事業を軌道に乗せたり、経営のコンディションを大きく上向かせたりする劇的な状況変化「ブレイクスルー」です。

かつて「大改造!!劇的ビフォアアフター」というテレビ番組がありました。匠と呼ばれるリノベーションのプロが、施主さんの悩みや夢を、相手以上に深く考え、試行錯誤し「これだ!」という仕上がりまで持っていく構成です。施工後、感動のあまり涙するご家族の姿に心を打たれた方も少なくないのではないでしょう。

ただ「この屋根の色を変えて欲しい」「この壁を取っ払って欲しい」という注文に、そのまま応えただけではこうはならないはずです。専門家の叡智が集まり、圧倒的な情熱で問題にアプローチすること。それが思ってもいないような解決策を導き、人の心を揺さぶる結果になるのではないでしょうか。

注文に応える。手法を売る。そうではなく、様々な専門家たちがそれぞれの視点から問題点を探り、圧倒的な当事者意識で解決策を編み出していく。この泥臭さがブレイクスルーへの唯一の道のりだと考えています。

02.信頼する仲間に、上流工程から参加してもらう。

優れたビジネスパーソンはそれがどんな分野の人であれ、限られた情報から課題を予測し、分析する力に長けているように思います。

例えば、WEB制作。具体的につくるものの仕様が細かく決まっていなくても、優秀なプロデューサーやディレクターは、現状を把握することによって、課題や、解決までの筋道、目的達成確度を見立てることができます。

彼らのようなプレイヤーが上流工程から参加できるようにするため、クライアント企業の情報を徹底的に集め、そのノウハウや稼働に対して予算を確保するのが私の仕事。エグゼキュージョンではなく、前段のプランニング段階から参加し、目の前の状況を多面的に分析できる環境を整えます。

かつては【ワンストップソリューション】という言葉が流行り、一社ですべてを解決できましたが、昨今はAIやビッグデータなど、世界が激変する過渡期にある現代では、それもかなり難しくなりました。専門性が多岐に渡っているのです。

私一人ですべてを掌握するのははっきり言って無理です。課題をクリティカルに解決するチームを組み立てるには、フリーランスや副業、少数精鋭企業でご活躍されている方との協業が必要不可欠

今回の記事では実案件をもとに人物目線でのブレイクスルーについて解説します。ただし、実際の事業データは記載できませんので、下記の数値はすべて本稿の趣旨を伝えやすくするための架空のものです。ご了承ください。

03.不安になるのは、夢中になっていないから。

首都圏を中心に数十店舗を展開する、弊社クライアントのエステサロン。LA時代のご縁で「相談に乗ってくれないか」と、友人から声をかけてもらいました。

施術をするエステティシャンの離職率が高く、売上や利益も思ったように伸びない。まさに八方塞がりの状況だったと友人から聞きました。

私にエステサロンのご支援実績はありません。それでもこの貴重な機会に

「社史に残る仕事に仕上げてみせる」

と、胸を高鳴らせていました。

エステ業界の知見がないとは言え、物事を構造化・数値化し、解決までの筋道を見立て、実行することはどんなビジネスでも同じ。スキームやマインドセットは横展開できる。私には計算がありました。

足りないものは死ぬ気で勉強するか、プロの力を借りるかすればいい。不思議と不安はありませんでした。

むしろ、

「クライアント企業様が本質的には何に困っていらっしゃるのか」
「どんなキャラクターの経営者がビジネスをしているのか」
「どんなお客様に、どんな価値をご提供していきたいのか」

純粋な好奇心と「どんな手を使ってもやりきって見せる」という覚悟だけが私を突き動かしていました。少年漫画の主人公が旅立つ時の「俺はやるぞ!」とこぶしを握りしめる、ワクワクした気持ちに似たものがあったと思います。

04.心をハダカにする、感情移入

そして訪れた専務との初対面。2017年の話ですが、当時のことは鮮明に覚えています。

いろいろと情報をお聞かせいただく前に心を開いてもらわなければいけない。開口一番、私の主張は次の3つでした。

「キレイごとじゃなくて、信念を持って御社を変えたい」
「結果が出るなら、何でもやらせてほしい」
「御社に負担をかけることがあると思うが、信じてついてきてほしい」

何ができるのか、という話ではなく、どういうつもりで仕事を引き受けようとしているのかを徹底的にお話させてもらったことを覚えています。ソリューションではなく姿勢の話です。

熱量を感じられない相手に誰が自社の悩み事を伝える気になるでしょうか。提案時だけではなく、ヒアリング時もこちらの本気度を伝えることが、プロジェクトの質を上げます。

理路整然としたお話ができていなかったもしれませんが、その想いを感じとっていただけたのか、専務からは、現状に対するブレイクスルーの糸口が自分だけでは見つけられずじまいにいることを、ストレートに伝えてもらいました。

それでも彼の目は静かに燃えていました。かつてブライダルジュエリー専門店の経営を立て直したプロ経営者。飾らない一言一言から感じられた強烈な目的意識。信念。同じ経営者として震えました。

「現場社員の人生をどうすれば幸せにできるのか」
「できなかった、はない。必ずやりきるので力を貸して欲しい」

これらは今でも強く残っている言葉です。これほどまで心を奪われる人が本気になっている。力になれなければ恥ずかしくてしょうがない。こうしてエステサロン案件の幕が上がりました。

05.労働環境の見直し=ビジネスモデルの見直し

エステ業界は労働集約型を基本としたビジネスモデルです。同社では「100人採用すれば、100人辞める」と言われ、この人材流動性は致命的でした。採用コストも育成コストも軽く見ることはできない。まず考えたのは

「そもそもなぜ、離職率が高いのだろうか」

ということです。一般的には労働時間の長さによる疲労や、先の見えないキャリアへの不安など、過酷な労働環境が原因になりえます。

だとするならビジネスモデルの見直しが急務。労働時間を短くし、利益を今と同じか、それ以上の数字に上げていくにはどうすればいいか。まずはここに向き合うことに決めました。

「いやいや、現場のエステティシャン、がんばれよ」

という根性論は余計に疲弊し、長続きしません。考察はいつも根性ではなく、科学をもとに進めます。

売上は来店客数×客単価。客数は新規とリピート(再訪)に分かれます。同社は当時、新規顧客に対する体験のハードルを下げるため、数百円のトライアルプランを販売していました。トライアルと言っても、お一人70、80分のしっかりした施術。素人目に見ても金額に倍する価値を提供していることは明らかでした。

ですが、数百円でご来店されたお客様がリピートせず、自らのサービスを安売りしているにすぎないことが分かったのです。客単価が安いわけですから、これではエステティシャンの労働時間が膨れ上がるのも無理はありません。

病の本質が明らかになり始めました。

<解決編は次回、掲載>

●編集後記:解決に向けて、手段を選ばない覚悟

振り返ると、あらためてEDIIT Inc.が大切にすべきは「解決のために手段を選ばないスタイルだ」と思えるようになりました。

当社が研修会社なら、最後の段落にあった「労働環境の見直し」は研修企画だけでしかご支援できない。

売上になるからいいじゃん」と思う方もいるかもしれませんが、私は「その会社にとって何か意味があったの?」と思ってしまう。

商品を売ってお金をいただくのがビジネスの基本ですが、相手を幸せにするのかを真剣に考えなければ長続きしない。BtoB領域で言えば、クライアント企業を中長期的に勝たせるアイデアを出し、実行支援までできるかどうか。これがすべてだと思います。

その一端が少しでも伝わればと思い、今回のnoteは筆を取りました。次回は解決に向けた物語が始まります。ぜひ、ご期待ください。

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