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【詩】 朝靄はポンテケージョの香り 他1編
爽やかで、日も長く、暑すぎず寒すぎない5月が好きで、こういう気候がずっと続けばいいなと思いながら過ごしています。
さて、「今月の詩」のコーナーです。
楽しんでいただけたら嬉しいです。
「朝靄はポンテケージョの香り」
ホラー映画を観た翌朝は
意外にもすっきりした気分だった
窓を開けると高原の風が吹き抜ける
ちょうど家族でドライブをした日と同じ気候で
20年前を昨日のことのように思い出した
後部座席から 5月の風景を逆さまにして見た
新緑が光の中を踊っていて
祖母はたくさんの季節の歌を教えてくれた
田園の香りは押し花にして
そっと心の中にピン留めしておく
牧場の隣に霞む山小屋で買ったポンテケージョが
この世界の何よりも優しいような気がした
ひとりでは大きすぎる部屋にも
朝は必ずやってくる
口いっぱいに広がるショコラとブラックカラント
頬張って思った
帆を高く上げて 靄の中を突き進め
忘れられた世界の唯一を暴くように
波に飲まれそうでも 目を逸らしたくても
![](https://assets.st-note.com/img/1683558012848-2l5mCFbl8d.jpg?width=800)
「サイパン」
夜の道に踊り出たい
車の通りのない 椰子の木が思い思いに立ち並ぶ面白い道
それは 2005年のサイパンの夜だった
闇を恐れずに街灯は息を吐いている
わたし以外には誰もいない
ひっくり返ったボートの廃墟はいつまでも波打ち際で朝を待つ
朝が来たら 今度は昼まで眠るつもりだ
真夏の果実の香りは神秘的な顔をして 円やかに風に乗る
そんな夜の街に踊り出て
誰もいない喜びと 淋しさと 楽しさを噛み締めたい
サイパンの空気が吸いたい あわよくば夜の
![](https://assets.st-note.com/img/1683555558016-yMWckeew3S.jpg?width=800)
最後に
一かけらの今様の「彼と彼女のソネット」 5月の恋愛詩として「海の鼓動」を選んでいただきました。ありがとうございます!
素敵な写真と共にサイトに載せてくださったのも、たくさん読んでいただけたのもとても嬉しく、ひとりひっそり部屋でガッツポーズをしておりました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
良い5月を過ごしましょうね。
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