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伝説の夜(ミッシェルガンエレファントとの出会い)

2つ目の私のロックの原体験について記す。
実は、これは私がビートルズに出会ったのよりも前の出来事である。
あれは、私が小学3年生の6月末、金曜日のことだった。スイミングスクールを終えて、晩ごはんを食べながらいつもよりものんびりとした時間を過ごすというのが我々家族の定番の過ごし方だった。
その日見ていたのはミュージックステーション。様々なアーティストが楽曲を披露するため、当時あまり音楽に詳しくない私も楽しみだった番組だ。そして何より、タモリさんのトークが好きだった。
その日も様々なアーティストがひな壇から登場してきた。一際大きな声援を送られていたのはロシアから来たというアイドルユニットだった。
番組が進んで行くと、何やら様子がおかしい。アイドルユニットがいないのだ。
代わりにロックバンドが2度目の演奏を行い、波乱の生放送は大盛り上がりで締めくくられた。当時のことを私は日記にこう記していた。

「代わりに出てきたスーツをきた バンドの人たちが2きょく えんそうして すごかったです。」
  
そのバンドこそが、ミッシェル・ガン・エレファントであった。当時はまだロックを聞いていなかったから、よく分からなかったものの、轟音のギターやしゃがれた声のボーカルで食卓が大盛り上がりしたことを覚えている。そして、普段あまりロックを聞かない父が
「この兄ちゃんたち、やるなあ」
と呟いたのも覚えていた。男4人のパワフルな生演奏にやられてしまったようだ。

時は流れつい先日、動画サイトに当時の放送が上がっていたのを見つけて見ていたら、何だか懐かしくなった。このことは、「t.A.T.uドタキャン事件」として、様々なメディアやインフルエンサーによって取り上げられている。私も、改めて動画を見返して思ったことをここに記す。

1 ウエノコウジのトーク
t.A.T.uが楽屋から出てこなくなったことから、場をつなぐ必要が出てきた。そこで、ベースのウエノコウジがデビュー前に鰻屋さんでバイトしていたときのことを話していた。鰻をさばくのが難しいこと、焼くのが上手になるのにも時間がかかることなどを詳しく楽しく話してくれた。タモリさんもそのトークを上手に拾いながら、緊迫した場面を和ませていた。

2 2曲目のテンポ
急遽、2曲目に演奏することになった「ミッドナイト クラクション ベイビー」は、ミッシェルの曲の中ではそこまでテンポが早くない曲である。しかし、番組の尺が原曲よりも短かったため、ペースを上げて演奏したのだ。
アベフトシのギターリフから始まるのだが、このリフも通常より早く、後に入ってくるクハラさんのドラムも微調整をかけるように更にテンポを上げ、結果としてとても躍動感のある演奏となっていた。

私がロックバンドを好きな理由はたくさんあるが、1つは、この「生身の人間の対応力」を間近で感じられるからではないかと思う。目の前の観客に自分たちの思いを伝えるために、様々な方法を駆使してパフォーマンスを披露する。その中でハプニングが生じることもあるだろう、その時垣間見えるミュージシャンの底力に心動かされる場面もあると思う。

私は決して器用な人間ではないが、ロックに突き動かされて生きる人間の1人として、自分の持つ「底力」を信じて、音楽にも仕事にも、日々の暮らしにも向き合っていきたい。

最後に、チバさん、どうかご自愛ください。そしてステージでお見かけできる日を待っています。

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