台風19号から1年。被災地で暮らす高校生

2020年10月11日。台風19号の災害から1年が経とうとしていた日。
被災地の長野市長沼支所では、午前に「追悼と復興のつどい」が開かれ、約500人の住民の方々が参加されていました。
この日の午後、長沼支所を訪れた取材班は、仮設の長沼支所前に座って話をしていた高校生に出会いました。

図1

新築はどんどん完成していくのに、リフォームが終わらない。

高校生は、「追悼と復興のつどい」参加し、周りのお友達と世間話をしていたそうです。
「災害時はどうでしたか? 今はどうですか?」とたずねると、災害当時、家は1階部分が浸水してしまい、お母さんの実家に避難。その後、ライフラインが復旧したタイミングで、家の2階部分だけで生活をしているそうで、1階はまだリフォームの途中。周りの新築の家はどんどん完成していくのに、リフォームがなかなか終わらないそうです。

「家族の人数は変わっていないのに、2階部分だけで家族全員が暮らすのはとても狭く、学生だから勉強もしたいのに、生活音がしてなかなか勉強に集中できず、いろいろストレスが溜まっていて、話せば愚痴しか出てきません。」

いくら家族とはいえ、1人になりたい時があるのは、誰しも感じた事があると思います。災害はそういった息抜きの場所もなくなってしまう。ただでさえ被災して、不自由な生活を余儀なくされているなかで、追い打ちをかけるようなストレス。耐え難いものがあると思います。

図2

長野市消防団 長沼分団の施設

図3

決壊した千曲川の堤防にはまだ土嚢が並べられています。

台風19号から1年。街の復興状況は……。

そして、台風災害から1年が経って、街の復興状況について感想を聞くと……。

「少しずつだと思います。だけど、災害後すぐの景色はうろ覚えです。」

「時々、小学生の時の通学路を通ると、家があったはずのところに家がなくなってしまっていて、景色が変わってしまいました。今は、地元の方より建築関係の方をよく見かけます。きっと、地元の方より多くいると思います。」

国道18号から、長沼の住宅地を通って長沼支所に向かう途中、住宅地の間に、更地になっていたところが何カ所もありました。
土がキレイにならされ重機が置いてある場所など、そこにはきっと住宅があったのでしょう。たしかに、地元の方はほとんど見かけませんでしたが、建築業者の方はあちこちで見かけました。

図4

図5

ハード面もソフト面も、まだまだこれから。

今回は、高校生にお話を聞くことができました。
高校生は、言うなれば子どもと大人の狭間。複雑な時期だと思います。子どもの様に、嫌だ!嫌い!と、簡単に自分の気持ちをぶつけられないで、たくさん我慢していると思います。毎日もんもんとストレスを抱えているなかで、ふら~っと外からやって来た取材班に本音を話してくれたと思っています。外の人間だから話やすかったんでしょうね。

高校生の話を聞いて、被災地復興は、心のケアもしていかないと復興とは言えないと思いました。不満やストレスを発散する場所も必要だと思います。

被災地の皆さんがどんな気持ちで生活しているのか?
今後も伝えていきたいと思います。