台風19号の被害を乗り越えた、美しい紅葉

日差しが心地よく暖かさを感じる秋晴れの11月中旬。
長野市若穂保科にある清水寺(せいすいじ)の紅葉が見ごろを迎え、境内にある約200本のカエデやもみじが赤や黄色に染まり、背の高い木々が参道に色鮮やかなトンネルをつくって、訪れる人を楽しませていました。
なかには七五三の写真を撮りに来られた家族もいらっしゃって、紅く染まったカエデと素敵な着物の女の子に、思わず取材班も笑顔になってしまいました。

しかし、実は、この清水寺も1年前の令和元年東日本台風に被災していたのです。

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住職自ら重機を使って復興作業

清水寺は、裏山から噴き出した泥水の影響などから、約20本の木が倒れ、参道の石段が一部崩れてしまう被害に遭いました。

そこで、住職自らが重機を使って石段を修復したり、新たに60本のもみじを植えるなどの復興作業をされたそうです。参道の石段は、一部はまだ不揃いのままになっていて、被害の爪痕が見られましたが、これからも時間をかけて少しずつ作業を進めていかれるそうです。

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紅葉を見に訪れていた方にお話を聞いてみると、

「紅葉がキレイなスポットと聞いて初めて来ました。とても綺麗ですね。台風の被害があったとは知らなかったです。言われてみれば、所々階段が壊れているところがありましたね」

「台風災害前は清水寺に頻繁に散歩に来ていましたが、今日久しぶりに来ました。今年もキレイな紅葉が見られてよかったです。ここが被害に遭ったのは知らなかったです」

と、清水寺が被災したことは、あまり知られていませんでした。
見上げる景色と、足元の景色の大きなギャップに、少し複雑な気持ちになってしまいました。

報道される被害状況はごく一部

清水寺のように、昔から多くの方に親しまれている場所でさえも、被害にあったことを知られていません。
それでも、また多くの方に清水寺に来て欲しいと願って、今も地道に復興に向けて作業されている方がいらっしゃいます。
台風災害から1年、この美しい景色のうらには、住職をはじめとした関係者の想いが込められていました。

今回の取材を通して、「うちも被災しました! 頑張って復興作業を進めています!」と、自ら発信することが苦手な人たちがたくさんいらっしゃることを知りました。
少しでも声が届けば、支援してくれる方、応援してくれる方があらわれて、復興がもっと前に進むと思います。

これからもこうした声をできる限り多く届けられるよう取り組んでいきます。

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清水寺を支える方々の努力の証