見知らぬ部屋へようこそ。
私は今日、”知っている”誰かが作った文章を読んだ。
こっそりとその文章に足を踏み入れて、こっそりとその世界を旅する。
”知っている”人間の、知らない部分に、私は触れた。
例えていうと、実家に見知らぬ隠し部屋があったぐらいの驚きがあった。
私はそれが嬉しかった。
今まで知っていたのは、たくさんある部屋のうちの一つにすぎなかったのだ。
その人には、まだまだ知らない部屋がある。
一つ文章を読むたびに、また違う部屋に遊びに行ける。
なんて、人間は面白い生き物なのだろう。
なるほど。
だからこうして、私たちは、何かを作らずにはいられないのだ。
私たちは、今日もせっせと部屋を作る。
どこからか湧いてくる衝動に駆られて。
炊き立てのご飯をそのままに。
早くお風呂に入らなきゃいけないのに。
目が少しかすんでも。
私たちは、今日もせっせと部屋を作る。
こっそりやってくる、愛おしい貴方のために。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?