私と大学院⑨
大学院4年次生になっても、仏教文化について、研究したいという気持ちはあるのに、具体的なテーマは見つからなかった。
いつも籠る図書館で、仏教の歴史から、仏像、仏画や仏教に関する資料は、くまなく虱潰しで探して目を通した。
それでも、漠然としたままだった。
そもそも、仏教文化が好きなのであれば、仏教のことを学べる大学に進学すれば良かったのだが、既にこの時点で悔やんでも仕方ない。
ただ、大学院の教授の講義を傾聴する機会に会えたことは幸いであった。
日本史や日本文化史についてさえ、浅い知識しかなかった私にとって、古文書や日本史学の先行研究の論文を読むことは、私にとって刺激的である。
崩し文字や古文書の独特な読み方については全くの無知であったが、教授の読み方を見習って、ある意味、高校以来の古文の勉強にもなった。
肝心の研究テーマについては、よくやるキーワードをぽいぽいと紙に書いて、線で繋ぐアイデア法。これを用いて、あれこれと頭を捻った。
この方法も、大学院の教授がやっていたことで、初めてアポをとって面談した時、教授がずっと私の話を聞いたり進めたりする時に、紙にキーワードを書き、関連性のあるものには、線を繋いでいた。
『変わったことする教授だな』と終始思っていた。
これまでいろんな講義を受けてきたが、教授のような話を進めながらキーワードを紙の上で整理するというのは、私にとって、初めての光景であった。
しかしながら、いざこの方法が、後の研究テーマから、修士論文の構成等で、非常に助かる方法になったのである。
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