雑記06 宮本亜門氏の本から インド渡航についての話

宮本亜門氏の バタアシ人生という本を昔読んだ。
その中で、インドに渡航した経験が豊富な人物と宮本亜門氏の対談が掲載されていた。

対談の前に、宮本亜門氏は、インド経験豊富なその人物に、『自分はインドに興味があるが あまりインドについて知らないから色々教えて欲しいです。』と頼んだらしい。
その時点では宮本亜門氏はインドに行ったことがなかった。

インド経験豊富なその人物は、インドに行ったことのない人に何から何まで説明するのが面倒で、それに根本的に伝わらないことも多いと思い、『インドについて知りたければ、まず自分でインドに行ってみてもらって、その後で 一緒にインドについて話し合いましょう。』という趣旨のことを話したらしい。

それを聞いて、宮本亜門氏はインドにとにかく行ってみることに決めて、実際に渡航して、帰国してから、その人物のもとを再び訪ねたらしい。
その結果として、両者共に満足行く話し合いができたらしい。

そのインド経験豊富な人物の名前は思い出せない。

この話を自分は時々思い出す。
ある種の経験について人と話し合おうとした時に、2人のうち、片方しかその事象について経験したことがないと、思っている以上に いくら説明しても伝わらないことがある。

歌舞伎俳優の海老蔵氏が 『大きな病気を経験したことのある人をこそ自分は信頼する。』
(大きな病気や怪我を経験したことのない人とは ある水準以上には深い仲にはなれないように思う。)  という趣旨だと解釈していいような発言をしていたように思う。
そのことも同時に自分は思い出す。

大きな病気や怪我の経験も、インド旅行の話と似て、経験者に未経験者がいくら質問し、説明を受けても 共通の理解の足しにならないのではないか、と思うことがある。

小林秀雄氏と岡潔氏の対談、『人間の建設』の中だったと思うが、『思っているよりも、人間はお互いに わかり合うことが難しいものですね』 という趣旨の発言があったように思う。
確か、岡潔氏の側の発言だったと思う。

片方にとって、心の中を大きく変革させるような、強烈な体験ほど、それの未経験者には、いくら伝えようと熱意を持って伝える努力をしても、中々うまくいかないことが世の中にはよくあるように自分には思える。

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