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ミルクティーの香り

ミルクティーの香り

喫茶店。影の無い老人たちが明日のシナリオについて話をしている。

「昨日の置き手紙は、きょうについてなんと書いてあったかね?」
「ああ、電線に雨傘を吊るして陽射しを塗り替えなきゃならんね。」

だいたいそんな会話が一番端の壁から対角線上に伝わってくる。
いま三時間目の世界戦争が見えない空の上で動いているにも関わらず、座席の脇の蝋燭は氷のように固まった焔を燃やしている。時間の感覚を置き去りに。外套を

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薔薇色の紫陽花

薔薇色の紫陽花

来年の梅雨も、きっと雨が降る。傘の要らない雨が降る。
雨上がりの街に残る雨音の残響が、帰り路の足音を静かに洗う。外では野良猫が誰かと話をしている。眠っている夢の外で、離れられず夢中になっている。毎日、真夜中には活字に化けた昨日のニュースがそれぞれの家々に届けられ、世の悲惨さと滑稽さの境界線が文字になって、言葉の意味を失っていく。

道端の草木は夜風に浮かび、手入れされた植木も野放しの枯れ木も一様に

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