【読書感想文】深夜特急
S君に旅をするときは「「地球の歩き方」が役に立つよね」という話をした。その返答は、「地球の歩き方を参考にするなんてまだまだですよ。沢木耕太郎の「深夜特急」を読まなきゃ」だった。
同じ時期に、いつも仕事を頼んでいるクレーンオペにも深夜特急を読んでいないことに驚かれた。
メルカリで深夜特急をすぐに買って読もうとしたが、後でと思い机の上に置いたのが去年の5月だ。年が明けて、ついに手をつけた。
沢木耕太郎が26歳の時に旅したルートをつづっている。
多くの人々がこれに影響を受けて旅に出た。
読み進めると、確かに旅をしたくなる。
私が印象的だったのは、中東を抜けるシラーズの場面だ。ドミトリーに泊まり、他の旅人と一緒の部屋になる。その旅人は体調が悪く心配を掛けるが、それを無下にされてしまう。それでも、買ってきたブドウをあげた。出発する日が近くなって、その旅人の体調が良くなりアドレスを交換した。そして、出発する日の朝に会話も特にないが一緒に過ごした旅人に別れを告げ、宿を出る。
特に、面白いシーンでは無いが印象的だった。
私もコロンビアのメデジンに滞在しているときにドミトリーに1週間くらい泊り、街を歩き回っていた。同じ部屋の人と会話することは無いけれど、他人がそこにいるのに普通に生活ができる感じだ。
ある日、オーナーから人が少なくなってきたから部屋を移ってくれと入われ少し 小さめの部屋に移動した。そこには、6人部屋で私を含め4人が寝泊まりしていた。その4人で、宿に泊まっている人全員だった。
生活は特に変わらず、各自がそれぞれの生活をして関りは無かったし、深夜特急のようなエピソードは無いが、私が出発する日に「じゃあね」と言って部屋を出た。
深夜特急を読んでそのことを思い出した。
何をしてどんな人かもわからない人と同じ部屋で過ごす不安や刺激を読んでいて、思い出したのだと思う。
深夜特急のような旅にあこがれるのは分かる。私も高校生とか大学生の時に読んでいたなら旅に出たい衝動にかられていただろう。
でも、今はもうできないと思う自分がいる。
小説自体は、面白く当時の世界情勢から日本とは違う文化を本の中で体験できるので、また読みたいと思うし誰かに紹介したい。
余談にはなるが、深夜特急に影響を受けて旅にでた一人の斎藤工さんが、深夜特急の朗読を去年からラジオでしていたことを最終回が終った後に知った。完全に聞き逃した。
調べてみると、オーディブルで配信されているみたいなので聞くことにする。
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