「カラビ=ヤウゲート 深淵の悪魔」/第十話
体中の血液が、脳に吸い上げられている。そんな感覚だった。自分がこれまでの人生の中で得た知識を総動員すれば、理解の糸口がつかめるのではないか。
そう思いたかった。
だが、紅林の脳が導き出した結論は、真逆のものだった。紅林は心の声に従うことにした。すなわち、
理解することを放棄した。
論理的思考の一部を遮断した。
そうすることによってはじめて、目の前の得体のしれないモノと向き合うことができるのだ。
「よくわからんが、まあいい。俺とアンタはいま、この世界では『幽霊』って