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別れが悲しいのは

初めて付き合った彼氏との別れについて、
そろそろ気持ちの整理もついたので、振り返って、
悲しみの第二波が来たときの話をしようと思う。
第一波は別れた直後で、今回はそのあとの話。


「時間が解決してくれる」

よく言われる言葉だ。
ホントかよと、思っていたけれど、本当だった。
1ヶ月、2ヶ月と日々を過ごす中で、
何かあったときに彼に連絡をしてしまいそうになることも、
彼の夢を見て泣いて起きることも、
別れて本当に良かったのだろうか…と悶々とすることも
少しずつ無くなっていった。

まだ別れて3ヶ月ほどの時。段々と彼を思い出すことも少なくなって、
1人でも充分楽しいかもな
なんて思い始めたとき。

ある一枚の写真を見て、どうしようもなく切なくて悲しくて、胸がギュッとしたことがある。

それは、
写ルンですで彼と旅行をしたときに撮った写真だ。

現像しなくてもよかったのだが、
彼との旅行後も結構な撮影可能枚数を残していたため、その後の友人と旅行に行く際に、「彼との旅行の時に持ってったんだっけな…?」くらいの軽い気持ちで持ち出した写ルンですだった。

友人との楽しいしまなみ海道でのサイクリング旅を大切に記録して、帰ってきてからウキウキで現像をした。

友人との旅の写真はとても満足な仕上がりで、大満足だった。
そして、案の定、彼との旅行の時に撮った写真も紛れていたので、ついでに眺めていた。

わたしがシャッターを切った写真たちなので、ほとんどの写真はどこで撮った写真なのかすぐに思い出せた。
懐かしいなと思った。
好きだったなーと思った。

その中で、一枚だけ。

わたしがひとりで写った写真があった。

彼が撮ってくれた写真だった。
見晴らしの良い高台で、「撮ってあげるよ」とカメラマン交代。


その写真の私は、見たことないほど
とっておきの、屈託のない笑顔で笑っていた。


彼の前ではこんな表情をしていたのか、わたしは。
そう思った。

かわいいな。わたし。
我ながらそんなことも思った。

あの頃、彼のことを誰よりも信頼していて、一緒にいて楽しくて、辛い時も悲しい時も嬉しい時も、全部話して、大切で、大好きだった彼に見せていた笑顔は、こんな顔だったのか、と。
写真でよく見る自分ではない気がした。

彼の目に写ってる自分はこんなだったのか、
と、視覚的に初めて見て、ものすごく悲しくなった。

写ルンですで撮られたってところもまた、特別感があったのかもしれない。

そして気がついた。
彼と付き合っていた頃、彼のことを好きだったのと同時に、
彼と一緒にいるときの自分も好きになっていたのだ、と。

彼といるときのわたしはよく笑っていて、
喜怒哀楽をさらけ出し、素直で、
彼を、そして自分を大切にしていて、
なによりとても幸せだった。

そんな大好きな自分を失ったことへの悲しさがあるのか、とその時気が付いた。

そうさせてくれたのは、紛れもなく彼だからだった。


もう戻らないけれど。
もう戻れないけれど、

いまだに「元彼」という言葉を使うのをためらってしまうのを、アホだなあと思いながら、
笑ってしまうほど、大好きな人だった。

他の人と付き合って、その人のことを、そして、
その人の前にいる自分を好きになれるだろうか。
なんて、考えてしまう。

なれるよ、とも思う。


「一番好きな人と結婚できないって本当なんだね」

別れた時に彼が私に言ったのを思い出す。

後悔はしていないけれど、
大切だったことを思い出に昇華させて、
あの写真と共に、大切にしまっておこうと思う。

最後に、

マカロニえんぴつというバンドの「嘘なき」という曲を聴いて、このエピソードを書きたくなったので、

一部抜粋するつもりが、前半部分ほとんどになってしまったけれど。

嘘のない、本当のところ。

いつか君に本当に愛するひとができて
僕が思い出になってしまう日に備えよう
透き通る涙に嘘って名前をつけて
この素晴らしい日々を
そうだな、夢とでも呼んで
本当に本当に何も信じられなくなった時だけ
夢の中で嘘泣きしていいぜ、いいんだぜ
いつか君が本当に大事な夜に出逢ったら
離すなよ、逃げるなよ、迷わずに飛び込めよ

彼には、幸せでいてほしいな、なんて、身勝手に思う。

でも、私との日々はすっかり忘れてしまわずに、どこかに大切にしまっておいてほしいな、

わたしも、大切にしまっておくからさ。

なんて、思ってしまうのは
わがままだろうか。

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