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号外 表の雑記帳 第一頁_北の指導者に異変

 さて、週末ではないが旗日なので号外として投稿。相変わらず世の中はほぼウイルス一色。

1.今週の目についた報道

四月二七日(月曜日):「中国のコロナ対策に前向きなコメントを」中国がドイツに要請米仏首脳が電話会談 WHO改革の必要性で一致景気「極めて厳しい」財務省がコロナで全地域を下方修正習近平氏看板に墨かけた女性監禁 精神薬投与一時失語状態に英首相がコロナ感染から職務復帰、等。

 自分のせいでこれだけ世界を混乱させておいて、こういう要請を他国に恥ずかしげもなくできてしまうのがチャイナの恐ろしいところ。WHO改革が必要なのは間違いないが、米仏が言うと今更何を感が否めない。しかし改革は断固行うべきで、我が国も貢献すべき。景気悪化は間違いないが、それをすべてウイルスのせいにするのは違うだろう。その前から消費税の増税の影響は出ていた。リーマンショック時ぶりの全地域での下方修正というのなら、当然消費税は減税でしょう。あまりチャイナに言及したくもないが、また一つあの国の恐ろしさを示す記事。そしておかえりなさい、ジョンソン英首相。

四月二八日(火曜日):東京感染者新たに112人 3日ぶり3桁に―新型コロナ豪外相 中国の「経済的な威圧」を批判 新型コロナ独立調査でインドが中国製キット返品へ 抗体検査精度にばらつき、等。

 東京都のPCR検査陽性者がまた三桁になったとのことで、前日39人だった分悲観されがちだが、日々の陽性者数は当然バラツキがあるから、こういうのは移動平均線とかで示さないとあまり意味がない。数年前までチャイナにかなり寄っていっていたオーストラリア、ここ数年は若干距離をとりつつあるかなと思っていたが、今回の武漢ウイルスを契機として更にそれを進められるか。しかし14憶人以上とも言われるチャイナの購買力は悪魔的な魅力。世界の踏ん張りどころ。精度の悪いキットだったり粗悪なマスクや防護服だったり、面子を重んじるはずのチャイナが自ら進んで面子を潰している。一体何がしたいのか。今回の件を契機として、世界はいい加減目を覚まそう。


2.北朝鮮指導者にやはり何かあった

 先週報道された金正恩委員長の重篤説この記事)、少し先週のnoteでも触れたが、やはり気になって各種報道を追ってみた。

 まあ金正恩委員長の健康不安説は以前から言われていたことだし、あの体型を見て最早否定するのも滑稽なので、これは前提とする。その上で今回の「重篤」説は、今のところ決定的な報道はなく、情報が錯綜している印象だ。まず我が国の全国紙のうち左右の代表格と言われている(私個人はそうは思わないが)朝日新聞と産経新聞の記事を追ってみる。

 まず、北朝鮮が短距離弾道ミサイルを日本海に向けて二発発射したことを伝える朝日新聞デジタルの三月二二日の記事では、金正恩委員長が二〇日に砲撃訓練を視察したと報じている。しかし又してもミサイル発射を報じた同月三〇日の記事では金正恩委員長の動静が伝えられていない。同様の傾向は産経新聞の同月二二日の記事及び同月三〇日の記事でも見られる。つまり、この一週間程度の間に、金正恩委員長に何か起こったのかもしれないという推測が成り立つ(動静が伝えられていても、影武者なのではとか別日の写真なのではとか色々なことが彼の指導者については言われるので、あくまでも報道の通りであるならばという前提である)。その後の両紙の金正恩委員長に関する記事を追うと、朝日新聞デジタルにて「金正恩」と検索すると三月三〇日から四月二八日までの間で一五件、産経ニュースにて同じく「金正恩」と検索すると同期間内で三七件ヒットした(金正恩委員長に直接的に関わるニュース以外も含まれている)。この件数の差が両紙の報道姿勢を半ば表しているようでもあり興味深いが、記事を見ていくと両紙とも金正恩委員長が四月一一日の党中央委員会政治局会議に出席したと報じられたのが委員長の動静を伝える最後としている(朝日産経)。いずれもソースが北朝鮮メディア(恐らく朝鮮中央通信)なのでそもそも真偽の程は不明だが、真実であると仮定すると少なくとも四月一一日までは会議に出席できる程度の体調であったということ。そうなると三月三十日のミサイル発射時の動静が伝えられなかったのは体調とは無関係かもしれない。

 そんな中で飛び込んできた、金正恩委員長重体報道。まずCNNが報じ(こちら)、産経もすぐに報道(こちら)、朝日が報じたのは四日後くらい(こちら)。先週のnoteにも書いたが、grave dangerと表現されているので、ニュアンス的には重体よりも深刻そう。そしてこの産経の記事によると、一二日に心血管系の手術を受け、一五日の故金日成主席の誕生日にあたる「太陽節」にも姿を見せなかったとのこと。これまた先週のnoteに書いたが、金正恩委員長にとって相当に大切であるはずの太陽節の前に敢えて手術を予定するとは考えにくいので、この手術は緊急手術だったのではないかと推測するのが自然だろう。つまりそれだけ一刻を争う状況だったということか。その後情報が混乱していたものの、韓国政府はこれを否定(この記事この記事)、北京は分からないと惚ける(この記事)、という展開。途中、金正恩氏がシリア大統領に答電と報道 朝鮮中央通信という報道も出るが、答電なんて本人でなくても出来る(というか多くの場合恐らく本人はしていない)ので情報としては無価値。金正恩委員長はただ武漢ウイルスを避けるために地方に長期滞在しているだけだという報道(この記事)も出つつ(北朝鮮国内感染者ゼロとか言っていたはずだが…)、事態が動いたのは今月二五日、チャイナが北朝鮮に医師を派遣したとの報道が出た。産経はロイター通信を引用し、金正恩委員長の健康に関して助言するためと報道(こちら)、朝日は金正恩委員長との関連は不明として武漢ウイルスへの対応のためではと報道(こちら)。こうした報道により、本当に何かあったのではないかと信憑性が若干高まる。こうして注目を集める中で、当の北朝鮮メディアが本件を公式に直接否定したとの報道が出たのは二七日になってから(こちら)。この間諸外国がどのように報じるのか観察していたのか、はたまた反論する余裕もなかったのか。この間、日本政府は一貫して積極的なコメントは控えており、安倍首相も菅官房長官も二八日時点で同様の反応(こちらこちら)。

 ではこれら一連の流れを海外メディアはどのように報じているか。例えばニューヨークタイムズ。Kim Jong-Unで検索すると多くの記事がヒットするが、論調は我が国における報道とさほど変わらず、情報が錯綜しており決め手がない様子。韓国側がこれを否定している構図も同じ(こちら)。韓国の統一部(朝鮮半島の南北統一や北朝鮮との対話や支援を管轄)の長官曰く、確かに故金日成主席の誕生日に姿を見せなかったことはこれまで一度もなかったが現状(武漢ウイルス危機)を考えれば特別不自然ではない、とのこと。金正恩委員長の容体に関する多くの報道がfake newsであるとまで言っている。

 次に、そもそも本件を最初に報じたCNNはどうか。こちらも同様の流れで、色々と情報が混乱している、という話。金正恩委員長は元気だと韓国が言うのも同じ(こちら)。一つ興味深いのは、北朝鮮の元外交官で脱北者、現在は韓国で議員をしている太永浩(テ・ヨンホ)氏の話が載っており(こちら)、金正恩委員長が太陽節に姿を見せなかったことはやはり不自然で、何らかの病気であろうと指摘している。手術をしたのかどうかもよく分からないが、金正恩委員長は自分の力で立つこともできなければまともに歩くこともできない、というのは真実らしい。ただし、金正恩委員長の本当の状態を知るのは本当に限られた人(例えば金正恩委員長の妻や妹など)のみであり、今出てきている情報は事実であるかどうか疑わしい、と付け加えることも忘れていない。先代の金正日総書記が死亡した時も二日間は秘されており、当時の北朝鮮の外務大臣に当たる人物でさえそのことを知らされたのは公式発表の僅か一時間前だったとのこと。それだけあの国の指導者の真の状態を知ることができるのは限られた人のみということで、情報をとるのが如何に難しいかということであろう。

 一応反トランプのCNNに対して親トランプの立場としてFox Newsの報じ方も見ておく。四月二九日午後一時(現地時間二八日午後一一時)にFox Newsのウェブサイトにアクセスしたところ、ホットトピックとして金正恩委員長の名が(下のスクリーンショット黄マーカー部)。

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 報道を見ていくと、こちらも他メディアと同様に、情報は錯綜しており確かな証拠はないが恐らく金正恩委員長の身に何かはあったのだろう、という伝え方。この報道がよくまとめていて、金正恩委員長が太陽節に現れなかったこと等から何かがあったと考えられ、今月一四日のミサイル視察で怪我をしたのではとも噂されるが、一方で韓国政府は否定している、と伝えている。こちらのインタビューではより詳細に踏み込んで、北朝鮮というのはパターンを踏襲する体制であると述べた上で、今回はそのパターンが破られた(金正恩委員長が太陽節に姿を見せなかったり、朝鮮人民軍の創設記念式典に姿を見せなかったり)ことから何かがあったことは間違いがないと述べ、韓国政府が米メディアに話している「金正恩委員長は元気 "alive and well"」という話については、alive(生きている)という部分は本当かもしれないが、well(健康)というのは疑わしい、と述べている。

 韓国政府は金正恩委員長に何も問題がないと話す中で、委員長はただ元山(ウォンサン)にいるだけだと言っており、北朝鮮を専門的に分析する米国の情報分析サイト 38 Northもこれを裏付ける情報を伝えている(こちら)。下の三枚の衛星写真(こちらから引用)は上から順に今月一五日、二一日、二三日の元山のものだが、一五日にはなかった金正恩委員長のものと思われる列車が二一日と二三日には確認できる。

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 しかしこの点については、先述の北朝鮮元外交官で脱北者の太永浩(テ・ヨンホ)氏が何の証拠にもならないと述べている(こちら)。曰く、この手の偽装工作は北朝鮮の常套手段であり、指導者の居所を米国の衛星等から特定されないために、全く関係ないところに今回のように列車を止めたり、あたかもそこにいるかのように誰もいない執務室の電気を点けたままにしてみたり、以前からそうした工作はしてきたとのこと。38 Northも、この写真だけでは金正恩委員長がどこにいるかの証拠にはならないと断っている。

 最後に、金正恩委員長とは友達だと繰り返してきたトランプ大統領の反応を見てみる。まずCNNが最初に本件を報じたときの反応は、金正恩委員長の容体については「よく知らない」とのことだった(こちら)。これが四月二一日のこと。しかし二七日になると一転、金正恩委員長の健康状態について「よく承知しているが今は話せない」と述べ、回復を祈っているとも付け加えた(こちら)。当然トランプ大統領には米国インテリジェンスから情報が入っているだろう。これらトランプ大統領の発言から少なくとも推察できることとしては、この時点では金正恩委員長は存命であったということと、やはり何らかの異常は起きているであろうことである。トランプ大統領の発言が変わった間にあったことといえば、チャイナから北朝鮮に医師が派遣されたことくらい。これが公になった以上、容体の悪化そのものについてはあまり隠す意味はなくなったという判断かもしれない。

 以上を総合して考えると、確度の高い推測として成り立つのは、金正恩委員長は生きてはいるが体調は非常に悪い、ということだろう。体調悪化を示唆する情報がいくつか出てきている中で、それを否定するものは実質的には韓国政府の言葉のみ。それも親北の文在寅政権になってからの韓国政府の北朝鮮に関する言葉はほとんど信用に値しない。となれば、やはり金正恩委員長に何かあったと考えるのが最も自然だろう。

 今回の体調不良を乗り越え金正恩委員長が元気に復帰したとしても、健康問題は常に付いて回る。あの体型を見れば火を見るより明らかではあるが、38 Northも金正恩委員長の健康状態について、かなりのヘビースモーカーであり、循環器疾患や脳卒中の家族歴があり(金日成主席も金正日総書記もそうである)、ただの肥満ではなく病的な肥満(BMI 40以上)であり、局所性ジストニア(これは寿命に関わるものではないが)の症状も見られると書いている(こちら)。更に、この病的な肥満(金正恩委員長のBMIは47とも推測されている)とヘビースモーカーであることを勘案すると、糖尿病や高血圧、高コレステロール血症等を合併していても何ら不思議ではないとも書かれている。いつどうなってもおかしくないし、まさに武漢ウイルスによる重篤化のリスク因子オンパレード。この意味でも今は金正恩委員長にとってかなり危険な時なのかもしれない。

 金正恩委員長にもしものことがあった場合、その権力は誰に継承されるのか。有力視される展開としては、メディアの露出も多い妹の金与正(キム・ヨジョン)氏と数か月前に北朝鮮に戻った叔父の金平一(キム・ピョンイル)氏との権力闘争だ。もしかしたら金平一氏が北朝鮮に戻ったのはこの展開が想定されてのことだったのではないかとさえ思われてくる。

 いずれにせよ、北朝鮮の体制が弱体化乃至は転換するときは、当然ながら拉致被害者の奪還への契機となり得る。それに向けて国会議員諸氏には国内環境を整え(そもそも憲法改正などせずとも奪還に行けるはずだが…これはまた長くなるから別の日に詳述)、機を逃さぬよう準備していただきたいと切に願う。


 今週も折り返し。頑張ろう。

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