マガジンのカバー画像

任意的映画私見

21
蓮實重彦かぶれの思いつき映画感想
運営しているクリエイター

記事一覧

ジェド・I・ローゼンバーグ「 ラウダー・ザン・ユー・シンク ギャリー・ヤングとペイ…

ペイブメントのファーストアルバム「スランティッド・アンド・エンチャンティッド」完成後に脱…

tn
1か月前

No home movie ノー・ホーム・ムーヴィー製作ノート by シャンタル・アケルマン

この映画は何よりも私の母、もうこの世にいない母についての映画であるのだから。1938 年にポ…

tn
1か月前
1

ルブ・ピック「破片」

冒頭の線路を俯瞰で捉えたショットから、なぜか期待感が掻き立てられた。鉄道と映画は映画の創…

tn
2か月前

フィリップ・ド・ブロカ「おかしなおかしな大冒険」

メキシコ人のバンドのトランペットの真正面のクロースアップから始まり、そのバンドが演奏する…

tn
2か月前
3

F.W.ムルナウ「サンライズ」

おかしな映画だ。 まず、ストーリーが単純過ぎる。都会から来た女にたぶらかされた夫が妻をボ…

tn
2か月前
1

井口奈己「左手に気をつけろ」「だれかが歌ってる」

この2作の短編(特に「だれかが歌ってる」は)ゴダールの「ワン・プラス・ワン」だと直感的に…

tn
2か月前

ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」

ロングランを続ける本作品は、デザインされたトイレを世界に広げることに成功した。しかし、映画として成功しているのだろうか? 多くの人が主人公平山のトイレ清掃員としての穏やかな生活をおったストーリーに言及している。彼の生活が理想のものだという声が多い。 そして、そのストーリーは、今流行りの(と言っていいと思う)詳細が語られない、観客がその隙間を想像で埋める内容になっている。それは、ケリー・ライカート、濱口竜介、杉田協士の各作品のストーリーに似ている。 この三人は世界レベルの作品を

鈴木英夫「目白三平 亭主のためいきの巻」

冒頭のクレジットでの雨のシーンから、主人公目白三平が出勤前に靴が古くなり、雨が染み込んで…

tn
1年前

メイズルス兄弟「セールスマン」

まず歩第一の感想は、これはドキュメンタリーなのだろうか?ということ。 登場人物は、聖書の…

tn
1年前

三宅唱「ケイコ目を澄ませて」

手話の文意が映像下部の字幕ではなく、インサートタイトルで表示されるのを観た時、本作は傑作…

tn
1年前

ピエール・エテックス「ヨーヨー」

映画冒頭からジャック・タチの影響を感じるドアの開閉の音が「ぼくの叔父さんの休暇」同様聞こ…

tn
1年前
1

手嶋悠貴「映画:フィッシュマンズ」<スペシャルボックス>

「いかれたベイビー」も「Magic Love」もリアルタイムで聴いていた。MTVでだけで。 いい曲だと…

tn
1年前

パウロ・ローシャ「青い年」

不思議な映画だ。ストーリーは他愛もない。、 田舎から出てきた青年ジュリオが女中として働く…

tn
1年前

川島雄三「花吹く風」

全く期待せずに観たが、なかなかの佳作だと思う。 紙京子の寄りの表情が素晴らしい。彼女と龍崎一郎、龍崎と幾野 道子の切り返しのショットも印象に残った。 そして、酔って意識をなくしかけた紙京子が背後の龍崎一郎に寄りかかるショットはなんとも妖艶な雰囲気があり、ハッとさせられた。 冒頭の雨降るビルの入口の群像シーンや、龍崎がその入口から出てきて、紙京子の乗るタクシーに乗り込んでからのタクシー車内のシーンはハリウッド映画のような印象を与える。こういうシーンを観ると、映画の素晴らしさと国