ピエール・エテックス「ヨーヨー」

映画冒頭からジャック・タチの影響を感じるドアの開閉の音が「ぼくの叔父さんの休暇」同様聞こえてくる。
しかし、ジャック・タチの映画以上の映像の強さを感じる。
例えば、ヨーヨーの父がソファに横たわると、クロースアップで女性ダンサーの手が彼の靴を脱がすシーンの堪能的な動き、馬が舞台裏からサーカスの舞台へ出ていくショットでの馬の動きとスローモーションの映画の産声を聞くような驚きの演出。
片思いの空中ブランコ乗りの女性が列車に乗ると言って廊下のドアを開けると、そこはサーカス舞台で彼女は服を脱ぎ、天井から降りてきた空中ブランコに乗って画面から消えていく。
ロベール・ブレッソンが「自信を失わないためには、時折、彼の言葉が必要なのだ。彼は本当に稀有な存在だ」と言ったとか。
ピエール・エテックスの映画は稀有で時折見たくなる映画であることは間違いない。

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