本当はリモートワークをやりたくない
見出し画像

本当はリモートワークをやりたくない

ごめん、本当はリモートワークをあまりやりたくないんです。

なぜか結構センシティブな話題になりつつあることをじんわり感じるので、先にちゃんときっぱり書いておきたいと思うんですけれど、僕はリモートワークの制度については賛成派です。

でも制度として利用できるのと、全面的に組織全体がそれに移行していくというのは別の話で、後者の場合、実際にリモートワークいまも多いけど大変だよな、という話をしたいと思います。

例えばいま台風が来ていますよね。こういう日に無理して出社する必要がなければ出社したくないし、危ないし生産性落ちるし本当にナンセンスだと思う。こういうとき、リモートワーク可だと本当に嬉しい。

あとはつい先日、娘が熱性けいれん起こしちゃって本当に困ったし、焦りと心配で口から心臓吐くかと思ったんですけれど、そういう次の日にリモートができるというのは本当にありがたいです。思わず会社LOVEって思っちゃう。

あとはいま実際の業務はリモートで支社と仕事を進めてますし、何なら僕、仕事は東京のまま家は静岡になりそうなので、これからリモートワーク増えると思うんですよね。何だよお前、めっちゃリモートワークしてんじゃねーかって思いますよね。

僕もそう思った。書いててちょっと引いた。この記事を完成させる自信をなくした。だから何言っちゃってんのって思うかもしれませんけど、でも本当のところ、本心を言えば、僕はリモートワークをあんまりやりたくない。

どういうことか、ちゃんと書いて完成させたいと思います。ちなみにこの記事は台風が来たからではなく、下記の記事を読んで思うところがあったので書き始めています。

https://coralcap.co/2019/09/remote-work-is-not-a-silver-bullet/

リモートワークをやってみて感じる功罪

いま僕はWebの制作会社に従事させてもらってまして、リモートワークは業種、職能を選ぶ働き方ですが、どちらかというとどっぷりリモートワーク可能な位置にいます。

同僚や支社のメンバーとリモートでやりとりをしていて、リモートワークのメリットとしてよく言われていますけれど、実感としても下記のようなことは感じるところでしょうか。

通勤をしなくていい

これがリモートワークを説明する上でまず出てくる言葉だと思うんですけれど、通勤をしなくてもいい。会社に行く必要がなくなる。これが最大のメリットには間違いないです。

北海道と沖縄、日本と海外でも、距離関係なく仕事を進めることができるようになります。台風の日に会社に行く必要がなくなる。家族が病気のときに、家で働けるようになる。

で、

People who commute 23 minutes (oneway), which is the average commuting time in Germany, would have to earn 19 percent moreper month on average in order to be fully compensated.

出典
http://ftp.iza.org/dp1278.pdf
Stress That Doesn't Pay:
The Commuting Paradox
Alois Stutzer / Bruno S. Frey

ちょっと前によく聞いた上記の研究結果なんですが、23分出勤に費やす人は、そうでない人と比べて19%程度多く稼がないと幸福度を補填できないそうです。分かる。

分かる。凄い感覚で理解できる。特に東京の満員電車なんて人類の愚かさを凝集したかのような、誰も幸福になれない社会問題だと思います。そうでなくても静岡で働いていたころは職場まで遠くて、電車もないし、これはこれで車で一時間半走らなければなりませんでした。

これがなくなるというのはシンプルに時間の節約になります。だいたい出勤帰宅に二時間はかかるでしょうから、一ヶ月で40時間、一年で480時間、まぁその状態で30年働いたとすると14400時間=600日を通勤帰宅だけに使うことになります。え、マジで? 計算してみて吐き気がした。

これがなくなるっていうんだからリモートワークって本当に人生の有効活用ですよね。

集中できる時間が増える

これはやってみての副次的な効果なんですが、良くも悪くも同僚からの質問が減りますね。意識的にせよ無意識的にせよ、なんかこれ聞いた方が早いやみたいな質問が、相手リモートワークだから聞いた方が時間かかるようになっちゃって、まず自分で考えなきゃならなくなる。

これ実は、正直立場が同じの同僚から聞かれることよりも、ほら、上司。上司っていう生き物がいるじゃないですか。いまの会社は上司だろうと「ちょっと待ってて!」くらいに言えちゃうんですけれど、それであっても上司は上司なんで、不承不承、答えなくちゃならない(語弊がある)。

そういう、同僚からの問い合わせが減りますよね。MTGも気持ち減る。減って大丈夫なのかどうなのか分からないけど、結果、集中できる時間が増える。集中している時間を途切れさせなくてもよくなる。とても嬉しいことだと思います。

場所を選ばず人員を確保できる

東京の人は気づかないと思うんですけれど、例えば、Wantedlyで東京の募集と、静岡の募集の件数を比べたことありますか? いまWebエンジニアで検索してみたところによると東京6001件:東海77件でした。

いや、絶望的じゃない? しかも本当は「静岡」で検索したかったんですけれど、その選択肢なくて「東海」しかなかったんですよ。おぉぅい。それでこの差。100倍してやっとこさ超えられるこの差。いや首都すげぇな。

でも当然なんですけれど静岡にもエンジニアはいるんです。たぶんスーパーエンジニアだっている。でもそういう人がWantedly見たらどう思います? 「あ、東京行かな」って思いますよね。行きたいかどうかは別にして。

でもリモートワークOKなら、そういう人でも働き口を確保できるようになる。企業側から見ると、リソースを確保しやすくなる。もっと言えばオフショアとかで海外の人材だって確保できるようになる。

その人が住んでいる場所無関係に雇用を確保できるのは、双方にとって大きなメリットになるでしょう。

プライベートの時間が増える

ライフワークバランスが叫ばれて久しく、働き方改革とやらが叫ばれて久しく、プレミアムフライデーが叫ばれなくなって久しいですけれど、上述のように通勤時間が少なくとも削られるため、プライベートの時間が増えます。

僕の仕事の場合はPCをパタンと閉じればプライベートの時間が始まることになります。朝も夜も家族と食事を楽しむことができます。

少し話逸れるんですけれど、前職でお世話になった先輩がいて、僕より先にスタートアップでない安定した大手に転職していきました。凄いクレバーな先輩だったので笑顔を見ることは稀だったんですけれど、「なんで転職を決めたんですか?」って聞いたときの、「娘とお風呂に入れるから」と、はにかんだ表情をいまだに忘れられない。

そこから数年経って、僕にも娘ができて、ああ、分かるなぁって思うんですよね。家族の時間大事だなぁって。子供ってマジで1日見ないと成長してるんですよ。朝も早くて、夜も遅い、そういった生活してると、一週間ごとの細切れの成長しか追えない。とても寂しいことです。

リモートワークを使うと、そういう生活を少しでも是正することができるようになるでしょう。

---

でもいいところがあれば、当然悪いこともあるんです。これを書きたい。以下はやってみて、実体験として悪かった部分です。

ネットワークの安定度に成果が依存する

まずこれ。本当にこれ。少なくとも、これが改善できれば、たぶんこの記事は書いてない。リモートワークの問題は、これが5割くらいを占めてるんじゃないかとすら思う。

HangoutでもGoogle MeetでもWherebyでもSlackでもSkypeでもFacebookでもいいんですけれど、本当にこれに頭を悩ましてる。もっと通話品質ってよくなりませんかね……。

MTG始まって少なくとも5分は「聞こえてますか〜」「再起動します〜」を繰り返してるの本当どうにかしたいですし、途中の通話の途切れやすさは言わずもがな、ジョークを言ったときほど切れます。「え? もう一度いいですか?」っていう最強のボケ殺しを食らう。あとMTGがターン制になっちゃうから、「ここからずっと俺のターン!」みたいな人がいると本当に成り立たない。

いや分かる。そもそもMTG始まる前にネットワーク繋げとけやとか、回線太くしろやとか、そういう俺ターンの人をまず何とかしろやみたいな意見も分かるし、その通りだと思うんですけれど、そういった良くも悪くも、「MTGが走る」みたいな白熱状態を許容できなくなっちゃう。

そういう状況だとリモートワークって本当にやりづらいです。コミュニケーションコストが増大するなんて一言で片付けられないほど増大します。プロジェクトの成否を左右するくらい増大する。

僕は5Gの到来を心から待ちわびています。

情報のキャッチアップに時間がかかるようになる

上記のネットワークの話と重複する部分があるんですけれど、そもそも直接の対話でさえ、情報が切り落とされています。自分の考えをまず正確な言葉にすることが難しく、次に相手に理解してもらうことはもっと難しい。

開発で言うと、詳細仕様の資料を作ったり、幾度となくMTGを設けたりするものの、それでも間違いだったり、後世に残らないことは日常茶飯事なのに、そこへリモートワークという壁が立ちはだかると、もう泣きたいくらい全然伝わらないことも多いです。「いっそもう歌おうか?」って気持ちになってくる。

人間って本当に言外の情報に頼って生きているんだなって思わざるを得ないんですけれど、100%ロジックで説明できるはずのシステムの設計でもそういうことが起きてしまう。

メンタリングや教育や評価がしづらい

これみんなどうしてるんですか?

リモートで1on1とかやり始めてはいるものの、どうしたって対面に比べると、言葉尻、目線、仕草、表情や間、物理的な距離感、そういったものから読み取れる機微が激減する。ゼロになるものすらある。

教育もそう。「ここまでで分からないこととかは?」という、実はシビアなタイミングが要求されるやり取りを、リモートワークのタイムラグは容易に奪う。心理的にも「届かないならいいや」っていう圧をかけちゃう。

そういうところから派生する評価についてもそう。全ての評価を定量的にはできないし、僕はすべきではないと思っています。だから、例えば目標管理の評価形態で、業務にプラスアルファで役立つ資格を取るという目標があって、それに落ちたら0なのか、受かったから100なのかっていうと、そうなんだけどそうじゃない。

そのメンバーが実は始業前、朝早くからその学習に取り組んでいたというリモートワークでは分からない事実が見えたりすると、それで実際の試験には落ちてしまっていたとしても状況がかなり変わってくる。

それはそのメンバーが、組織にとって向上心というベクトルを与えていることは間違いなくて、その資格の目標自体はもしかしたら評価0だけれど、他の会社生活における評価だとか、今後のキャリアパスへの考え方が変わってくるかもしれない。

そういう情報がリモートワークだと得られなくなってしまう。

仲間意識が希薄になる

本人が望むと望まざるとに関わらず、日々忙しいなかで会えない人に対しては、関心が著しく削がれていきます。毎日顔を合わせるだけで、実は対人関係では解決できてる問題がいくつかあると思うんですけれど、それをリモートワークは満たしてくれない。

例えば、さっき同僚からの問い合わせが減ることがいいことだって書いたんですけれど、あれは実のところトラップで、全体最適化を考えたとき、悪いことの方が色濃く出るでしょう。

リアルな話、上司の単価はだいたい自分より高いじゃないですか。その上司が自分に聞けば3秒で解決することを、自分がそこにいないということで資料を漁らなければならず10分を必要とするかもしれない。そうなると組織にとってコスパが悪くなるはずなんです。そういったことに関心を払えなくなる。

じゃあ同期や部下からだといいのかというと、そういうわけでもなく、聞かれて答える、ただそれだけのことですが、自己効力感や承認欲求やリスペクトを得られる機会になっているはずなんです。

一緒に働いているメンバー自体に関心が薄くなり、当然彼らのおこなっている仕事にも自分が関連していなければ関心を寄せられなくなっていくでしょう。

つまりリモートワークを会社で本格的に始めてしまうと、よほど繋がりの維持を意識した仕組みにしなければ、中途半端なフリーランスの集まりのようなものになってしまいます。

僕が求めてる仲間というもの

色々話したんですけれど、結局のところ、僕が求めている仲間像みたいなものにリモートワークだと上述の問題があって近づけないなぁって思ってしまっているんだと思います。

僕なんて幼いものですから、僕の目指したい仲間像なんて、少年漫画のそれなんです。つまり共に戦い、共に食べ、共に成長し、共に笑う。たぶんそれ。シンプルに言って、ただ単純に、欲しいのはそれ。好きな仲間とそれを一生やってたい。

一つの場所に集まっていることっていうのは動物的な意味で地味に意味を持っていると思ってて、群れっていうのは、本能的に大きな価値を捻出できる強さだし、心地よさだと思うんです。リモートワークだとそれを放棄せざるをえない。

採用にも関わると、時流と業種だと思うですけれど「リモートワークをやってみたいからやってみたい」って方が相当数いて、それで対応を変えることはありませんけれど、仲間とどう関わりたいかはいつも以上に気になってしまいます。それは僕が働く上で重要と考えるスタンスですので。

で、ここまで話してみて、ひるがえって自身の問題として捉えてみたときに、タイトルの通りになるんです。僕は、「本当はリモートワークをあんまりやりたくない」んです。

一緒に働く仲間を第一義と考えている僕は、リモートワークを積極的にすべきではない、というのが僕自身への僕の結論なんです。だからできることなら、リモートワークをしたくありません。仲間づくりが難しくなります。

生産性も上述のような問題があって、高くなるケースと、むしろ低くなるケースがあると思います。やってみての感覚は4:6くらい。一つの大きな塊のタスクを砕くスピードは早くなる。集中できる時間が増えるので。でもその裏で、情報をキャッチアップできずに、後回しになってる細かいタスクが2つくらい常にある感じ。

おそらくみんなそういったことを感じてきていて、一昔前のリモートワークがイケているという風潮が、最近では収まってきたのではないかと思います。本当に一言では言えないですし、その組織の特質やフェーズ、仕組みづくり、メンバーの能力と志向、多くの要因に左右されるものと思いますけれど。

でもこれは再度言っておきたい。勘違いしないでいただきたいんですけど、リモートワークという方法が適宜取れるようにしておくのはイケていると思います。

その人材のタイミングやライフステージによって、最適な方法は人それぞれで、どう活かせるかも組織の強さだと思います。リモートワークをやりたくなくても、リモートワークでしか働けない場合もあります。

それが最適なのか、関係者はよく見て、よく考え、よく話すべきでしょう。その人に、その組織に、リモートワークが向いているか否か。その仮説を試せるだけのしなやかさを許容できる組織はイケている。リモートワークは実感、とても難しいけれど、色々試せば価値が出せるかもしれない。でも、少なくとも流行で取り入れるものではない。

そう思っています。

なので、僕も少し自己矛盾に悩みながら静岡で働いてみたりしておりますが、明日は台風なのでリモートワークさせてください。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
まさくにです。プログラムを書いたり小説を書いたりエッセイを書いたり詩を書いたりレザークラフトを作ったり陶芸をしたりしていきたい。湖畔に別荘が欲しい。人生観はドラえもん、ラピュタ、ONE PIECE。Webエンジニア。EM。ライター。