CPU業界の変化を読み解く(後編・IntelとAMDとファウンドリ):思惟かねの気まぐれニュース解説
さて、CPUという比較的身近なものを題材にはしたはいいものの、内容が技術的に偏りすぎていてどこに需要があるのか分からない今回の記事。皆さま、まずは長々と書いてしまった前編を読んでいただきありがとうございました。
前編ではCPUの性能向上の歴史とその原理、そして21世紀に入ってからの技術的課題についてお話ししました。
後編では、あらためて現代に目を向けて、本題であったIntelの苦戦とAMDの躍進の影になにがあるのか、ということを技術的側面から解説していきたいと思います。
元のニュースはこちらからどうぞ。
CPUの作り方:フォトリソグラフィと「光の壁」
さて、前編で書き残した今一番ホットなCPUの技術的課題。「光の壁」についてお話しましょう。このことを説明せずして、IntelとAMDの明暗を語ることはできないでしょう。
そもそもCPUとはどのように作られるのでしょう?
前編で少し触れたのですが、これはウェハーと呼ばれる高純度シリコンの一枚板上に、回路のパターンを印刷することで作られます。
ウェハーと作成途中の半導体の様子 (Wikipediaより)
とはいえ、実際は本のようにインクで印刷するわけにはいきません。わずか100mm四方もない面積に数十億個のトランジスタを作り込み、nm単位の回路パターンを作るにはどのような技術が使われているのでしょうか?
それがフォトリソグラフィと呼ばれるプロセスです。
例えば、太陽に手をかざせば地面には影ができます。これは見方を変えると、手の形を地面に印刷しているともとれますね。フォトリソグラフィとはまさにこのプロセスです。
まずCPUを作るウェハー上にレジストと呼ばれる感光性物質の膜を作ります。続いて、光源と、マスクと呼ばれる作る回路のパターンを用意し、マスクのパターンを影としてウェハー上に投影します。すると、光のあたった部分ではレジストが感光し変質しますが、一方影の部分はそのまま残ります。この感光した部分を除去してやれば、レジストで作られた回路パターンが基板上に残る…というわけです。
最後にこのパターンをガイドとしてウェハーを削る(エッチング)か、表面に層を作る(成膜)物理的・化学的処理を施してやります。これを何回も繰り返す(20nmプロセスだと8回ほど)ことで、シリコンの一枚板であるウェハー上に様々な回路素子を作り出すことができるのです。
フォトリソグラフィプロセスの模式図
Cmglee / CC BY-SA (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)
「光」という人が使いうる中で一番細かいコテ先を使うことで、原子レベルに近づく大きさの回路をも作り出すことができるわけですね。
しかし、微細化が10nm単位から1nm単位に達しつつある近年では、もはやこの光ですら問題が生じてきます。
原因は光の回折です。光を始めとする波は、障害物にぶつかるとそれを回り込むようにして伝わる現象が起きます。これを回折といい、波長が長い波ほど回り込みが大きくなります。
このため、カメラでの撮影や望遠鏡による観測、そしてフォトリソグラフィといった光を用いたあらゆる作業には原理的にどうしようもないボヤけが生じます。これを回折限界といいます。
波の回折の模式図。真ん中の僅かな隙間から波が回り込み反対側で広がる
(Wikipediaより)
上図の中央にある隙間を、フォトリソグラフィで作られたウェハー上のレジスト(=回路パターン)と見れば、これが大きな問題になるのが分かっていただけるでしょう。回折によってパターンがボヤけることは、そのまま回路パターンがおかしくなることとイコールなのです。
これが「光の壁」です。
現在、感光に使われているArF(フッ化アルゴン)光源の波長は193nm。CPUの回路パターンは、なんととっくの昔に光の波長よりも短い領域に到達してしまっているのです。
ウェハーとの間に液体を間に挟むことで屈折率を高め、レンズの開口数を大きくする浸液露光という手法を使っても40nm程度が解像度の原理的な限界でした。
ではなぜ現在プロセス・ルールがこの限界以上に微細化できた(2009年頃には実寸法で最小40nm以下の製品が発売)かというと、1つのパターンに対し複数回の成膜・エッチングを繰り返すダブルパターニング技術によるところが大きいです。
これにより回折限界を超えた微細なパターンが可能となり、このダブルパターニングをさらに何度か繰り返すことで、現在7nmプロセスと呼ばれている実寸法で最小20nm前後の微細な回路がなんとか実現したのが現状です。
近年プロセス・ルール微細化のスピードが落ちているのは、そもそも光を使う以上、本来なら原理的に無理な領域にCPUのスケールが突入しているからなのです。
ちなみにこのダブルパターンニングには、当然ながら非常に手間がかかります。こちらは半導体露光装置のメーカーであるASMLの資料(2016年)からの抜粋ですが、プロセス・ルールが微細化するに連れて、フォトリソグラフィのプロセスがどんどん複雑化するのが分かります。その分だけ設備にもお金がかかるし、技術的にもどんどん難しくなってくるわけです。
この対策として開発され、実用化されつつあるのがEUV露光(Extra-UV:極紫外光)。現在のArF光源の1/10以下の波長13.5nmという超短波光を光源に用いた次世代フォトリソグラフィ技術です。
回折限界を超えた領域で無理をしていたArF+浸液露光フォトリソグラフィを、光源を短波長化し回折限界を小さくする(解像度を高める)という正攻法で置き換えようというこの技術は、様々な問題を抱えつつも7nmプロセスで実用化に向かいつつあります。このEUV露光装置を販売するASMLの資料では、ArF+浸液露光+ダブルパターニング(従来手法)による7nmプロセスに対し、EUV露光はこのような工夫をこらさずとも正攻法で7nmプロセスを実現し、リソグラフィプロセスを1/4まで低減できると説明されています。
もっとも、EUV露光の設備費用は非常に高く、そして技術的にも問題もまだ多いのが実情ですが。
…さて、こうして進みつつある7nmプロセスの動き。しかし、なんとCPU業界のトップランナーであるはずのIntelはこの7nmプロセスの立ち上げにいまだに成功せず、1年の遅れを報告しているのです。
AMDは既に7nmプロセスの製品を投入しているのに、なぜIntelはそこまで遅れているのか?
これが今回のニュースの核心になります。
Intelのつまづき:10nmプロセスでの失敗とAMDの逆襲
ここ5年ほど、プロセス・ルールの微細化は22nm⇒14nm⇒10nm⇒7nmと進展しています。
Intelは予定よりやや遅れて2015年にCoreシリーズのBroadwellで22nmから14nmプロセスへシフト。その後2016年には10nmプロセスに着手する予定でした…が、元々Intelは14nm製品の開発時点で思った以上に性能が上がらず、かなり苦しんだようです。これだけ微細化が進むと、プロセス・ルールを革新しても性能向上が計れない可能性が出てくることは、前編でもお話しましたね。
Intelはその後14nmをなんとかモノにし、予定から遅れること2年、2018年発売の第9世代CoreシリーズのCannon Lakeで10nmプロセスの開発に成功します。が、10nmプロセスの製品は歩留まりが悪いようで、以来Intelの出荷数は落ち込み、このため市場はCPUの供給不足に悩まされ、メモリ不況と言われるれ局所的な不況まで起きました。
結局、2020年現在になっても主力は14nm製品で、10nm製品への移行は思うように進んでいないというのが実情です。
こうした苦境の中、一足飛びに一世代先の7nmプロセスへ移行することで遅れを挽回し、再度「王者Intel」としての意地を見せられるか…というのが2020年の焦点でした。
だからこそ、Intelの2020 Q2での「7nmプロセスは予定よりも1年遅延する見込み」という発表は、市場でこれほどのインパクトを持って迎えられたのです。またこの背景には、先ほど説明した「光の限界を超える」ためのフォトリソグラフィ技術の高度化がいかに難しいものか、という問題があるわけですね。
さて、こうした長年のライバルIntelの苦戦をそっくりそのまま追い風にして業績を急上昇させたのがAMDでした。
改めて紹介すると、AMD(Advanced Micro Devices)は1969年創業のIntelに並ぶCPUメーカーの老舗企業です。
CPUメーカーとしては長年Intelをライバルに(時には法廷でも)戦い、1999年にCPU「Athlon」とその低価格モデル「Duron」を発売し、その性能と優れたコストパフォーマンスで当時Intelの一社独占状態だったCPU市場に一石を投じるなど高い技術力を持つ会社で、PC用のCPUではIntel以外でほぼ唯一生き残っている企業です。
またNVIDIA Geforceと並ぶグラフィックボードの2大ブランドの一つ、RADEONを擁する企業でもあります(2006年に旧販売元のATI社を買収し取得)。
もっともAMDは、CPU市場ではここ10年以上Intelの後塵を拝すばかりで、2013年に発売された32nmプロセスのAMD FXシリーズ、2017年まで改良されながら販売された28nmプロセスのAthlon X4シリーズなど今ひとつぱっとせず、よく会社がもったというほどの低迷期にありました。
しかし2017年、AMDは天才設計者と言われるジム・ケラーを中心に設計を全面的に刷新。20nmプロセスを一足飛びにして14nmプロセスを採用したZenアーキテクチャを打ち出し、PC用CPU「Ryzen」とサーバ用CPU「EPYC」を市場投入します。これがAMD復活の狼煙となりました。
2017年というと、Intelが14nmプロセスのCPUの性能が思うように上がらず、10nmプロセスの開発にも失敗し…と、まさに絶不調だった時期です。
一方で新規の設計(アーキテクチャ)を採用したAMDは、同時期発売されたIntel Core i7 第8世代のCoffee Lakeが最大6コア12スレッドだったのに対し、Ryzen7で8コア16スレッドと上回り、さらには16コア32スレッドという怪物CPU、Threadripperを投入するなど大暴れ。
同じ性能でもIntel CPUより低価格で、ハイエンドの性能でも上回るRyzenは、自作PCなどを皮切りに徐々に人気を集めていきます。これにIntelの10nmプロセスのつまづきによるCPUの供給不足が追い打ちをかけ、Intelの失態に慌てたサーバー業界でも徐々にEPYCの採用が始まります。
さらに2018年にはプロセス・ルールを12nmとしたZen+アーキテクチャを、そして2019年にはついにIntelを追い抜き7nmプロセスを採用したZen2アーキテクチャのCPUを発売し、7nmプロセスに苦戦するIntelを完全に追い越すことになりました。
結果2016年を境に、それまで下がる一方だったAMDのシェアは急回復。シェアを一気に取り返し、2020年Q2で世界のCPUシェアの1/3を確保、今なお伸長しています。
さて、見事なまでのAMDの復活劇ですが、疑問も浮かびます。
なぜ今まで市場をリードし、技術的にも先を行っていたIntelを、AMDが突然追い越すことができたのか?
技術開発というのはお金がかかりますし、特に複雑化した近年の10nm前後のプロセスは製造設備に莫大なお金が必要になります。伊達や酔狂でできるものではなく、普通の業界、例えば自動車業界であればトヨタやVWのようなトップランナーが莫大な研究費を投じて先端技術の技術開発を行い、中小規模の会社ではとても太刀打ちできないというのが当然の構図です(実はAMDの売上はIntelの1/10ほどしかありません)。
にもかかわらず、AMDが逆転に成功した理由。
そこに浮かんでくるのが「ファウンドリ」と「ファブレス」という、現在の半導体業界のキーワードなのです。
ファウンドリ:半導体業界の影の巨人たち
CPUに詳しい方でも、TSMCという会社の名前を知っている人は少数派なのではないでしょうか?実はその知名度に反して、TSMCは半導体業界でもトップクラスの巨大企業です。
例えばCPUと聞いて誰もが思い浮かべるIntelの売上高は2019年で720億ドル(営業利益:238億ドル)を誇る世界最大の半導体企業ですが、TSMCは売上高365億ドル(営業利益127億ドル)を持つ台湾の半導体企業です(※100億ドル≒1兆円)。
ピンとこない方は、日本でいえば東芝の売上高が310億ドル、三菱電機が420億ドルであるといえば、半導体事業のみでそれに匹敵する売上を持つ2社の巨大さが分かると思います。
ちなみにAMDは売上高67億ドルほど。Intelがいかに巨大か、そしてAMDを遥かにしのぎ、Intelに次ぐほどのTSMCの存在感の大きさが分かります。
ではこのTSMCが何をしている会社かというと、半導体製造請負を生業としている会社です。TSMCは一般的な半導体企業のように自社での製品を持たず、他の企業が設計・販売する製品の製造を専門に請け負っています。こうした会社をファウンドリと呼びます。
これと対になるのが、工場(fab/ファブ)を自社で持たず、設計と販売のみを手掛けるファブレスと呼ばれる企業です。代表的な会社としては、Broadcom、Qualcom、Mediatekといったスマートフォンチップの有名企業、グラフィックボードの2巨頭の片割れであるNVIDIA、そしてAMDが挙げられます。
そう、実はAMDは工場を自社で持っていません。
正確にいうと以前は持っていたのですが、2009年に製造部門を別会社として分社化し、ファブレス企業へと転身しました。アラブ資本のもとで分社化されたこの製造部門がGLOBALFOUNDARIES(以下GF)で、こちらも推定55億ドル(非公開)の売上を持ち、現在世界第3位のファウンドリであるAMD並の大企業です。
ちなみに世界第2位のファウンドリが韓国のサムスン電子で、こちらは自社製品の製造販売も合わせて半導体事業で売上高520億ドルの半導体世界第2位(2018年1位)の企業です。製造請負のみでこれに匹敵する売上高である業界トップのTSMC(世界シェアは半分以上:サムスンは18%ほど)の巨大さが分かります。
一方でIntelは、IDM(Integrated Device Manufacturer)と呼ばれる、設計から製造、販売までを自社で行う企業で、当然工場も製造技術の開発も自社と、ファブレスとは対局にあります。
こう聞くと、なんとなくAMD躍進のからくりが見えてきたのではないでしょうか?
2017年に発売した初代Ryzenを始めとするAMDの14nmプロセスのZenアーキテクチャCPUは、AMDの別れた兄弟ともいえるGFの手で行われ、やや技術的に遅れを取っていた同社は業界第2位のサムスンから14nmプロセス技術のライセンスを受けて製造能力を得、続く12nmプロセス(Zen+)とともに生産を行いました。
この後継の7nmプロセスを織り込んだZen2アーキテクチャCPUは、しかしGFが7nmプロセスの開発に失敗し無期限延期を決めたため、7nmプロセスの開発で先行していたTSMCに製造が依頼され、2019年に発売されました。
つまりAMDは、ファブレス化し製造をファウンドリ業界のトップランナーTSMCに委託することで、Intelまでもが手こずっている7nmプロセスを手に入れたというわけです。
AMDはこうしてIntelを出し抜き、鮮やかな復活劇を遂げたのです。
ただ、ここで少しややこしい話をします。
ここまで聞くと7nmどころか10nmプロセスですら手間取っているIntelが、技術面で大きく水を開けられているように見えますが、実はIntelの回路は元々他社よりも少し微細に作られています。そのため、他社で言う7nmプロセスは、Intelの10nmプロセスとほぼ同程度の技術であるという見方が一般的のようです。
これがプロセス・ルールという曖昧な指標の罠で、Intelが遅延していると報告した7nmプロセスは、実は他社で言う5nmプロセス…つまり次世代プロセス・ルールの開発に対するものなのです。
もっとも、Intelはいまだ10nmプロセスでも苦しんでいる(実際、第3世代のRyzen: Zen2相当の10nmプロセスのデスクトップ向けCPUは2020/8現在でも未発売)ので、やはりそれに相当する7nmプロセスを先に立ち上げた他社が優位なのは事実です。
だからこそIntelは、他社の5nmプロセスに相当する7nmプロセスの立ち上げによる一足飛びでの挽回に力を入れ、そして結局はそれも何度も遅延し、市場はそれに大きく落胆。結果、AMDと明暗を分けたというのが今回の2020 Q2決算報告のニュースなのです。
ちなみに2020年現在、7nmプロセスをモノにしている(製品を適切な歩留まりで製造できるまでに技術を向上させている)のは、TSMCとサムスン電子の2社のみです。自社設備へ既に多額の投資をしているIntelまでもが、緊急避難的にとはいえこの2社を頼るという話も聞こえてきており、それほどにIntelにとって状況は深刻です。
なおそのサムスン電子ですらトップランナーのTSMCには技術的に水を開けられているようで、先日もサムスンがNVIDIAの7nmプロセスを失注し、TSMCへの依頼が決定されたことが報じられました。
こうして7nmプロセス(Intelの10nm)競争では、TSMCの一人勝ち、なんとか追うサムスンと、2017年には先行していたはずがいつの間にか後塵を拝しているIntelという構図がはっきりとしてきました。
次世代の5nmプロセス(Intelの7nm)ではIntelとサムスン電子が追いつくことができるか、あるいはTSMCがこのまま独走を続けるかが焦点になるでしょう。
こうしてみて分かるのは、いかに昨今プロセス・ルールの微細化が難しくなっているか(=お金がかかるか)ということです。世界最大手のファウンドリ企業として投資を製造技術の革新に集中しているTSMCと、その力を借りたAMDが優位に立っているのは、ある意味で自然な流れともいえます。
実際、そのTSMCを追い上げるべく、サムスン電子は最先端のEUV露光装置をはじめとする生産設備に年間100億ドルの投資を向こう10年続けることを明言していて、裏を返せばそれほどの投資をしなければ今の先端半導体技術に乗り遅れてしまうと見ることができるでしょう。
100億ドルというと、Intelですら営業利益の半分近くが吹き飛ぶ金額ですから、その凄まじさが分かります。もはや世界最大の半導体企業、Intelですらおいそれとはできない投資がCPUのプロセス・ルール革新のために必要となる時代が訪れようとしているのです。
今回のニュースが示すように、王者Intelが揺らぎAMDが躍進した背景にあったのは、前編で説明したCPUの進化の果てに、プロセス・ルールの微細化が行くところまで行き着いてしまった現状そのものであったといえます。
また自社で製造設備を持つIDMであり、その巨体ゆえにファブレス化を選べなかったIntelと、その1/10ほどしかない身軽さゆえにファブレス化し、独走するTSMCの力を借りることができたAMDの差と見ることもできるでしょう。
最後に:これからのCPU業界(IntelとAMD)の行くすえ
結論から言えば、プロセス・ルールの微細化技術で7nmを最も早くものにしたTSMCのリード、ひいてはAMDの優位は当面続くでしょう。
Intelも過去最高の170億ドルの設備投資を行って追撃をかけるようですが、TSMCも同規模の投資を行う予定となっています。せっかく築いたリードをみすみす失う気はないようです。
そしてIntelがAMDを再び追い越すには7nmプロセス(他社の5nm)をいつモノにできるかが鍵となってきますが、14nm/10nmという既存の製品にもリソースを割かなければならず、当のIntelからその大幅遅延が明言された以上、逆転の目はしばらくないでしょう。
そして万が一、IntelがTSMCのようなファウンドリを活用するとしても、Intelが抱える巨大な生産力を代替できるファウンドリは世界に存在せず(TSMCは既に予約でいっぱいだそう)、Intelの苦境は当面の間続くだろうと思われます。
他方、AMDはTSMCが既に立ち上げに成功した5nmプロセスを利用し、Zen4アーキテクチャの次世代CPUを2022年までに発売することを告知しています。TSMCの5nmプロセスが順調に見える以上、これに大きな遅延はないと考えて良さそうです。
既に4nm、2nmという次々世代、次々々世代のプロセス・ルールの話も聞こえてくる中、はたしてAMDの躍進がどこまでつづくのか?Intelの挽回はあるのか?
10年先の未来がどうなるかは各社の必死の努力が実を結ぶかにかかっていますが、一つ言えることは、次に自作PCを組む時は、長年愛用してきたIntelでなくRyzenにすることを私が真剣に考えている、ということでしょう。
これからも両社の動きから目が離せません。
ここまで読んでいただけた方も、ぜひこれからのニュースをウォッチして、CPUを選ぶ時には参考にしてみてくださいね。
想像以上に長くなってしまった今回の記事でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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