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偉大なる豆な暮らし

おみやどの年間行事の中でとても大事な味噌作り。
先日、2020年2月29日に無事に今年の味噌が完成致しました。
イベント参加いただいた皆様本当にありがとうございました。

今年は例のウィルスの影響もあり、近隣、いや日本各地でイベント自粛ムードのなか「おみやど味噌作り」大人子供あわせて13名の皆さんにご参加いただき無事に味噌の仕込み完成致しました。

急遽ご参加いただいたご家族から、「子供が味噌作り楽しみにしていたのですが中止になってしまい、探していたらここにたどり着きました。開催してくれてとても有り難いです」とお礼を言われました。
なんだか自信を持って開催して良かったと心から思いました。

日々の暮らしのこと、いつも通りに暮らすことが大事だと思います。
味噌作りは特別なことでなく、1年に1回やっていることです。

循環する大豆の1年 種まきは鳥との共存

「カッコウが鳴いたら豆を蒔け」

東信州地域では、春が終わり5月から6月頃に、
遠くの方で『カッコウー カッコウー カッコウー』と鳴き声聞こえてきます。

これが豆蒔きサインです。
これは地元のおじちゃんに教わりました。地元のおじちゃんみんな同じこと言います。
何月何日に蒔く。のではなくて鳥に聞け、鳥の声を聞けというのが面白いですよね。

まめまき時期はこの慣例に従って行います。
これは、へっぽこ農夫のまめの撒き方です。ご参考までにどうぞ。

①1箇所に2個か3個の豆を置く。★1 
くっつけずに3cmくらいそれぞれ距離をとって置きましょう。

②蒔いた所を足でグッと踏み固めます。★2
その地点から1足分(約25cm)前に進んで同じことを繰り返します。

★1なぜ2~3個なの?
豆の鞘に収まっているのが2~3個だからです。自然の形態から学べます。
★2踏むの?
蒔いた所だけグッと踏み固めましょう。固くなると水分保持率あがります。それと鳩にも食べられにくいような気もしています。

蒔いた豆が土の中で柔らかなくなり、芽が出たときに鳩に狙われます。きれいに蒔いた所だけ食べられることもあります。どこかで見てるのじゃないか?と思うくらい1列見事に食べられたりします。

そんな時はもう一度蒔き直すか。対策を練りましょう。

芽が出て苗がある程度大きくなればもう鳥には食べられません。
そして、小さな花が咲き小さな鞘が付いた頃に踏み倒します。ここがミソ。
そして夏の終わりに枝豆となり、秋の収穫を迎え、脱穀、選別して保管。

そしてまたカッコウが鳴く頃に種をまきます。

この繰り返しです。

豆なんて興味なしだったあの頃


実際、2016年に長野県に来て初めて豆の畑の作業をお手伝いしたとき、正直なところ豆栽培にさほど興味ありませんでした。
豆なんてだれがこれだけ食べるのだろうか?なんて思考状態でした。

もともと私は料理をするのは好きですが、調理の食材に【豆】の1文字もイメージがありませんでした。納豆や豆腐などは好きでよく買って食べていたのに不思議なものです。
なんだか食生活から豆を煮て食べる事がすごく離れていたような気がします。

その考えは移住して畑におりることによって徐々に変化しました。

大豆=枝豆の事実&実食!

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まだ土にも触れたことなかった都会人だった頃、テレビか何かの情報で「大豆=枝豆」という事実を知りました。
「へぇそうなんだ知らなかった」くらいの勢いで。

なので、枝豆の旬は夏頃から秋(品種により違います)だということ。居酒屋で1年中食べられるものは冷凍枝豆です。もし夏場にしか枝豆を出していない居酒屋さんがあれば、『食へのこだわりに自信がある店だから美味しい可能性が高い!』と今でも勝手に思い込んでいます。

今現在、おみやどに訪れる宿泊のお客さんの中でも「大豆=枝豆」を知らないかたも時々おられます。まだまだ知っているようで知らない美味しい事実です。
旬の季節には出来るだけ食卓に出して楽しんでもらっています。

枝豆の時期は、夏の終わりから秋の始め。
はじめて畑から抜いてきた枝豆をさっと茹でて食べた時の感動を今でも覚えています。
茹で上がった豆に軽くお塩ふって一口ポイっと食べれば、適度なプリプリした食感に旨味とほのかな甘み。やめられない止まらない状態になりました。

なんというかいい感じの居酒屋で出てくる、今だけ!旬の茶豆の枝豆です!みたいな味です(伝わりますかねこれ?)

この枝豆のために真夏の草取り頑張れる。そんな気さえおこさせる美味さです。

the収穫の秋 

2016年いよいよ、初めて収穫お手伝い。
大人数で一本一本、ズコズコ抜き取り収穫しました、鞘から豆を取り出す脱穀作業を行いはじめて丸々とした大豆に出会います。

ようやくここで、どれだけの畑の大きさに対してどれだけの豆の収量が得られるのかを知ることが出来ました。
どんな作物でも言える事ですが「畑の規模と収量」この感覚は実際にやってみないと身につかないような気がしています。

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数年前の【豆】との距離がある自分だったら「豆を煮る?なんか面倒臭いな」ですね。
だけど収穫した後は「とにかく食べてみたい!」しか念頭にありませんでした。

一晩浸水して煮る、それに塩ふって食べる。これだけでシンプルで本当に美味い。
特に鞍掛豆という緑と黒のツートーンカラーの豆があるのですが、この豆は茹でて塩するだけでポリポリぱくぱく食べれちゃいます。

あとは煮豆を色々な料理に混ぜて使うだけだけ。サラダやカレーや炊き込みご飯などなど。
まさかこんなにも簡単でこんなにも用途が幅広いものだとは驚きでした。
しかも料理に混ぜ込む事で満腹感を得られやすいのも本当に驚きでした。

信州スキル 冬の味噌作り

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まだまだ寒さ残る信州の3月。
ここで話は味噌作りになります。

まず信州味噌の簡単な手順から簡単にご説明します。
講師は大先輩のもぐりん代表の酒出さんにお越し頂いてます。

用意するもの材料は、大豆・米麹・塩、だけ。

①前日から豆を浸水(こちらの方言では『ほとばす』といいます)
②手で潰れるくらいまで煮ます→ここでの味見が最高にうまい。
③煮豆を潰します→モンブランみたいなの状態がうまい。
④広げてさまします。その間ランチ休憩〜
⑤塩と米麹を混ぜます
⑥ひたすら混ぜ合わせます
⑦保存容器に空気が入らないように詰めていきます
以上です。

いい頃合いになるのは10月11月くらいです。
最初は塩気が強い角が立つ味噌がだんだんと暖かくなる時期に向けて角が取れて丸みが出てきます。味の変化も楽しめるのが自家製手前味噌の美味しいところ。

おみやど味噌の比率は2年連続で同じ容量仕込みました。
乾燥大豆20kg
米麹20kg
塩8.8kg
塩分濃度11.5%

これで約80kgお味噌が出来上がる計算です。
なんかすごいプロっぽい計算していますが、実はこれネットで「味噌作り 計算式」と打ち込むと簡単に計算できるのです。便利なこっちゃです。

年間80kgも味噌を消費しますか?よく聞かれます。実は食べることがメインなのですが、ギフトとしてプレゼントしたり、お礼の品として送るととても喜ばれる一品なので。私たちの最高のギフト商品になっており大変助かってます。

普段、味噌汁あまり飲まないうちの子が、おかわりしました!なんて嬉しい反応もいただいたことがあります。

お店などで販売することは保健所の許可も必要なのでもうひと壁乗り越えないといけません。ですので、おみやど自家製お味噌は、おみやどに来ないと食べれない1品ですので、皆さんどうぞ味噌の味見にいらっしゃいませ!

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''かね''じゃなくて ''まめ むぎ こめ''

今、私は自分の手で大豆を育てています。無肥料無農薬です。
豆の蒔く畑は肥料は入りません。むしろ肥えた畑より痩せた畑の方が良いとも言われてます。豆は自分で栄養を外から吸収して根粒菌を作り出してくれる植物です。豆の後作は野菜がよく育つとも言われています。

豆って自立心が強い感じがします。ほったらかしでも結構できる。
ずぼらへっぽこ農夫でも自信持って栽培しています。

しかしながら2019シーズンは初年度比べて約1/3の収量になりました。トホホホ。。
天候不順が原因で虫食いまめが多かったことが理由です。豆栽培簡単だなとタカを括るとこれですね、まったく。こんな年もあるのだと痛感。これもひとつ勉強になりました。

「蒔けばが出来るから、このくらい規模で蒔けばでいっかなー」
だった今までの考え改めて、2020シーズンは蒔ける分はしっかり全部蒔いていこうと思います。
もちろんその分管理も大変にはなりますが、取れるときにしっかり取って保管することが大事なのだと分かりました。豆は保管もしやすい。

それと多品種の方が安全。

長野県で有名なのが「こうじいらず」←豆の名前です。
今年はがっかりするくらい全然ダメでした。最終的に両手で掬えてしまうくらいの量でした。
それに比べて「シャッキンナシ」←豆の名前です。
こんなダメな年でもちゃんと育ってくれました。味も良し不作に強い。頼りになるお豆さんです。なんといってもネーミングが好き。

このように大豆にも色々種類があって適地適作色々と条件はありますが、多様な種類を蒔いておいた方が何かと安心安全です。本当に今年もどのような天候になるか分からないですからね。食糧を作って蓄えることの安心感は半端じゃないです。
本気で金よりすごいと思います。

蓄えるなら金より「豆」そして「麦」に「米」です。

無肥料無農薬で豆、麦、米を作れる人間になりたい。へっぽこ農夫のひとつの野望です。そして現在「麦」も栽培中。その話はまた別の機会で。

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