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不確かさに身を委ねて②|ホストに貢ぐ女たちの趣味嗜好とは

九条に宿をとったのは、2駅ほど離れたところに知人が住んでいるからだ。しかしぼくが連絡したのも急だったせいもあり、先約の飲みがあったため、遅くからであれば大丈夫かも、ということで時間をつぶして彼を待つことに。

九条駅に着き、宿までの道のりを探すべくグーグルマップをいじっていて、初めて気づいたことだが、徒歩10分内に京セラドームがある。そのすぐ隣ににイオンモールがあるみたいだったので、そこのカフェで作業でもしようと行ってみる。

ドームに差し掛かると、何やら騒がしい。男性アイドルグループっぽい人たちのライブがあったようだ。ここでハッとした。そういえば、宿のチェックイン時に「ライブですか?」と聞かれたのはこれだったのか。ぼくは講談を観に行くつもりだったから、ああ、はい、と二つ返事で答えたけど、そう意味だったとは。

てか、こんなグループのライブとか行くわけねぇだろ!もうやがて30にもなるおじさん候補生が!!と多少思いつつも、20代の血の気を30代手前の冷静さで押さえて、会場をスルーした。

しばらくカフェで過ごしたが、閉店時間になったので、いったんお店を出ることに。ちょうどそのタイミングが、ライブが終えて、観客が一斉に電車に乗ったりするときで、さっきよりも駅周辺のざわめきがすごい。

JKからJD風の子たちに、幼い子ども連れの人妻風の人たちが、非常に多い。男性はいたとしても、20以下のような印象。ジャニオタじゃないけど、ぼくは、基本アイドル好き、ミーハーな雰囲気を漂わせている女性が超苦手だ。

過去日記で書いたことに関連するが、もともと「性」と「愛」が関心ごとであった。というのもあって、学生時代、ちょっとした社会見学を兼ねて新宿歌舞伎町でホストクラブのボーイをやっていたことがある。

だいたい男に貢ぐのは、ちょっとばかし傾向があった。アイドル好き、エグザイル系好き、V系バンド好き、二次元好きの腐女子な感じの子がわりと来ていて、ホストにどっぷりハマっていた女性が多く、自分の存在証明を探すかのように、依存先としてホストに会いに来ているのはなんか気持ちがわるかった。

理想に生きるのはいいのだけど、現実との折り合いがつけられず、いつまでも理想を現実にまで引きずりすぎているシンデレラガールたち(年齢的にガールじゃない人ばかりだけど)。

あんなの打ち上げ花火とおんなじで、一瞬の悦びでしかなく、麻薬みたいなもので、そこから生まれれるものは少ない(ネタとして作品として昇華できる人ならまだしも)。もちろん、その弱みに付け込んでお金をむしりとろうとするホストたちにも吐き気がしたのはあったけど。なんにしろ、おもしろい経験ではあった。

......とそんな思い出が爆速で頭を駆け巡ってきて、こんな自分の苦手な人たちをドームを一杯にするくらい召喚してアイドルグループって、商業的にはすごいんだけど、悪魔だわぁ、と荒んだ心で思いながら、京セラドームを後にした。

赤信号で止まりふと目の前を眺めると、街のほのかな灯りが夜の闇ににじんでいる。一日の終焉がまだ果てしなく思えた。待ち合わせまでなにをして過ごすかその選択肢を考える暇を与えることなく、急かすように信号が青に切り替わる。足で考えよう。人だかりから遠ざかるように、うろうろと歩きはじめた。

(つづく)

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