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家族と地域の記憶をさぐる記録(8mmフィルム)のあつかい方。

昨日は、今開催中の「イトナミダイセン芸術祭」に足を運んできた。

大山町ではAIR(アーティストインレジデンス)が数年前から行われているが、そのなかでもアニメーションを中心とした作家が集まっている。

もちろん国内外からの他ジャンルの作家もいれば、地元の人が作品づくりに参加したりと、さまざまな立場のアーティストが大山町の長田集落に集うのがイトナミダイセン藝術祭だ。

9日間という開催のなか(自分が主催者側だったら病みそうな開催日数w)、連日イベントがあって、「つくる」「聞く」「食べる」「しゃべる」「観る」などさまざまなかたちで、興味ある人ならだれでも参加できる。

地域に眠る8㎜フィルムを発掘~共有するプロジェクト

そのなかで、ぼくは7日夜に「8mmフィルム鑑賞会」に行ってきた。

忘れられていた記録が、誰かの記憶にもなる。AHA!は、〈8ミリフィルム〉という、昭和30~50年代に普及した家庭用動画記録メディアを用いた、アーカイブ・プロジェクトです。AHA!の活動は、8ミリフィルムそのものを残すということに重きをおくものではありません。フィルムに残された映像を人びとが共に観ること―そのことによって、記録者以外の別の誰かの記憶までが刺激され、よみがえり、語られるという現象を、アーカイブの一つのあり方として捉えようとしています。(http://www.remo.or.jp/ja/project/aha/

と、8mmフィルムとプロジェクト概要はこんなもんだ。ここで扱う8mmフィルムホームビデオとして一個人が撮影したものなので、撮影地点から撮影対象もそれぞれ違いが明快で、そこで地域色ってのも出てくるのがおもしろい。

今回は、大山町とその周辺(米子、松江)のお家に残っていた8mmフィルム全7本を観るような会だった。地域での運動会や祭、聖火リレー、百貨店屋上のミニ遊園地の様子などが映し出されており、計20名くらいの参加者でその映像を眺めた。

会での8mmフィルムの鑑賞方法は「観ながら、しゃべる。しゃべりながら、観る」というもので、オーディオコメンタリー的にあれこれ言いあいながら、当時の情報を探りながら進めていく。

地元出身の50~60代の方もちらほらいたのもあって、昔は~だったなぁ、とさまざまな話が飛び交った。映像についての補足情報もあれば、映像とはまったく関係ないけど、当時に彼らが観てきた風景、持っていた世界観や感情に触れられるような話が意外と出てきて、発見の連続だった。

記憶をさぐるコミュニケーションツールとして記録

映像記録をシェアすることで、当時を生きてきた人たちの記憶を呼び起こされるということを実感できた。当時を肌感覚で知らないぼくのようなよそ者/世代は、懐かしさこそはないけれど、彼らに質問を投げかけ、話を聞くことで違った楽しみ方ができる。

また、個人が(家族のために)残したアーカイブが、共有の場をつくることで、地域としてのアーカイブに昇華できるということも学びになった。”そこ”にあった記憶を引き出し、会話が生まれる(情報収集)ツールとして、映像がどのように役立つのかを考えるいい機会だったなぁ。

過去に”記録ありきの記憶”について考えたことがあったけど、テキストと映像とでは情報量の多さが違うから、場づくりにおいてはいろいろ使い分けらえるなぁとふと思ったりも。

”縦”をさまざまな人生からしれっと紐解く場のあり方

あと話はズレるかもだけど、(先日書いた、地域を”縦軸”で深めていくってのが大事だよなーという話のながれで)日本史の概論を学んで、地域文献を読み進めることとは別に、やっぱり当時を生きてきた人の話を聞くことも大事だと再認識した。

ただ、それは「昔のことを探ろう」という目的が先にあって設定された場で話を聞こうとなると、個人的にはちょっと気持ちわるさがある。それは、沖縄の平和学習でやたら特定の(語り部の意識を持った)おじぃちゃんおばぁちゃんの話を聞きに行くとくに沸き起こる違和感に近いような......。

だから、みんなで飲み食いするとか草むしりするとか、他のきっかけがあって「たまたま昔の話が出た」みたいに、もっと自然な感じで”縦”に触れることができたらと思う。

ぼくがいる集落もまわりにご老人は多いのに、意外とただただ”タムロ”するようなたまり場がなかったりする。ちょっとしたイベントがあるときも「若者だけが集まる」みたいに、特定の世代ばかりが集まることがあって、世代がかきまざる場がほとんどない。

世代を超えて、さまざまな人生のなかで地域がどのように見るのか、眼を借りながら、歴史を知り、「じゃあこれからどんなことできるのか」というのを考えるのがたのしいに決まってるので、ここでどんな場を育てることができるのか、ってのが今一番の興味関心だなーと感じた夜でした。

(そのわりには写真的な記録を撮り忘れてたという......笑)




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