【はじめてのスピノザ】互いに尊重し合う社会
スピノザの倫理感は、徹底的に個人の性質で物事を考えており、さらに個人の性質は、様々な要因で変化するものであるから、常に実験を繰り返すことが重要とある。
これは、自分を理解する上でも重要だが、他者と接する上でも非常に重要なことと感じる。他者を、見た目やこれまでの価値観で判断するのではなく、常に成長し変化している個体として認識することで、本質を理解できるとともに、より寛容に接することができるのでは、と思った。
以下、今回の要点である。
①物質の本質は「力」である
物事の本質の捉え方
古代ギリシア︰各個体の形(エイドス)
スピノザ:各個体の力(コナトゥス)
コナトゥスとは?
→個体をいまある状態に維持しようとして働く力
コナトゥスの観点で物事を見ると、、、
(例1)競馬場の馬と、野生のシマウマ
→本質をエイドスで見ると、同じ馬
→本質をコナトゥスで見ると、別の存在
(例2)男女について
→エイドスで見ると、男らしさ、女らしさでの判断
→コナトゥスで見ると、その人その人の性質、できることで判断
②触発される力は時と場合で変化する
コナトゥスは、活動能力を上げることであり、その時の気分や環境、ライフステージによって大きく変化するものである。
よって、うまく生きていくためには、自分のコナトゥスの性質を知ることがとても大切になる。
ネガティブな刺激に左右されずに、自らの活動能力を上げるためには、実験を重ねながら、うまく自分にあう組み合わせを見つけることが重要になる。
③賢者とは楽しみを知ること
活動能力を上げるには、ポジティブな刺激を受け取る幅を広げることが重要であり、これが、賢者への道だという。
よってスピノザの賢者観とは、多くの仕方で刺激されうるような状態にあることであり、「多くの楽しみを知る」ことである。
④契約は更新し続けるもの
1人1人のコナトゥスを大切にする社会が、共同で安定した社会を形成する上で重要である。
そこでは、人々の間での社会契約が必要であるが、契約は常に更新していくものである。
スピノザの倫理感がわかってきたところで、本書の最大のテーマである「自由とは何か」について、まとめていきたい。
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