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結果1週間後に死んだ父が1週間入院させられて起こった理不尽な出来事について今日病院に手紙を出したよ。

○○○××総合病院
事務長様 4階東病棟看護師の皆さま

お世話になっております。
12月14日に入院し12月21日に退院した○○の娘、△△と申します。
その節はお世話になりました。
入院期間中における入れ歯紛失の件で、返答を待っておりましたが、一向に連絡がございませんので、文書を送付させていただきます。

1週間の入院期間における○○の入れ歯紛失について、3度の問い合わせで「ない」の返答でしたが、その後、「16日の検査時にはあったが、20日の検査時にはなかったので、病院で紛失しました」と電話でお知らせいただきました。
また、その後、事務の男性から電話をいただき、「作り直して請求書を出して欲しい」と言われましたので、「そうですか。でも、お金はいらないので、紛失までの経過が知りたいので文書にしていただきたい」と答えました。「上の者に相談してからお答えします」というお返事をいただき、電話を切りました。
連絡を待っておりましたが、残念なことに、何の返答も頂けないまま、2月を迎えてしまい、このような手紙を送らなければならなくなりました。

病院内で入れ歯を紛失したにもかかわらず、3度の電話で「ないです」の一点張りだったこと(アメニティを契約していたのに、入れ歯ケースさえ戻ってきておりません)、個室の希望を聞かれさえしなかったのに、支払いが済んで病棟に迎えに行ってから個室料金を請求されたこと(病院の手違いだったということで払わなくて済みました)。それらについて〝何故、そのようなことが起きたのか〟という点において、貴病院側が、検証をしていないことが不安でなりません。同じ間違いで同じ思いをする患者さんや家族がこれからもいると想像されるからです。

再び申し上げますが、金銭の問題だけではありません。検証と改善がなされないこと、報告をいただけないことに憤っております。
残念なことに、○○は12月27日に亡くなりました。
最後の4日はほぼ寝たきりでしたが、最後の日まで意識はあり、点滴はもうしないと意思表示して2日後に孫3人と私と愛犬が見守る中、静かに息を引き取りました。遺族の心残りは、秋にせっかく作った歯を入れてあげられなかったことです。
亡くなった人間に歯はいらないと思われるかもしれませんが、永遠の旅立ちに送り出す側としては、歯を紛失した理由を検証した文書だけでも棺に入れて、きちんと送ってあげたかったという思いで悔いが残っております。

コロナ禍下でもありますし、どの業界も人材不足の時代です。現場の看護師さんたちは目の前の仕事で手一杯だとはお察しいたします。しかしながら、どのような職種でもどのような状況でも責任は生じます。
短い期間ではありましたが、医師の話と看護師さんの話に食い違いも多く、もしかしたら、情報の共有や連携があまりうまくいっていないのでは?と感じました。
退院当日は、電話をいただいて支払いを済ませたにも関わらず、「まだ検査がある」と言われ、いろいろと説明時と食い違っていることが判明し驚きました。弱り切った父に不要だと思われる検査はお断りして連れて帰ってきました。

玄関まで送って下さった看護師さん(入れ歯の紛失を認める電話をくれた方です)、使用することがなかったテレビカードの払い戻しをして下さった男性看護師さん、その他、上司の命令と患者家族の間で翻弄されているようだった看護師さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました。連れて帰って最後に家で一緒に過ごせて良かったと心から思っています。

紛失について検証した結果をお知らせいただければ充分です。次は同じ間違いはおこらないでしょうから。
お忙しいところ申し訳ありませんが、お返事をお待ちしております。

                         2022年2月3日
                        ○○○○ 遺族一同

当然だが、書くのも出すのも平常心で簡単にできたわけではない。エネルギーがいるから書き出すまで時間がかかった。だからと言って、病院に対する恨みつらみとかも特にない。
その間に病院から連絡があって説明を受けていたらどんなによかったか、とは思う。

コロナ禍下で家族が一切入れない病棟内で、上下セパレートだがそこそこ大きい入れ歯がどういう経緯で紛失したのか。

買って準備しろと指示されて病院の売店で購入して渡した前開きの下着は2枚ともビニール袋から出されることなく、口腔ケアもなされないままだったのか。(口の中は歯も含めてガビガビの状態で退院した夜から2日かけてきれいにした)
アメニティを契約したのに入れ歯ケースも歯ブラシもティッシュの残りも何一つ戻って来ないのか。

聞かれもせず、もちろん希望もしていない個室のベッド代を、会計窓口で入院費を支払った後に病棟で突然請求されたのか。

事前に電話をもらって時間も確認して迎えに行き、入院費を清算して「病棟に迎えに上がってください」と言われて病棟に上がったのに「検査がまだあるから退院できない」と言われたのか。

いくつもの「なぜ?」を知りたいだけなのだが、そんなことはかなわないんだろうなとも思っている。諦めではなくて、そう思っている。
なぜって、理不尽なのだ、世の中は。
そして、社会的弱者に対し、世の中のふつうと言われる人間のほとんどは、結構な理不尽なふるまいをしていて、それはもう「ふつうのこと」として、ふるまって目にして、何も気づくことはないらしい。

黙って納得したふりはしないよ!
人のふり見て我がふり直しながら生きて行くよ!
と、写真の父に心の中で話しかけた。もう午前2時か…


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