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竹富島で出会った、いいかげんおじい

今年の夏は国内旅行に行けるのか。
数年前の今頃、石垣で潜ったついでに、ひとりで竹富島に行ったときの話。

石垣島からの船を降りたら、レンタルチャリ屋の車がズラリ。
大きなバスと小さなバン。
舌切りスズメの教えを忠実に守り、私は小さなバンを選んだ。
船から降りた他の人はみんな大きなバスに乗り込んで、小さなバンのお客は私だけ。
船から降りてくる人がいなくなったのを確認し、運転席のおじいが、ちょっと寂しげに話し始めた。
「おじいを選んでくれてありがとう。
お礼におじいが、竹富島のガイドをしてあげる。
昔ガガーリンが青く見えたと言うのはここの海のこと…」

・・・!!!
いいかげんな竹富島ガイドを聞きながら車で店に向かう。
…と、なんと店は100mくらい離れただけの掘っ建て小屋。

え、もう??
ボロボロのチャリが3台。
おじい「好きなの選んで」。
鍵ついてないよ…
おじい「カギなし、泥棒なし、信号なし」
時間過ぎたら後で払ってもいい?
おじい「多分いないから、このビンに入れといて。もう疲れた」。
身分証もいらない。名前を言うと聞き取れなかったらしく
おじい「メグミでいいや」。ノートに「メグミ」と書きなぐる。
レンタル終了。

あまりのいいかげんさに「島」を感じつつ、掘っ立て小屋を出発。
いきなり長い上り坂。しばらーーーく走ると、ようやく集落についた。
大きなバスに乗り込んだ人たちは、集落の中心にあるチャリ屋でキレイめなチャリを借りて走り回っていた。
あー、大きなバスは、ここまで一発で来れたのね。
舌切りスズメの教えも、あてにならない。

チャリは、前輪ちょっと曲がってたけど支障はなかった。
おじいに赤ペンで書いてもらったルートどおりにまわって小屋に戻ると、やっぱりおじいはもういなかった。
で、超過料金をビンに入れて、
ノートの「メグミ」の横に「500円入れました」と書いて、
歩いて港に向かった。

竹富行ったら、レンタルチャリは「嶺本」で!
おじいに会えたら、あなたはラッキー。

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