<連載> 小竹直人・原初の鉄路風景 Vol.3 特急白鳥との邂逅
私が生まれ育った場所に、信越本線の貨物線が通っていたと書いた。10歳の時に引っ越し、小学5年生になってから転校した。その通学路もまた線路を跨ぐことになり、ときに踏切に阻まれた。
その線路とは、貨物線ではなく信越“本線”である。貨物列車は入れ替えなどで5分や10分を要していたが、本線の列車だから警音が鳴りだしてから数分で列車は通過してゆく。そんなある日、踏切で足止めを食らっていると轟音をたてて凄まじい速さで列車が過ぎ去ってゆく。もちろん、それがどのような列車なにかも分からなかっ