ターゲットはいつもそこに

久々に一緒に出かけた
あなたと ただ 楽しむために
クリスマス休暇で 賑わう
金網で 仕切られた空間の
奥にあるのは
「やれるものなら やってみな」
そう 言わんばかりの的だった
両手で振り上げた 斧を
渾身こめて 的に向かって 投げた
他には何も 考えなくていい
5年先の事も 10年先の未来も
ただ両手で 握りしめた斧を
頭上に構え
片足を前に出して
体を前後に揺らし
勢いをつけてから
斧を放つ
あなたの投げる斧は
力が足りなくて
的に届かない
届いても 刃の向きがずれていて
的にうまくささらない
体力の 弱っているあなたは
「自分の分もやっていいよ」
と私に言った
的に刺さった斧を抜き
振り返って戻る時
あなたの 優しい眼差しが
まっすぐ 私に向けられていた
いつ振り返っても
楽しそうに 満足げに
微笑む あなたの眼差しが
あなたの放つ斧が
的に届かなくても
あなたの気持ちは
私に届いている
5年先 10年先は分からない
でも今日 この時
この一瞬 あなたの眼差しが
私に向けられているのなら
私があなたに背を向けていても
私を見守っていてくれるなら
あなたの思いは私を越えて
その先の 的の中心で
待っている


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