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こどもの発表会レポート『片鼻にキラリと輝く娘の本気』

※このレポートでは只々、親バカな表現が含まれています。特に気にされず「馬鹿だなぁ」とお読み下さい。

ステージの幕が上ると彼女は観客に手を振りながらその時を待っていた。そして音楽が鳴り始めると誰よりも腕を動かし、誰よりも高く飛んでいた。

          ✢


 段々とボリュームも無くなりかけたカレンダーもとうとう最後の一枚となった。
「今年も早かったね〜」そう言って破った11月の裏紙が、子供達のキャンパスとなるのは我が家の通例である。
よっ、待ってました。普段書くことのない画用紙のサイズに子供達は意気揚々とクーピー(色鉛筆)を走らせた。

12月は師走という事もあり、こども園ではいくつかのイベントが待ち構えている。発表会、クリスマス会、餅つき、その他諸々。
お陰様で休日の予定も、こども達のイベントで埋めつくされた(両手でピースサインを曲げている)

早速、今週末にイベントがある。12月のカレンダーに書き込んでいた『発表会』にむかって指差呼称のジェスチャーで確認した。

「あっ」

最近の何気ない日常の点と点が繋がったような気がした。
娘が嫁のスマホを取って何度も見ている動画があった。『パプリカ』である。
なぜこのタイミングでパプリカを練習しているのかと思っていたが、娘は一心不乱に練習をしていた。

扉越しに、その姿を私は『家政婦は見た!』かの如く、柱に頬をビッタリ付けて覗いていると「お父さん!見らんでよっ」と思い切り扉を閉められる。

「発表会で踊ると?お父さんも一緒に踊っていい?」

そう言って近付くと、リビングに構えたテーブルとテレビの間の狭い空間にてダンスバトルが始まった。

軽快に跳ねるように踊り出す娘を尻目に、運動会でのフォークダンスしか踊って来なかった私。必修科目に無かったダンスの弊害がここに来て現れたのだ。

私は火照った顔でニヤニヤと踊りだした。気持ちの悪い動きになっていたのが、消えている真っ暗なテレビの画面越しに確認出来た。
その情け無い父親の姿に娘は「パプリカ」というよりも、どちらかというと「ピーマン」を目にするかの様に、苦虫を噛み潰したような目で見ていた。

「・・・お風呂が沸いたみたい」


          ✢


 発表会の当日、私はステージ最前列を陣取りプログラム表を開いた。どうやら娘がいるユリ組の演目は中盤のようだ。
そして、定刻になり発表会が始まった。
ステージの幕が上ると、まず最初は最年少のバラ組による演目だった。

大音量の音楽が鳴り出した途端、ある子は泣き出し、ある子はフリーズしたままで、そしてある子は天井から糸が吊り下がった様なマリオネット人形みたいなダンスを踊った。

一見カオスのようなその光景も、去年のわが子を見ているような気がしてとても微笑ましいものだった。

その後も、つい手拍子を入れたくなるような演目が続く。

そして、いよいよ娘たちの出番が回って来た。

ステージの幕が上がると同時に、私は横向きに構えたスマホの動画を回しだした。スマホの画面越しには娘が全力で手を振り満面の笑みを浮かべているのが見えた。

(ムフッ♡)

後に動画を見直すと、気持ちが悪い私の吐息が混じり込んでいた。

父親目線の娘への「可愛い」は、他の子への「可愛い」の3倍増しという大学の研究結果が出ている。(適当に言ってみた)

もう私の視界には、娘しか映っていない。

デレデレになってスマホの画面を娘に合わせてズームにした。

しかし、躍動する彼女の片鼻にはキラリと輝くものが・・・。

彼女が音楽に合わせてピョンピョンと左右に跳ねると、キラリと輝くものまでシンクロして左右に揺れているではないか。

ピョンピョン♫

ユラユラ♫

ピョンピョン♫

ユラユラ♫

娘はお構い無しなのだ。

その堂々たる姿に、彼女のエンターテイメント性を感じ取る事が出来た。

これから彼女の成長に目が話せない!

ところで、先週踊っていた『パプリカ』はなんだったのか・・・。

ーーーおわり




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