寺地はるな「カレーの時間」感想~守るってどういうことだろう...。
家父長制度の価値観が残る昭和のおじさんたちによる失言。
・女性ももっともっと男の人に寛大になっていただけたら...(←ある政治家さんの失言)
・女性候補の名前を間違えて、あまりにも可愛かったので間違えました...(←ある政治家さんの失言)
・お惣菜売り場で幼児を連れた母親にむかって、母親ならポテトサラダぐらい作ったらどうだ...(←通りすがりのおじさんの失言)
おじさんたちは失言だとは思っていない。
だっても昔ならフツーだったから。
男は家の外で七人の敵と戦い家族を守る。
男は女を守るもんや。
女は家での中で家庭を守る。
夫に仕えるもんや。
幼き頃に両親を亡くし、家庭を知らない為に愛し方を知らない頑固親父。
昭和の親父ということで、本書のおじいさんまでもいかなくても私の父も横暴だったな。
たとえ黒でも、父が白といえば口答えを許されない空気が家の中で纏っておりました。
男は女子供を守る!リーダーシップなるシステムが刷り込まれていたんだろうね。
だから、おじいさんの気持ちもわからなくもないんだよ。
でも、台風の夜に妻子を置いて、仕事関係で心配な女性のところに行っちゃだめだよー。
昭和の頑固親父に慣れた私でも、それをされたら悲しいし不信感は募っちゃうよね。
家庭内でも報連相は大切!
よって、些細なことから大きなことまで積み重ねたものが家族を引き離す結果に...。
相容れないおじいさんと孫なんだけど、
日頃は噛み合わない会話ばかりなのに、レトルトカレーを食べてる時だけはちょっとだけ素直に話せるキュートなふたり。
おじいさんとの暮らしを経て、
言いたいことを声を大にして言えなかった孫が、
おじいさんのために家族のために意見する姿が頼もしかったよ。
守って...どういうことなんだろう。
本書を読んで老いも若きも改めて考えてみては...と思える作品でした。
不器用な高倉健風を良しとする時代は終わったのです。
時代とともに変わりゆくものがある。
だから、明日から先の未来に向けて、老いも若きも考えながら歩んでいくしかないのです。
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