マガジンのカバー画像

環のストーリー

98
生きる姿を、音楽と。環のストーリーを紹介します。
運営しているクリエイター

#同級生

世田谷の道に置いてきた

二股に分かれた道だった。敦は私が後ろから追いかけてくると思っていただろう。だけど私は、敦…

できるだけわかりやすく返すね 胸の奥の燃える想いを

久しぶりとカチンときた。 滌(でき)と深夜に電話をしていたときのことだ。 「環くんは人に依…

中学1年は最高と最悪だった

自分の律儀さがいけなかったのかな、と絶望を抱えた。 「もう連絡すんな」と文字が並んだガラ…

面倒くさいくらいの方が面白い

1月末の月曜日。 友達の佳(よし)が働いている美容院に行った。 佳とはこの美容院で、美容師…

置かれた場所で咲かないでください、なんとなくなら

先日、後輩から誘われて、大学時代に所属していた男子バレーボール部の練習に行くことにした。…

逃げろ!イカちゃん!

「お〜い!!!!戸田隆〜!!!!」 中学校の下校時間。 校門を出ると、中学校の隣にある民…

はみ出し者たちの旅

「ははははは」 学食から聞こえる笑い声は、嫌だという気持ちを通り越して、恐怖の対象だった。 私は2010年、第一志望の大学に合格し大学生となった。 将来就きたい仕事のマスコミに関する勉強ができるうえ、部活のレベルも自分にあっていた。 期待を胸に小田急線に乗り込んだ。 オリエンテーションなど一通りのイベントが終わり、部活で初めての春リーグが中盤を迎えたころ、徐々に自分の違和感に気づき始めた。 「お~環!」 「お疲れ!元気?」 「バイト漬けでつらいわ。全然勉強していない」

「くん」か「さん」で人は傷つく

「坂本環さ〜ん。あれ、おかしいな」 きっと私の顔は引きつっていた。瞳に宿っていた光はみる…

親友に贈るベイベー、ダーリン

 小説「スロウハイツの神様」(辻村深月著、講談社)にこんな一節がある。  現在は親友であ…

ねりま駅前環便利軒(字余り)

 2020年12月末、新宿三丁目にある24時間営業の中華料理店。 東京に帰ってきて1ヶ月…

臆病な表現者たちと住めたら

 初めて大型ロックフェスに行ったのは、2012年夏のロックインジャパンフェスだった。東京…