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愛車紹介7           MAVIC TARANTELLA GITANE VOGUE


1 はじめに

この話題は、既に2回にわたって記していますが
(一つの話題を少し引っ張りすぎでしょうか…(笑))
今回初めてこの話題のページを見る方向けに
掻い摘んで説明しますと
今年の5月に自転車に特化したフリーマーケットで
偶々入手したフレームについて
一見してフランスのマスプロメーカーが作ったものと思われていたものが
実は日本の有名なフレームビルダーが製作したものと判明。

当時を知る関係者等から話を聞くなどし、調べてみると実は
本場ヨーロッパで当時(´85年頃)レース活動を行っていた日本人選手向けに
特別に作られたフレームなのではないか?と言った
このフレームにまつわるサイドストーリーが見え隠れする
好奇心が刺激されるような方向性の話が見えてきた。
そんな話に発展してきたところです。

既に紹介している記事は、こちら。

その後また改めて
他に紹介する事項も判明した事から今までの内容も含め
改めて集約する意味で、今回紹介する事としました。
と言う事で、今回は葉山自轉車市場さんの特別協力を得て
(スタンドを貸してもらいました)
お外で撮影です。

2 外装(グラフィック、塗装について)

まずはちょっとここで前回の紹介では判明しなかった
この塗装やグラフィックについて
分かった事を紹介して行きたいと思います。
調べて行くと、ここだけでも結構奥が深いです。

少し逆光ですが、今回は葉山の海を背にして撮影です。
「フレンチ・レーシング・ブルー」と呼ばれる青色に
”CYCLES GITANE”のグラフィック。
下記の”GITANE USA”や”frickr"の解説では
この”CYCLES GITANE”のグラフィックは’84~’85年の仕様だそうです。
色褪せない、ポップなグラフィックです。

そして”TARANTELLA”のグラフィック

これは縦書きですね。
このフォントはプロチーム”GITANE Team Pro”や、市販のフラッグシップモデルに使われた
”GITANE”のロゴフォントと同じフォントを使用しています。
ハイエンド仕様をアピールしたいのでしょうね。
通常は横書きみたいです。

GITANEオリジナルのモデルでは
この車体と同等のスペックを持つマシンについて
”Team Pro”と言う名称のフラッグシップモデルがあるみたいですね。

http://www.gitaneusa.com/models_3.asp

上のHPを見ると、’80年代初頭に
ジタンのプロチームと同等のスペックのマシンが市販された様です。
その際に使用されたフレームのチューブについては
●販売開始~’83yモデル:レイノルズ531
●’84y~’85y:コロンバスSL
●’85y~’86y:一時的にカタログ落ち
●’87y:再度レイノルズ531
●’88y~:モデルチェンジ、Team Pro という名前をから Replica に変更。
カラーもSysteme U のチーム キットに合わせ (白、黒、黄色) も変更。
といった分類になるそうです。
(製造年とモデルイヤーにズレがあるかも知れませんのでご容赦下さい)

またGITANEオリジナルのモデルでは
リアブレーキのアウターケーブルの処理は
このVOGUE製と違い
ケーブルガイドを介した外付けではなく、トップチューブ内蔵。
フロントディレーラーが
バンド止め(下記オリジナル装着のディレーラーは、MAVIC810)
がオリジナルの姿になります。

ここに、”オリジナル”のMavic-Tarantella-Gitaneのマシンがあります。
画面をクリックすると、”flickr"のページに移動します。

IMG_8505

1984-85 ジタン チーム プロ、マヴィック 1000 SSC グループ

JohnnyBobのヴィンテージ バイク (50 年代 - 80 年代)

このバイクは、2000年代半ばに私のところに届いたときの写真です。おそらく、このバイクは、南フランスのマルセイユ近郊にあるレストラン/バー、タランテラがスポンサーとなっているアマチュア レーサーのものだったと思われます。興味深いのは、トップ チューブにスイスの税関の鉛シールが貼られていることです。これは、このバイクがフランス国外でのレースで使用されたことを示しています。

このバイクのチューブは Columbus SL であるため (1983 年以前と 1985 年以降は、Team Pro フレームセットは Reynolds 531 で作られていました)、このバイクは 1984 ~ 85 年モデルであると判断しましたが、ダウンチューブのグラフィックは 1985 年のものであり、実際、シート チューブのデカールは 1984 年の Team Pro バイクと同じフォントです。このバイクは「フレンチ レーシング ブルー」で仕上げられており、ほぼ完全な Mavic SSC 1000 グループを備えています。


バイク

フレーム: フレンチ レーシング ブルーの 1984 ~ 85 年 Team Pro。フレームセットには、Columbus SL チューブと Simplex ドロップアウトが採用されています。トップチューブとシートチューブはそれぞれ 54.0 cm と 53.5 cm です。

ブレーキセット: Mavic 430

ハンドルバー: Mavic 360

ステム: 12 cm Mavic 365 (12 cm)

ヘッドセット: Campagnolo Record アロイ

シフター: Mavic 820

フロントディレイラー: Mavic 810

リアディレイラー: Mavic 851

クランク

セット: Mavic 630 ボトムブラケット: Mavic 610 RD

ペダル: Mavic 640/641

ホイールセット: Mavic 550 RD (Mavic GP4 に組み合わされています)

チェーン: Sedis

フリーホイール: 6 速 Maillard Course

シートポスト: Shimano

サドル: Selle San Marco Rolls

Water ボトルケージ/ボトル: Cosmos アロイ

https://www.flickr.com/photos/65214324@N02/albums/72157716855045086/
上記Flickrの解説を、google翻訳したもの。
1984-85 ジタン チーム プロ、マヴィック 1000 SSC グループより。
拾い物ですが、’84年に使用された”GITANE”のロゴ。
facebook,High-end Classic Vintage Road Bikeshttps://www.facebook.com/groups/1902582550006052/?multi_permalinks=3700768346854121%2C3700197553577867%2C3700153513582271%2C3699970026933953%2C3699404493657173%2C3699194797011476%2C3698791613718461%2C3697856900478599%2C3697680723829550&notif_id=1725437523543121&notif_t=group_highlights&ref=notif
より引用。

本来”Team Pro”の”GITANE”ロゴは
上の画像のとおり、黄色い縁取りのロゴが本来のスタイルみたいですね。
その中で、今回組み上げた”GITANE VOGUE”は
”Team Pro”の仕様の中でも、コロンバスSLを使用し
ダウンチューブに”CYCLES GITANE”のグラフィックを貼付した
’84y~’85yモデルを基準に仕上げたものと思われます。

ここは私の推測ですが
’84y~’85yモデルについては
ダウンチューブにいつもと違う
”CYCLES GITANE”のグラフィックを貼付した事から
”GITANE”と”TARANTELLA”のフォントを同一にして
”Team Pro”であることをアピールしていたのかな?と
思いました。
そう言った様子から”TARANTELLA”については
GITANEが公認するチームないしスポンサーなのだろうなとは
薄々は思っていたところでした。

そして、上のFrickrの画像の様に
”Tarantella”のロゴは通常
GITANEオリジナルのマシンでは、横書きなんですよね。
多分ですが、縦書きにする辺りは日本的と言うか
VOGUEで施したのでしょうね。
あっ、でもRossinなんかは、シートチューブのロゴは
縦書きですよね。
それかGITANEオリジナルと区別するために行ったのかも知れませんね。

そして、”Tarantella”と言う言葉の意味自体を調べてみました。
言葉の意味自体は、イタリア語で
イタリア南部の港町タラントに由来する民族舞踊との事です。

私は最初
毒蜘蛛の”タランチュラ”から名前を取ったものだと思っていましたが

タランテラは、1人で踊ることよりはグループ、特にカップルや女性のペアで踊られることが多い円舞曲である。最初は右回りに踊るが、曲の一区切り毎に回る方向も左になり、テンポも速くなる。これが何回か繰り返され、遅れずについていくのがだんだん難しくなっていく。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

とありますが、”タランチュラ”もまた
イタリア南部の港町タラントが語源だったみたいですね。
当たらずとも遠からず、と言ったところでしょうか。

同じ町の名を由来とする蜘蛛タランチュラに噛まれると、その毒を抜くために踊り続けなければならないとする話から付けられたという説もあるほか、その毒の苦しさゆえに踊り狂って死に、それを表現したという説もある。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%A9#:~:text=%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%A9%20(tarantella)%20%E3%81%AF%E3%80%81%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%81%AE%E8%88%9E%E6%9B%B2%E3%80%82&text=3%2F8%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF6%2F8,%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%AB%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%80%82
より

その語源から最初は
自転車のレーシングチームであろう故に
ラテン系諸民族独特の高テンポな民族舞踊から、速さを起想させたり
高い士気を窺わせる様な、猛雄な虫を名前の由来した名前を
グラフィックにするのも頷けます。
この双方にあやかってチーム名にしたのは、自然な流れですよね。

そして結局、ここに言う”Tarantella”とは、上記のFlickrの説明文中に
当時のスポンサーであった
マルセイユ近郊の南フランスにあるレストラン/バー
タランテラとの記載があります。

下記のHPを見るとやはり、地中海・イタリア料理のレストランだそうです。https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g1580266-d6827924-Reviews-Restaurant_Tarantella-Port_de_Bouc_Bouches_du_Rhone_Provence_Alpes_Cote_d_Azur.html

※ただし、facebookからの情報では
”Tarantella”はスイスの自転車ショップとの情報もあり。
この辺りは要確認です。


そして、Mavic-Tarantella-Gitaneの紹介記事。

恐るべし、SNSのチカラ

この辺りまでの情報は、SNSの
facebookで主に地元フランスのユーザーから教えて頂きました。

言語力がなくとも
googleの翻訳機能などを使えば、かなりの精度で
海外の方とメッセージのやりとりが出来るのは
やはり凄いですね。
このやりとりが無ければ
ここに言うTARANTELLAが何なのかは分かりませんでした。

3 車体各部紹介

そして前置きが長くなりましたが
早速車体各部の紹介です。

ハンドル周りです。

このハンドルバーの名称は、番号による呼称ではなく
Mavic Comte de Coucyと言うみたいですね。
’80年頃のMAVICのカタログでは既に掲載されているのを確認しました。

バーテープはBENOTTOです。
室内で見た未使用時の状態では、焼けたイエローの感じがしていたのですが
改めて見ると、焼けたオレンジですね。
でもこれはこれで、味がありますね(笑
やはり海外の画像を見ると
この時代の車両のバーテープはBENOTTO率が高いです。
ちなみにバーテープの端末を茶色のコットンテープで処理しています。
こんなところに、ヨーロッパ感を感じてしまいます!
(葉山自轉車市場さん、ありがとうございます!)

基本、前回紹介と殆ど変わりありませんが

Modolo MasterProのOEMブレーキレバー。白いフードにModoloの「M」マークがありますね。

この涙ぐましいまでの肉抜き穴開け軽量化加工に
速さを追求しようとする本気度を感じます。
このブレーキレバー、車体に取り付けて実際操作すると
自分では手が大きい方だと思っていましたが
それでもこのレバーは大きいと感じます。

黒アルマイト処理に白い”MAVIC”のレターが眩しいです。流石ヨーロッパ製ですね。
レバーを裏から見るの図。

表は横2列の穴が、縦に12か所開けられていますが
これを見るとレバーの中は中空で、縦に6か所穴が開いています。
てっきりベンディングマシンでプレスされたレバーに
表だけを穴を後加工したものだと思っていましたが
これを見るとレバーは中空ですね。
こんなレバーの製法は、ロストワックスでないと出来ない様な気が…
すると結構手間が掛かっている訳ですよね。
色んな意味で、Modoloらしい造りですね(笑

クランプの六角は5ミリ、ウスの六角は7ミリ。我が道を行くフレンチ仕様。
7ミリの六角レンチは日本のガソリンスタンドや町の自転車屋さんでは殆どないのでは?
また、ハンドルバー根元左手の刻印をよく見ると” COMTE DE COUCY”の刻印があります。

” COMTE DE COUCY(クシーの伯爵の意)”の内、”COUCY(クシー)”とは
フランスのピカルディ地方にある有名な城
クシー城を意味するみたいです。

ステムの型番は、MAVIC360。
7ミリの六角レンチ(アーレンキー)って
ちょっと特殊ですよね。市中で市販されていないサイズですよね。
カンパCROCE D’AUNEのフィキシングボルトも確か、7ミリだった様な…

デッドストックのステムは、突き出し量100㎜です。
嵩上げされたステムは乗り易くてやはりイイですね!
誇らしげな”G”のヘッドマーク。
ITA→JIS化加工を始め、苦節のヘッドAssy。新品デッドストックですので動作は当然滑らかです。
またヘッドの取り付けや調整は、ヘッドに付属の専用工具で行います。
そしてキャリパーはレバー同様、Modolo MasterProのOEM、MAVIC430。
シンタード(焼結金属)製と思われるブレーキシューは、タッチも良好です。
プロスペックを誇示するグラフィック”MAVIC 1000 SSC”
SSCとは”SPECIAL SERVICE des COURSES”トッププロスペックを表す略語。
詳しく計測はしていませんが、VOGUEのスタンダードなフォークは
根元がΦ24と一見太いサイズですが
テーパー部分は細いところを残し、緩いアールが付けられている。
ここがVOGUEの秘密の一つだそうです。
そして”SPECIAL SERVICE des COURSES”(SSC)リムです。
数十年前の”完組ホイール”と言ったところなのでしょう。
金色のステッカーがまたスペシャル感がありますね。
リムだけで’89年頃の定価で、下位スペックのMAVIC GP-4の6倍近い値段がしました(驚
そしてSimplex SLJのOEMレバー。型番はMAVIC820です。
ヌルヌルな操作感に今は少し違和感がありますが、すぐに慣れると思います。
決して嫌いな感じじゃありません。

続いて、サドル、Rブレーキ、クランク周りです。

チェーンホイール周りから。

フロントディレーラーは直付けのMAVIC862。
チェーンホイールはMAVIC630。
アルマイト処理されたアウター53×42Tです。
アウターギアとクランクアームににもトッププロスペックを示す
”MAVIC SSC”のプリントが施されています。

ペダルはLOOKのOEMです。

当然、LOOKでもDELTAクリートを使用します。
型番はMAVIC 645LS”LOOK System”

こちらはフレンド商会善福寺店で購入した、新品デッドストックです。
PEDALES REF.645LSのシールがありますね。
同梱の説明書表面
説明書裏面。クリート位置決めの型紙。
多分まだシューズの底にネジ穴がない、革底のころのサイクスシューズ用なのでしょうね。
LOOK PP75のOEMです。
MAVIC 645LS”LOOK System”
参考:LOOK PP75、1986年に販売。
初代ビンディングペダルPP65の軽量化を始めとした、マイナーチェンジバージョン。
MAVIC製BB。ユニット式の為、BBシェルのロックナット取付部がテーパー化されていれば
JIS、ITA、BSC、フレンチ等と規格は関係なく取り付けが出来るそうです。
(でもその気になれば、テーパー加工がされてなくとも取り付けが出来るみたいです。)
サドルはTURBOの黄色。
再販ではなく当時モノです。本当は中のアンコが新しい再販物で黄色がないか物色しましたが
黄色の再販モノはないみたいですね。
当時モノですが意外にもアンコはへたっておらず、革も擦れ等はなく状態は良好です。
黄色のTURBOサドルも、段々貴重になって来た感じですね。
ステムの突出しが100mmですが、サドルはもう少し後ろにスライドでもいいかなと思いました。

Φ26.8のシートピラーはSUNTOURのシュパーブプロ。
個人的に、MAVICにシマノは合わないと思うところや
市川選手が過去に乗っていたマシンのAssyを参考に選びました。

Rブレーキキャリパーと、シートステーの”MAVIC 1000 SSC”のグラフィック。
シマノ、SUNTOURの製造国でのMAVICの立ち位置は、やはりマイナーですよね。
それ故に憧れでもありました。

そして、リア周り。
Rディレーラー、スプロケット。

Rディレーラー、MAVIC851。
スプロケットはSUNTOUR製、最大28T。
このスプロケットはサンツアーの6Sで、14×16×18×21×24×28です。
最大歯数が28と大きい為、チェーンは弛ませ気味です。
チェーンステーに貼付されたチェーンガード兼グラフィック。
そしてRもSSCリム。
RハブはMAVICのボスフリーハブ、MAVIC500シリーズ。

ラグ周り。
”EVEREST”のチーフビルダー
伝説の梶原利夫氏より、NAGASAWA製と教えて頂きました。

自己主張は控えめな”VOGUE”
この頃(’80年代)はヒタチ・マーク・ロッシンの時と同様
スポンサーカラーのフレームであれば、製作元の縛りは緩く選手の好みで選べられた時代でした。
このRフォークエンドのアジャスターの固着も、直して貰い
現在はスルスルに稼働します。
FハブもMAVIC500シリーズです。
F,R共にフォークエンドはカンパニョーロ製。
通称「笹葉」と呼ばれるシートステーの蓋の部分は、ラグを包み込むような造形で
ラップアラウンド型と言うのでしょうか。
シートピンはSUGINOです。市川選手はチームMITIHOで1年間スイスで武者修行の後
’85年にSUGINOに移籍しました。
VOGUEのフレームらしさが出ている、BBシェル周り。
チェーンステーの補強ステーは、市販されたフレームでもよく見るタイプの形をしています。

4 終わりに

そして先日手に入れた、’70年代のGitaneのウールジャージと共に。
これで今年のFVM(フレンチ・ヴェロ・ミーティングに参加しようと考えています。
但しニセフランス車ですが(爆

おしまい。

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