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『ジェイン・オースティンの読書会』のブラウニー

 ジェイン・オースティンが好きです。彼女の長編処女作にして死後に出版された『ノーサンガー・アビー』の中には下記のような文章があり、笑ってしまいます。約200年前の女性が書いたとは思えない、今の女の子みたいです。

ふたりはポンプ・ルームを歩きながら楽しいおしゃべりをしたが、もちろん話題は、若い女性をあっという間に仲良しにしてしまう話題、すなわちドレス、舞踏会、恋のたわむれ、そして奇人変人の噂などだった。(中野康司訳『ノーサンガー・アビー』より)

ゾーイ・カザンの母

ジェイン・オースティンファンなので、カレン・ジョイ・ファウラー著『ジェイン・オースティンの読書会』が発売されたときはすぐ買いました。

それを原作として脚本を書き、映画化したロビン・スウィコードという監督は、脚本家のニコラス・カザンの奥さんです。

名前からわかる通り、ニコラス・カザンはエリア・カザンの息子。2人の娘が『ルビー・スパークス』『レボリューショナリー・ロード』などに出演していたゾーイ・カザンです。ゾーイ・カザンはポール・ダノとの間に娘がいます。

あらすじ

年齢も職業も性格も異なる6人が、ジェイン・オースティンの読書会を行う、という映画です。

人生経験豊富なバーナデット(キャシー・ベイカー)が『高慢と偏見』、独身のドッグブリーダーのジョスリン(マリア・ベロ)が『エマ』、フランス語教師のプルーディー(エミリー・ブラント)が『説得』、離婚したばかりのシルヴィア(エイミー・ブレネマン)が『マンスフィールド・パーク』、
シルヴィアの娘でレズビアンのアレグラ(マギー・グレイス)が『分別と多感』、そして唯一の男性でSFおたくのグレッグ(ヒュー・ダンシー)が『ノーサンガー・アビー』。それぞれの読書会のホストとなり、場所と軽食を提供します。読書会が進むうちにそれぞれに訪れる人生の特別な局面が、どことなく微妙にジェイン・オースティン作品と重なるように描かれるのが見どころです。

原作では「まつ毛が長い」くらいのアピールだったSFおたくのグレッグを、ヒュー・ダンシーが演じるのがずるいです。

読書会のおもてなし

原作はホスト役が読書会でふるまう食べ物も細かく書かれています。

サン・ティーやピーチマルガリータなどのドリンク。

ワインが出てくる場合はプティ・シラーやグラフィナ・マルベック、ボニー・ドゥーン・ヴィンヤードの白ワインなど、ホストがどんなものを選んだのかもちゃんと教えてくれます。

軽食もクレム・ド・ミント入りのスクエアクッキー、干しクランベリーとクルミの砂糖がけをあしらったグリーンサラダ、フムスやアーティーチョークなど数種類のディップ、ルートビア・フロスト、ペッパークラッカー、自家製ストロベリーシャーベット、シュガークッキーなど、ちょっと気になるものばかり。

それぞれに人柄が表れている「おもてなし」の中身が細々と描かれているのもこの小説の楽しいところなのだけど、映画は時間が限られているから食べ物に原作ほどの存在感はありません。

マリファナ入り? のブラウニー

プルーディーの母親(リン・レッドグレイブ)がテレビを見ながら食べているのがブラウニーなのですが、原作には出てきません。

真面目な高校教師のプルーディーとは正反対で、母親は元ヒッピーのだらしない女。

プルーディーが家に帰ると、部屋はメチャクチャ、台所は汚れっぱなし、床の上に直にブラウニーの型が置かれてカーペットが焦げているのに、母親は平然とテレビを見て笑っています。

母親の意識がちょっとふわっとしている様子から察するに、ブラウニーにはマリファナが入っている? 

アメリカの映画やドラマにおける「ブラウニーといえばマリファナ」という表現の多さには本当にびっくりします。

ブラウニーのレシピ

ジェイン・オースティンと深い関わりがあるわけでもない菓子ですが、ブラウニーを作ってみました。

【材料】
・無塩バター 50g
・ゴールデンカスターシュガー 125g
・ゴールデンシロップ 37.5g
・70%ダークチョコレート 137.5g
・卵(中サイズ) 2個
・中力粉 35g
・ココナッツフレーク 25g
・ドライチェリー 50g
【作り方】
・オーブンを170℃に余熱する
・大きなソースパンで、バター、砂糖、シロップが滑らかになるまで溶かす
・火を止めてチョコレートを加え、よく混ぜる
・卵を溶いてチョコレートの混合物と混ぜ合わせる
・小麦粉、ココナッツを加え、十分に混ぜる
・クッキングペーパーを敷いた15cm×20cm×2.5cmのトレイに注ぎ、平らにならす
・チェリーをブラウニーの表面に散らし、30分間焼く
・オーブンから出して冷まし、一晩冷蔵庫で冷やす
・型から出して、ペーパーを取り除き、濡れたナイフを使ってブラウニーの端を切り落とし、好きなサイズの四角形に切る
・食べるときは室温もしくは温める
・密閉容器に入れて冷蔵庫の中で4日間保存できる

このレシピは濃厚なチョコレートの塊を食べている感じ。チョコレートの羊羹みたいです。一晩おいただけではまだ卵の生臭さみたいなものが気になったので、二晩くらい冷蔵庫においてちょっと締まった感じになったくらいが好きでした。本当はずっしりしたチョコレートの塊と、ふわっとしたケーキのスポンジの中間ぐらいが理想です。ブラウニー研究はまだまだ続きます。

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八丁堀OL、京橋OL、神保町OLを経て、現在、水道橋OL。 毎日のめんどうな家事を本や映画にこじつけ、妄想を膨らませて楽しんでいます。 趣味は古い料理書を漁ること。 いつか食べてみたいのは『羊たちの沈黙』のFBIケーキ。
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