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『現代俳句女流百人』を読む。-野澤節子-

『現代俳句女流百人』より、俳句を紹介する連載。
好きな句と作者を紹介したいと思う。

今回は野澤節子氏。

天地の息合ひて激し雪降らす

※天地にあめつちとルビ。

野澤節子


神話的な擬人法。

天地の部分をあめつちと読ませる工夫も、厳かさがあって良い。

せつせつと眼まで濡らして髪洗ふ

野澤節子

生活の一場面における切実さがある句。

本によると病気が回復した後の句のようだ。
その背景を加味すると、さらに切実に思える。

髪を梳くたびにさくらを散らすなり

野澤節子

髪とさくらの取り合わせが、上品で良い。

冬麗の不思議をにぎる赤ン坊

野澤節子

赤ちゃんの、ものすごい握力を思い出す句。

赤ちゃんのグーの手に握られた、不思議に魅力がある。

るんるんとこけし生るる聖五月

野澤節子

「る」の多さが明るいリズムを生んでいて、上向いた気持ちが伝わってくる。

作者は五月もこけしも好きなのだろうなと思う句。

まとめ

作者は二十数年来のカリエスの治療を終えて、健康になった。

そういった背景もあり、
ちょっとした日常の句
(今回は髪を洗うなど)でも、
生きる事への喜びが表現されているように感じた。

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