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高校卒業後に、人の「死」と向き合う仕事に就こうと思ったわけ 【卒業生インタビューvol.1】

きっと誰もが経験するであろう、大切な人との死別。
その時に、亡くなった方とそのご遺族の気持ちに寄り添い、「いのち」や「想い」を引き継ぐためのお葬式という場。高校生の時にこの分野に進むことを決断した荻原さんにお話を伺ってきました。

人の「死」を扱うお仕事に就こうと思ったきっかけや、おくりびとアカデミー在学中の1日のスケジュール、それから将来のことまで、たっぷりお届けします。


◯プロフィール◯
荻原杏実さん
1999年生まれの、現在20歳。母方の祖父の代より葬儀会社を営む家族のもとに生まれ、幼い頃から、人の最期の旅立ちをお手伝いする仕事に興味を持つ。高校卒業後、葬儀の専門学校にて葬祭知識を学びながら、2019年4月より、おくりびとアカデミーにて納棺師としての勉強も並行して行ってきた。2020年より就職予定。


|人の「死」に日常的に向き合う仕事に就こうと思ったわけ

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ー今日はよろしくお願いします。まず、人の「死」を扱うお仕事に興味を持ったきっかけについて教えてください。

母の祖父の代から葬儀会社を営む家族のもとに生まれ、小さい頃から日常的に両親の仕事姿を見ていました。その中で、私も両親のような仕事をしたい、忙しく大変ながらも一人一人の故人様に丁寧に向き合っている姿を見て、私も手伝いたいと思ったからです!でも、知識を得た上で働きたいと思っていたので、実家の群馬県の高校を卒業した後は専門学校に通うことに決めました。

ー高校では、他の職業と迷ったり、大学への進学を考えたりすることもありましたか?

確かに同級生に、「どうして葬儀を仕事にするの?」と不思議がられることはたまにありましたが、特に迷うことはなかったです。
というのも、やはり幼い頃から親しみを持った仕事だったのと、家族のために知識をつけて実家に戻り、役に立ちたいという思いが強かったので。

ー意志がしっかりしていたからブレなかったんですね。進学先の葬儀の専門学校ではどんな授業を受けていたのですか?

まず、専門学校では、葬祭ディレクターを育成するためのフューネラルディレクターコースと、ご遺体を美しいままに保存するための科学的な施術について学ぶエンバーマーコース、2つの専攻から自分の興味分野に合わせて学んでいきます。私は、「お葬式に関わりたい」という想いからフューネラルディレクターコースに在籍し、葬儀全般の知識を学んでいます。

ー結構幅広い知識を学んでいくのですね!1週間の流れはどのようになるのですか?

2年間の在籍になるので、授業は結構ツメツメでハードです。(笑)月曜日から金曜日まで9:30〜16:30までほぼ授業が入っています。空いた時間で居酒屋のアルバイトもしています。

当コースでは2年生の9月に、厚生労働省認定の「葬祭ディレクター技能審査」の受験資格が与えられるので、この資格を取るために、葬儀の受注や会場設営、式典の運営などに必要な知識や技術の勉強も大変でした。

筆記の試験だけではなくて、実技試験もあり、そこでは模擬葬儀をするんです。葬儀の打ち合わせから設営、司会、テーブルの準備などなど。
試験当日はとっても緊張しました!

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ー想像しただけで、超忙しそうです!(笑) 今までたくさんの授業を受けてきたと思いますが、思い出深いものはありますか?

課外授業が一番印象に残っています。野外にテントを張って執りおこなう寺葬や樹木葬、桜葬など、ユニークな葬儀を勉強できました。
後は、火葬場の裏側を見ることができたのも、学校に通っていたからこその経験だと思っています。ご葬儀は、裏方のお仕事の方が大変であるにもかかわらず、ご遺族の目につかないところでも丁寧にご遺体に向き合う様子に感銘を受けました。
この仕事を選んでよかったな、と思った瞬間でもあります。

|故人様 、そしてご遺族により近い立場で旅立ちの準備ができる納棺師の仕事に惹かれて


ー専門的に勉強しているからこそ立ちあえる瞬間がたくさんあったんですね。専門学校でも勉強しながら、おくりびとアカデミーにも在学していたのはなぜですか?

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納棺師について深く勉強したいと思ったからです。
1年生の時に、クラスメイトとチームを組んで模擬葬儀をやってみるという授業がありました。そこで私は納棺師の担当になったんです。そこで初めて納棺師の仕事の一連の流れを体験してみました。
その後、映画『おくりびと』を観たことや、お着せ替えの授業などをきっかけに、より近い立場で旅立ちの準備ができる納棺師の仕事に次第と惹かれていきました。
そして、2年生の4月から、9月までの間、おくりびとアカデミーで勉強することを決め、16:30までの学校のあと、週4日間19:00~22:00の間でダブルスクールをすることになりました。

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週3日でアルバイトもしていたので(笑)、本当に何もない日がない、というくらい超多忙でした。月1回実家に帰り、家族との時間を過ごすことが唯一の癒しでした。でも、授業は本当に充実していて楽しかったです!

ー毎日予定が入っており、忙しそうですが、充実している様子が見て取れます!どんな授業が印象に残っていますか?

やっぱり、おくりびとアカデミーの人気の一つである、お着せ替えの授業です。授業を受けるまではあまり意識してこなかったのですが、ご遺体は全身の力が抜けており、とても重いんです。さらに関節も硬くなっていてたり、曲がらなくなっていたり。そのような環境で、美しい所作を意識するお着せ替えは、とても難しかったです。

「力を入れているけれど優しく見える所作はどんなだろうか…?」
「どうしたら柔らかく優しい所作を作ることができるのだろうか?」

そんなことを考えながら、ご遺族の方に安心を与えられるようなお着せ替えの方法をに試行錯誤していました。

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その他にも、ワセリンとファンデーションを混ぜて傷口を隠す技術など、故人様がご遺族に綺麗なお姿のまま送り出してもらうための1つ1つの細かな配慮を学ぶことができたのも、おくりびとアカデミーならではかなと思います。

参考:https://okuribito-academy.com/noukan/


|「綺麗にしてくれてありがとう。」という言葉は何よりも励みに

ー2020年に専門学校をご卒業された後の進路について教えてください。

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卒業後はおくりびとのお葬式を行っている、ディパーチャーズ・ジャパン株式会社に入社します。納棺師が主体となってご葬儀を創り上げていくところや、お着せ替えの技術の高さに惹かれ、入社を決めました。

ーこの先の夢や、やってみたいことはありますか?

就職をして独り立ちできるようになったら、実家に技術を持ち帰り、地元群馬でも広めてみたいです。会社を創立するなど大きなことは考えていないのですが、実家の会場を利用して関係者に向けてイベントや勉強会などができたら面白いなと思っています。

ー最後に、納棺師や葬儀ディレクターのお仕事に興味がある同世代の方へメッセージをお願いします!

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大変じゃない仕事はない!これに尽きるんじゃないかなあ、と思います。
この業界で勉強をしてきて、良いことも悪いこともたくさんあったけれど、
こんなに人に感謝されるお仕事はないと思います。

ご遺族から頂く、「綺麗にしてくれてありがとう。」という言葉は何よりも励みになります。

お葬式は人生に一度きりです。そんな機会に自分が携われることをとても誇りに思っています。学生生活はと〜っても忙しいですが、粘り強く頑張ってください!応援しています!


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