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蒼き狼 井上靖

こんばんは。一か月ぶりの投稿になってしまいましたが、たくさん読みまくっていたももこです。
夏がおわったーー!

今月読んだ一冊は、『蒼き狼』著:井上靖 です。

心に残った文↓
「モンゴルは?」
若者は掴みかからんばかりの形相で言った。
「モンゴルは狼になる」
男は言った。

蒼き狼

「ジュチよ、お前は大きくなったら、戦闘の一番烈しい部署だけを受け持たなければならない。だれもができないことをやらなければならない。祖父エスガイ、父鉄木真もできなかったことを成し遂げなければならない。そうするために汝は生まれて来たのだ。モンゴルの神なる天が、モンゴルのために汝をこの部署に与え給うたのだ」

蒼き狼

「ジュチよ、汝のこんどの作戦に対する賞として、父は何を汝に与うべきか」
すると、それに対して二十五歳になったばかりの若い武将は、「限りなく次々に苦難に満ちた命令を与えていただきたい。自分は次々にそれをやり遂げるであろう」と言った。

蒼き狼

チンギスカンがジュチに最も苦難に満ちた指名を与えたのは、それはジュチの希望でもあったし、チンギスカンの希望でもあった。ジュチよ、汝は狼になれ!

蒼き狼


感想↓
この本を読むのは2回目で、モンゴルに関する本を読んでみたいなと思ってブックオフで手に入れた!太陽に焼けていて古くて臭い本だけど、私にとってとても大切な一冊だ。
チンギスカンは、自分の母親がどこかの部族にはらまされてできた子だった。自分はモンゴルの血を引いているのかわからない。そんなアイデンティティの確立ができていない状態が本の中からうかがえた。
だからこそ、自分の奥さんに産ませた子供(ジュチ)には莫大な信頼を置いていたのではないかと思う。
ジュチに対する父性愛がとても心に響くし、狼になれというシーンも何度も読み返した。
最初は字が細かくて読みづらい本かと思ったけれど、文章がうまいのなんのって・・・。天才だと思った。
最初モンゴルは、どんどん世界征服をしていって、自分の文化とかを顧みずに、排他的になっていたけれど、次第に今必要なのは他国の文化・文明なのではないかと気づくシーンがとても胸に響く・・・。
何事も素直に受け入れて、違いを肯定し合っていくことでいいものが取り入れられていったのだなぁと感じた。
この本はまた定期的に読み返したいし、パワーが貰える素晴らしい本だと思ったのでみなさんにもお勧めしたいです。

2023夜書す。
明日は東京だー!」

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