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「できる人」になりたかった私へ

「10年前、アナタは誰でしたか?」

タイムラインに流れてきたCM。
10年前、私はちょうど社会人1年目だった。

先生になりたかった。
でも、このままの自分では自信をもって子どもたちの前に立てない、社会に出ていく子たちに何も教えられることがないという気持ちの方が大きかった。

そんな私が選んだ就職先は、急成長中のITベンチャーだった。

最終面接は今でもよく覚えている。「できる女になりたいんです。」と社長に言った。

今なら「できる女」ってなんだよとつっこんでやりたいが、当時の私にとっては切実な目標だった。力がないと、自分のやりたいことはできないと思っていた。できることを増やさないと、誰の役にも立てないと思っていた。

会社に入ると、周りは「できる人」たちばかりだった。同期も、先輩も。
自分は全然価値を生み出せていないんじゃないかと思って、がむしゃらに働いた。時間内に仕事が終わらないのは、自分の力が足りないからだと思っていた。働く時間を増やすしかないと思っていた。連日の終電。たまに終電を逃してタクシー。

2年目に入る頃、私は働く意味を見失いかけていた。
転職エージェントに登録した。エージェントの女性からメールが来た。
「まずは電話で面談しましょう。」

忙しすぎてしんどい。何のための仕事か分からなくなっている。

おそらく、そんなことを話したと思う。エージェントの方は、一通り聞いた上で、転職するならどんな可能性があるのかも話してくれた上で、「でも、もう少しやってみたらどうか」と言ってくれた。

悩んだ結果、私はその会社で働き続けることを選んだ。今思えば、誰かに話を聞いてほしかっただけだったのかもしれない。

・・・

そうしているうち、いつかやりたいことを実現する力をつけるために、貴重な20代の時間を過ごしていていいのだろうか、やりたいことを今やった方がいいんじゃないかという気持ちが芽生えてきた。
次の可能性を探す中で島の教育に関わる仕事に出会い、転職した。

結局新卒で入った会社には丸3年いた。島での仕事も3年くらいかと思っていたら、なんだかんだで6年が経っていた。
そして、「やっぱり先生になろう」と10年いるつもりで転職した新しい学校の立ち上げは、1年で辞めてしまった。
社会人11年目の私は、教育に関わる民間団体と教育委員会という2つの組織で仕事をさせてもらっている。

社会人1年目の時には想定もしなかったところに、いる。

今でも社会人1年目の私が思っていたような「できる人」にはなれていない。でも、自分が「できる人」にならないと実現できないと思っていた理想は少しずつ形になってきている。

自分ができるかどうかは関係なかったのかもしれない。本当にやりたいのなら、誰かの力を借りたり、やりながら学んだりして、やってみればいい。

どうやったらそこに行きつけるか、先のことばかりかんがえなくてもいい。今はこれだと思う自分の直感を信じて、それに没頭した先に、次の一歩が見えてくる。

自分を信じて進む。先を決め切らずに漂う。

「10年後、アナタはどんなアナタになっていますか?」

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