「ひとり暮らしの戦後史」は役に立つのか
ひとり暮らしは最高だ。
夜がな、日がな、野生的にプライバシーを貪れる。
何食べたってイイし、何食べなくたっていい。
ポテチを開けたら全部だ。
皿を洗う。散らかす、お湯を沸かす。すべて自分に返ってくる。ピンからキリまで自律的だ。
今日は、ひとり暮らしにまつわる本を読み終えた。
読んでいたら、電車を降り過ごした。
話はツイストするけど、電車で読んでる人がいたら、「聡明な人なんだろうなー」なんてバイアス(妄想)をかけてしまう出版社がある。
みすず書房 なんて爆裂してる。
本はファッションやインテリアじゃない。という気持ちもあるけど、関係ないね。何に使おうがどう考えようが自由だ。
はじめて、「みすず書房だな。」と意識した本は、ハンナアーレントの本をちゃんと読もうと思ったときだ。
「夜と霧」なんかも読み返して、辛かったし、ホロコーストサバイバーを想っていけない日なんて一日足りともない。
最近だと「タコの心身問題」は本当にド級に良い本で、タコとの向き合いを考え直すきっかけになった。
みすず書房の本は気合を入れないと買えないけど、岩波書店の新書なんかは、聡明さも担保しつつ、とても気さくで身近だ。
ひとり暮らしの戦後史 は、岩波新書のグリーンだ!
色がいい。RGB to HEXで#3b9284だ。
戦後の30年間の女性のひとり暮らしエピソードを詰め込んだ本だった。
結婚しても良いし、しなくても良いという今の時代とはわけが違う、社会をひとりでサバイブした女性たちの物語だ。
はじめのびっくりエピソードは、男性の定年は60歳、女性の定年は45歳。働き盛りに、あまりに理不尽な社則に驚いた。
他にも、政治思想で賃金が変わる銀行。
女性には研修をうけさせない大手メーカー。
知らない差別のオンパレードだ。ここに登場する女性は、当時でもマシだったとのことでやるせない。
女性の就労は結婚するまでの腰掛けとされてきた時代性を通して、結婚と仕事、子育てと仕事。そういう天秤に否応なく乗せられた人、端境にある人がいるなら、きっともっと別の形のメッセージを受け取る本だろうとも思った。
令和の時代が不十分といえども、ようやくここまで来ました、、、という日本の成長をポジティブに捉えられると言ったら、怒られるかも知れないが
今、ナウ、21世紀前半の女性の労働現場の不平等さを書いた本があるとして、100年先の日本人が読んだときに、同じように同情を寄せる未来があってほしいなと思った。