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微熱。


微熱を感じる。
ほのかに熱い。

夜風にあたり、少しだけ火照りを冷ましたい。

暗闇の中、遠くで車の走る音が微かに聞こえる。
街はまだ動いている。いつも動いている。

僕はベランダに出て、四階から眺める何でもない近所の景色に触れ、そういえば、今日も一日何も喋っていないことに気づく。

誰も僕に興味がないのだろう。
そして、僕も特に何も知りたいと思わなくなっている気がする。

それに関して、特に後ろめたい気持ちはなかった。
むしろ、清々しい。

ただ、微熱を感じ、それを冷ましたい。

「さて……」
僕は、自分にも聞こえないぐらいの声で呟き、また一人の世界へと戻っていった。

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