見出し画像

時間がないという、言い訳が欲しいだけなのかもしれないという、弱さに。

いつも誰かに邪魔されるようなイメージが頭の中に残っていた。
だから、どこかで「時間がない」と思い続けている。
何か大事なことをじっくりと考えたいのに、その時間は僕に与えられておらず、すぐに答えを出して、そしたまた次の作業へと移らないといけないような感覚。

「……か」

と、時間があるときに、思った。
だから、逆に、時間があるということに落ち着かない。
何をしてもいいし、ゆっくり考えてもいいし、しっかりと自由な状態にあるにもかかわらず、それはすぐさま奪われてしまうような「余裕のなさ」だけが、染みついた状態。

すぐに「イメージ」が過去に引き戻し、僕に余裕のなさを与え、また、起きてもいない未来に、「奪われる」と思い続けている状態。

「なんで、こんなことになっているのだろう」

と、口に出して呟いてみた。
そして、今まさに「時間をゆっくり使える状態」の最中であるにもかかわらず、持て余しているという矛盾。

僕は意識を集中して、出来るだけ丁寧に、この「時間がない」ということについて考えてみようと思った。
ここで、ある程度、理解しておかなければ、僕はこのまま、本当に時間を失ってしまうかもしれないというある種の恐怖に襲われたからだ。

「すみません、お客様、閉店です」
ファミレスの店員に言われて、顔を向けた。
「24時間営業じゃないのですか?」
「はい、うちのチェーンは、先日から24時閉店へ変わりまして」

追い出されるのである。
僕は、また「奪われた」という過去を自らに植え付けそうになる前に、いや、冷静になれ、ただ、閉店時間なだけで、何も奪われてはいないのだ。と、言い聞かせる。
僕が知らなかっただけで。

なぜ奪われると思うのだろうか?
僕はそのことを考えながら、三時間はかかる道のりを歩いて帰ることにした。
知らないことが多すぎる。
そして、知らないで良いようなことも知らないといけないと思いすぎているような気もする。
ややこしい。

僕は立ち止まり、夜空を見上げた。
「……」
その夜空に興味がもてるのか、しばらく眺めることにした。
奪われることを望んでいないと信じて。

よろしければサポートお願いします。大切に使わせていただきます。