分裂。

正月太りをした紘一は、高1。
四キロ太り、それでも食べ続け、一週間で、二十四キロ太った。
さすがに体が重い。

紘一は、祈った。
「どうか痩せますように」

次の日、紘一は三十二キロ痩せた。
と、同時に、三十二キロのミニ紘一が現れた。
「どうすんだよお前が余計なことを祈るから、分裂しちまったじゃねぇか」
と、ミニ紘一は言った。
「うるせぇ、お前はお前で好きに生きればいいじゃねぇか」
と、紘一は言い、高1の残りを過ごす。

その間、ミニ紘一は、食っちゃ寝を繰り返し、五十五キロになった。
紘一が高2になったとき、ミニ紘一は、紘一を拘束し、代わりに高2を過ごした。

拘束された紘一は、みるみる痩せて、三十二キロになった。
「お前痩せたな」
と、元ミニ紘一が言った。
「お前も痩せたんじゃないか？」
元ミニ紘一も高2は結構、しんどい日々だったのだ。

よく朝目覚めると、紘一は、一つに戻っていた。

「……夢か」

そんな初夢。
紘一は正月太りで二キロ太った。

今年は高3になる。