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浅香唯さんと僕たちの物語。

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「浅香唯」さんと、文字を打つと僕のテンションが上がります。僕たちの生活に、浅香唯。
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2023年10月の記事一覧

覚醒【短編小説】

覚醒【短編小説】

ある日唐突に覚醒した。

「ん?」

唐突すぎて笑ってしまった。
浅香唯の「幸せの色」を聴き終わり、「愛の元気主義(1989ライブ版)」が始まってすぐに覚醒したのがわかった。
浅香唯が、観客に「みんな元気?!」と、呼びかけたところだ。
場所は、東海道線の茅ヶ崎と辻堂の間。

「ヤバっ」
と、思わず声が出た。

覚醒とは?

突然、視界が広がり頭の中がクリアになった感覚。
色々と体中にへばりついてい

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歩ける気分【短編小説】

歩ける気分【短編小説】

昨日の帰り、バスが来るまで少し時間があった。
まだ夕焼け。
暑さも和らぎ心地良い涼しさ。

歩いちゃおうっかな。
と、次のバス停まで歩くことに。
スマホで音楽を聴きながらトコトコトコトコ。
腕を振りながら「健康になっていく」気がする自分に嬉しくなる。
もっと腕を振りつつ、足を出すとき腰を少しひねったり。

ああ、これから歩いて帰ることにしようかな。
なんて、気持ちも舞い上がる。
一つ目のバス停を越

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インドアカレー【短編小説】

インドアカレー【短編小説】

電車が事故で止まってるらしい。
僕は帰るのを諦めて、なにかしら適当なものを食べて、ネットカフェにでも泊まってしまおうかと考えていた。

タクシー待ちの人の列。
改札に溜まる人混み。

とにかく駅から離れる。
しばらくすると、人の気配もなくなり、街灯の光すら弱い静かな道へと出た。

ふと、カレーの匂い。
少し先に、カレー屋の看板が見えた。
簡易的な看板。A4ぐらいの大きさで、丸文字の手書きで「インド

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カレーなる浅香唯【短編小説】

カレーなる浅香唯【短編小説】

黄昏。
漠然とした喪失感。

「……」

やる気が出なくて焦っている。
そういう気持ちは心地良くない。
焦らなくていい。
休んだほうがいい。

「……カレーかな」

玉ねぎ、トマト缶、鶏肉。
赤缶カレー粉、ヨーグルト、蜂蜜、ブイヨン、コンソメ、ウスターソース、バター。
を用意する。

「考えるな」
と、小さく呟く。

テレビをつけ、YouTubeを見られるようにして、浅香唯のライブを流す。

「…

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