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やっぱり情熱

「マシンガンが欲しい」

 ある日小学生の息子がそんなことを言い出しました。
 「おいおい何を言い出すんだ」と私は思いました。
 このお話の続きは後述します。


 皆さんは夏といえば何を思い浮かべますか。
 私は大量の汗をかけるので夏こそジョギング日和だと思っています。
 小学生の息子は夏といえば水鉄砲合戦のようです。

 先日、子供が電動型のマシンガン水鉄砲を購入した際に気づいた以下の点についてお話します。子供にお金の教育をしていると親が学べることがあります。


「欲望と情熱は行動の土台になる」


 息子は水鉄砲合戦が幼稚園生の時から大好きです。小学生になった今でもめちゃめちゃ好きなようです。普通の水鉄砲では飽きてしまい、最近は数千円する電動型のマシンガン水鉄砲(以下ウォーターガン)が欲しいと言い出しました。私からすると「そんなもの何が面白んだ」と思いましたが、サバゲーが好きな大人もいっぱいいますのでしょうがないかと思っています。

 私の家庭では定期的なお小遣いはあげていません。「お金は仕事をして稼ぐもの」という教育をしているので、仕事をした分の報酬として子供にお金を渡しています。
 息子の仕事はお風呂掃除です。その仕事で普段お金を貯めています。ただ、6月分の報酬では、ウォーターガンがギリギリ買えないということに気づきました。私の家庭ではお金は貯めるお金と使うお金に分けることを教えています。
 貯めるお金は本当にいざという時のために取っておくもので、ウォーターガン程度で発動させるものではない、というのは子供はよく分かっています。

 6月の報酬だけではウォーターガンは買えない、かと言って貯金を使うわけにはいかない。そこで息子は日雇い労働をすることにしました。
 トイレ掃除やベランダ掃除など普段はやっていない仕事をすることで臨時収入を得ました。

 ウォーターガンというニンジンがなければ間違いなくこの日雇い労働はしていなかったと思います。一過性の小銭より「面倒くさい」が勝つことは過去の息子の心理から明らかです。
 欲望や情熱は人を動かす、ということを改めて学ぶことができました。


 今私にはウォーターガンほどの情熱を持てるものはありません。時間があれば旅行に行きたいですが、普段の仕事にプラスアルファで日雇い労働をしてまで旅行に行きたいとは思いません。

 このような人間の欲望と情熱という心理(真理)を理解しているマネジメントはどれだけいるのでしょうか。

「業績が上がったらたくさん賞与がもらえるよ」
「成績上位を続ければ同期よりも早く昇進できるよ」
 このようなニンジンで高い情熱を持って働ける人たちは本当に素晴らしい社員です。
 実際は賞与や昇進は人の情熱を焚きつけるほどのニンジンにはなりません。


 私の息子はトイレ掃除をすればお金がもらえるということは以前から分かっていましたが、金銭欲よりもめんどくさいが勝っていました。
 会社員の方も、本当はもう少し頑張れるけど、もう少し頑張れば去年よりは良い成果が上げられそうだけど、めんどくさいが勝ってしまっている人は多いのではないでしょうか。どこかで「無理はしなくていいや。ほどほどにやっておこう。」と開き直っている人は少なくないでしょう。これでは企業の爆発的な成長は望めません。

 かと言ってマネジメントから社員に向けて「何か欲望を持てよ。何か情熱を持てよ。」と言って強制をしても効果はないでしょう。

 経営者ができることは「経営者が夢を待ち社員に語る」つまり経営者の情熱欲望を社員に見せるということです。
 笑いや涙は人に伝染します。情熱も伝染するはずです。
 人的資本経営の仕組みも大事ですが、社長がまずできることは情熱を社員に伝え続けることだと改めて思います。


「熱いか、熱くないか」
この視点で決算説明会をご覧いただくのはいかがでしょうか。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


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