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金融教育が必要な時代

 金融教育の専門家、遠藤です。


 2024年7月31日、日銀の金融政策決定会合で3月のそれ以来ぶりになる利上げが行われました。日本ではあまりに低金利の時代が続いたため、大人も金利のある時代を知らない人が多いと思います。

 金利がある世界はしっかりと消費行動の選択をする必要があります。

 例えば銀行預金で金利が年5%つくとします。そうすると今の100円は1年後にほぼ確実に104円になることになります(一応税引きにしています)。

 ただ、銀行預金で金利が5%もつくということは、物価上昇率はそれ以上になってる可能性があります。ここで言う物価上昇率とは統計的なものではなく実質的なものです。


 例えば100円のどら焼きが、気づいたら120円で売られていたという現象は最近珍しくありません。これは物価上昇率が20%ということになります。 消費者物価の上昇率は2~3%程度ですが、物によっては指数以上の物価上昇を見せているものがあります。

 仮にあなたがどら焼きを食べたいなら、100円を預金に預け104円になってから購入するよりも100円で買えるうちに買ってしまった方が良い可能性があります。どら焼きが120円になってしまったらもう買えないからです。

 日本では長らく「もう買えない」という現象は起きませんでした。デフレまたはディスインフレ時代だったからです。不動産都価格こそ都心を中心に値上がりをしてきましたが、同時に住宅ローンの金利は下がっていきましたので、お金を借りれば買えるという状況が続いていました。
 そもそも借金をして買うのであれば、「もう買えない」という状況は起きにくくなります。


 日本人の消費意欲が弱いのは、「どうせいつでも買えるさ」という気持ちが要因の一つだと私は思っています。

 円高の時に海外旅行に行った際には日本人も爆買いをして帰ってきます。
 それは旅行中というタイムリミットの中で円高ゆえに海外のものを安く買うチャンスをしっかり活かしたいからです。
 コロナでマスクがなくなったように、日本人の消費行動も、本気を出せばそれなりです。物価を押し上げる力があるでしょう。

 金利がある世界、すなわち物価上昇がある世界では買うのか買わないのかという判断をデフレ時代以上に真剣に考える必要があります。そして、物価上昇に資産を追いつかせるために投資投資をする必要があります。

 つまり金利がある世界では結局、使うか投資をするかが選択肢となり、預金するという選択は得策とならない可能性が十分にあるということになります。


 今、生活費が年に500万円かかっている人は、年2%の物価上昇率で計算すると、30年後に生活費が900万円に跳ね上がります。金融資産は2%で運用して初めてトントンの価値ということです。運用しなければ、価値が半減します。「預金金利が上がった」と喜んでいる場合ではありません。


 金融リテラシーがある人とない人で格差が広がりやすいのが金利や物価上昇がある世界です。学校教育では投資教育を今よりもっと手厚く行った方が良いでしょう。
 仮に、日本がデフレに戻ったとしても、金融リテラシーがあって無駄ということはありません。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が
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