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夜中

2005年7月

母の実家は古い2階建ての木造の家で、私は両親と弟と2階の寝室で寝ていた。
でも、なぜだか夜中の3時頃に私は起きて、1階の祖母の寝ているリビングに行く。すると、祖母は私が来るのを分かっていたかのように同じタイミングで目を覚ましていた。


「起きたんかね。」
「うん」
「ほら、布団に入り。」

祖母の寝ているリビングは和室でいつも家族で食事をする部屋だ。大きなアップライトピアノとTVが置いてある。私と弟のおもちゃも。祖母のものは何も無い部屋で祖母は寝ていた。

廊下の方に頭を向け、ピアノに足を差し出し2人横に並んで寝た。扇風機が弱で回り、心地よい風が体全身に流れた。

私は幼い頃から母の二の腕を触る癖があった。冷たくて気持ちいから。それだけの理由。その癖は祖母にも発動したが、祖母は嫌がることなく私より先に眠った。いびきもかかないので、私にとっても快適な空間だった。
ちょっとだけ嫌だったことといえば、別の部屋で寝ている祖父の大きないびきが薄く聞こえてくることくらいだ。


そういえば、私が降りてくると祖母はいつもTVをつけていた。理由は聞いていない。

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