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story 仲間

12月。あと1週間でクリスマスだ。最近尾島先輩から連絡がないからこっちから連絡してみたけど繋がらない。いつもなら必ず折り返しが来るのに。俺はセフレのサヤと付き合う事になった。元々頻繁に会っていたからこれと言って変化は特にないけど。                   成塚も出所してきて隣町のメンバーも秀人以外はみんな社会復帰したからみんなで飲み会を開いた。隣町の一個上の先輩の親が経営してる居酒屋がお馴染みだ。全員未成年と分かっててもバンバンお酒出てくる。笑もうお決まりイベントみたいになってる。みんなどんちゃん騒ぎだから店は迷惑だろう。天野先輩は出てきて速攻で15マジェスタ買ってた。年明けの引退集会でもうバイクは卒業するみたい。高橋は出所して早々パンチパーマだし反省の色無しだ。笑 俺は暴走族じゃないけど隣町の先輩達や友達はみんな迎え入れてくれる。高一の時に提灯祭りでぶん殴られた2個上の鎌田さんと言う人だけは未だに苦手だけど一個上の天野先輩達の代になってからはよく一緒に走ったり飲んだりさせてもらってる。天野先輩に尾島先輩との一件を話しして連絡を取ってもらったがやはり連絡が付かないみたい。どうしたんだろう。。                   深夜0時過ぎ。みんな居酒屋で酒をたらふく飲んで酔っ払ってきた。俺もレモンサワー2杯とピーチウーロン、コークハイボールを1杯ずつ飲んだ。「よっしゃー、みんなでカラオケ行こうぜ🎤」と一個上の先輩が言い出して総勢12人でカラオケに行った。パーティ用の部屋を用意してもらってまたみんな酒を注文。カラオケに来たのに歌うより酒がメインだ。乾杯一気が基本だけど俺も含み大体のやつは酒をこぼして服に吸わせてる。笑だからテーブルとか床は酒まみれだ。隣町の成塚と同じ中学の番長だった川野という奴がトイレにいったきり帰ってこないので様子を見に行く事にした。 個室をノックし「もしもーし。無事ですか?」と俺が言うと吐いてる様子だから上から覗くと便器に顔を突っ込んでもう愛し合ってる。笑 それをみて俺も吐きそうになって戻ろうとするがその場で吐いてしまった。最悪だ。笑 飲み過ぎた。。カラオケでの飲みも3時くらいまで続いてようやく解散となった。みんなタクシーや徒歩で帰って行く。俺も少し遠いが酔い覚ましにこの日は1時間かけて歩いて帰ることにした。飲み過ぎて完全に2日酔いだった俺は翌日ほとんど寝て1日が終わってしまった。目が覚めると日曜日の夜8時。半日以上寝ちゃってたみたいだけどここからまた俺の一日の始まり。地元のリョウと竹田と3人でブンブン流す。馬鹿だから冬でも寒さは大して感じてない。朝方まで外で過ごしてそのまま寝ずに月曜日の仕事に向かう。

久々の成塚と同じ現場で一緒に働けてすごく楽しく感じた。社長も成塚が帰ってきて嬉しそうにしてる。やっぱり成塚と一緒だとお互い負けず嫌いだから張り合いがある。仲間って良いよね。俺は超超ロングという通常よりダボダボ感ある作業着が最近多い。作業着でモチベーションアップしてるしカッコつけて着てる。服と同じ感覚だ。 現場が終わって1ヶ月ぶりに成塚と仕事終わりの焼肉を食ってる。仕事終わりの焼肉とビールは最高だ。17歳なのにオッサンみたい。いや、背伸びしてただけかも。笑              クリスマスは彼女のサヤと動物園のイルミネーションに行った。プリクラ撮ってイルミネーション見てラーメン食ってお泊まりコースだ。サヤは俺と付き合ってからは喧嘩したりすると嫌がってたけどいつもニコニコしててなんか俺も嬉しい。受験に向けて柄にもなく勉強し始めてるみたいだけど教えてあげる事が出来なくて残念だ。笑 クリスマスも終わってあっとゆー間に年末が来る。 

リョウから突然電話が来た。「龍二、俺ら竹田にハメられた」どーゆー事か聞くと竹田は俺達と地元を流す時、集合場所にパトカーを呼んでいたらしい。笑 考えてみれば確かに竹田は毎回遅刻してくるしパトカーに張り付かれてる事多いなーなんて思ってたけど。まさか毎回通報されてるとは思わなかった。聞いた時思わず笑ってしまった。ただリョウに関しては信用してた分怒りが湧いてきてしまったみたい。さっそく竹田を呼び出す事にした。俺達は集合場所の駅ロータリーから少し離れた所の駅の階段で待っていた。少しするとやっぱりパトカーが赤灯回してパトロールに来た。確信犯だ。笑 けど俺達をなんで逮捕させたいんだろう?というのが疑問である。ただ裏切られたという事実は変わらない。          少しすると竹田がいつも通り遅れて合流してきた。俺とリョウはいつも通り竹田と接して地元をいつものように流した。恐らく通報とは別のパトカーに追いかけられるが3人ともうまく撒く事に成功。そのまま少し走って「ちょい、一旦止まろう」と俺が言っていつもとは違う公園に停車した。竹田もいつもと変わらず自然な感じだ。俺達に通報がバレてるなんて微塵も思ってなさそう。

少し経ってリョウが切り出す。「竹田さ、俺らの事チクってる?」すると竹田は「は?なんの話?」ととぼけてるけど少し動揺してる様子。「俺、お前の携帯の発信履歴たまたま見ちゃったんだよね。どーゆー事だよ?」とリョウが問いただすと竹田はいきなりリョウを殴ってそのまま走って逃げようとした。笑「おい!なに逃げてんだよ!」とリョウが竹田をぶん殴り返した。2人でタイマンみたいになっていた。俺は揉み合う2人に割って入ってリョウに加勢して竹田をボコボコにした。大人しくなったので「んで、どーゆー事?」今度は俺が問いただす。とうとう竹田は口を開いた。内容は俺とリョウが仲良しで竹田だけが除け者にされてる気分で気に入らなかったとの事。事実、俺は竹田を心の底から認める事は出来てなかった部分もある。それでも裏切りは裏切りだ。「なんだそれ?テメーなめてんのかよ!」リョウは容赦なく腹に蹴りを入れた。「君達、なにをやっているんだ!やめなさい!」後ろから3人の警察官が走ってきた。恐らく近所の住人が通報したみたい。終わった。。俺とリョウはその場で取り押さえられ警官に投げられた。笑そして2人して手錠を掛けられてパトカーに乗せられてしまった。竹田もパトカーに乗せられ警察署に連行された。俺もリョウも全く納得が行かない。時間も深夜1時だし補導対象にもなってしまった。警察署に到着すると3人とも別々の取り調べ室に入れられ、事情聴取される。俺は9ヶ月前に傷害で鑑別所に入った事もありかなりナーバスだ。俺はありのままを全て警官に話した。「もう遅いからとりあえず今夜は泊まって行きなさい」と言われ、留置所とは別の部屋に案内してくれた。鉄格子じゃなく普通の部屋だ。毛布を渡してくれたのでそのまま寝ようと目を瞑ると余計な事を考えてしまう。竹田に対する苛立ちと逮捕されたくないと言う思いがある。気付くと眠っていて警官に起こされ目が覚める。「中島龍二、今日は帰って良いぞ」どうやら逮捕は無いようで一安心だ。正当防衛でお互い手を出してるし不良同士の小競り合い程度で話がまとまったのかな。俺は警察署から出ると凄くホッとした。親に連絡をして迎えにきてもらい昨夜の公園に単車を取りに行った。笑 リョウと竹田の原付はまだある。そのまま単車で家に帰宅してまた爆睡した。目が覚めるとリョウから大量の着信。無事、釈放されたみたいだ。折り返し電話すると「龍二、今から竹田んち行こうぜ。俺、納得いかねーよ」リョウは全く熱が冷めてないみたい。よっぽどショックだったんだろう。親には家から出るなと言われたが無視して単車のエンジンかけて出発した。リョウといつものセブンで合流した。リョウと竹田は昼まで取り調べで竹田も釈放されたらしい。                 竹田に電話をしても繋がらないらしくそのまま竹田の家に向かった。到着して原付もあるし部屋の電気もついてる事を確認して鬼電したがやはり繋がらない。1時間くらい待っても出てこないからチャイムを鳴らすと母親が出てきた。      「竹田くんいますか?」俺が聞くと「いません。帰ってください」と言われる。リョウが「いないわけねーだろ。原付あんだろ」と言うと母親は「あなた達はなんなんですか!もう帰ってください!警察呼びますよ!」と大きな声で言われた。すぐにまたパトカーが2台来てしまう。「うるせーんだよババア‼︎なに警察呼んでんだよ!」とリョウが竹田の母親の足をカッターで刺してしまった。。最悪なシナリオだ。。俺は「テメーなにやってんだよ馬鹿野郎!」と言ってリョウをぶん殴る。そしてまた俺達は警察に取り押さえられ俺は諦めて暴れる事もなく素直に手錠を掛けられた。今度こそ現行犯だ。。武田の母親は蹲っている。そのまま俺とリョウはパトカーに乗せられ2日連続で警察署に連行されてしまう事になった。   パトカーで警察署に向かう途中、俺は頭が真っ白でどうする事も出来なかったが今回は間違いなく俺もリョウも逮捕だ。まさかこんな形になるなんて予想もしてなかったな。。

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