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story 人助け

桜も散り5月が訪れた。            赤色に染めた髪の毛はやはりしっくりこなくて金髪に逆戻りしてた。             誕生日の3ヶ月前から車の教習所に通えるみたいで俺は再び教習所通いがスタートした。単車の免許を持っていると学科免除みたいでラッキー。教習所の雰囲気ってなんか好きだな。単車の免許とは違って同年代の可愛い子もたくさんいるし。教習所の教官は話上手な人が多くてなかなか面白い。仕事をして教習所に行き充実した日々を送れてるが夜暇になったりするとやはり衝動的に暴れたくなって街に出ていった。最近地元では俺達の単車の音を聞くだけでその場を急ぎ足で立ち去るヤンキーを見かけたりした。笑 もちろん原付とかに乗っていたら追いかけて止めて誰かれ構わずブッ飛ばす。いつもリョウがストッパー役になってくれて途中で俺を止めてくれる。        寂しさからなのか何がそうさせてるのかは分からなかったが1人、手も付けられないほど荒れた。                    彼女のサヤとも喧嘩が増え全てのストレスをぶつける場所がたまたま夜の街だったのかもしれない。                    また今日もリョウと2台で地元を流してる。最寄りの駅前にタムロしてる3人組を発見。最寄りは同じ中学なので大抵誰かは分かる。一個下の藤野達だ。俺がミニストップでぶっ飛ばした小野もいた。                    「お疲れ様です。」3人とも立ち上がって挨拶をしてきた。「おう、久しぶりだな元気してっかー?」後輩とかはいなかったけど唯一この藤野という奴だけはなんとなく好きだった。同じ中学のやつでも俺たちに声を掛けてきてくれるのはこの藤野くらいなものだったしね。        藤野の話によると俺達は地元では嫌われ者みたいだ。笑 関わらない方がいいって他の中学だった奴らも言ってるらしい。それも仕方ないよな。笑そのままその日は藤野達と合流して地元を5台で流した。 この日から藤野とはちょいちょい一緒に走るようになっていった。

ある日藤野が俺に相談してきた。どうやら地元の俺達より1つ年上でリキというやつにカツアゲされてるらしい。原付で走り回ってるから目を付けられたみたいだ。同じ様な経験があった俺はこんな弱い者いじめが許せなかった。面白いイベントが出来たと思い藤野に呼び出してもらう事にした。                    深夜1時夜の公園で待ち合わせ。6人で街灯の下でタバコを吸って待ってると黒のセドリックが入ってきた。乗ってるのは2人組でリキというやつは堂々と降りてきて俺の姿を見て藤野にこう言った。 

「おう、中島か。こんなとこで何してんだよ。藤野と仲良かったん?」こんなこと言ってるから俺がこう言った。               「俺の後輩いじめるのやめてくれません?」リキはいじめてなんかないと言って帰ろうとしてる。「あれ、今日は金いらないんすか?」と俺が言うと「は?お前に関係ねーだろ。藤野テメー生意気に呼び出しやがって後で覚えとけよ」なんて捨て台詞吐いてるから髪の毛掴んでいきなりぶん殴ってやった。リキはそのまま転んだので腹に蹴りを入れた。もう1人の相方は見てるだけで何もしない。笑                   「中島、ちょっと待ってくれよ!悪かった。もうお前の後輩にちょっかいなんて出さねーよ」と言ってきた。関係なく俺は髪の毛掴んでバンバンバンっと3発顔面パンチを入れてこう言った。   「弱いもんいじめみっともないっすよ。反省してんなら今裸になって藤野に土下座してくださいよ」深刻そうな顔した藤野たちを横目に一緒にいたリョウは笑ってる。            するとリキはほんとに服を脱ぎだして夜の公園で全裸になって俺に土下座してきたので「謝る相手ちげーだろ!」と顔面にまた蹴りを入れた。そして藤野に土下座してる。リョウはそれを携帯で撮影してるしなんとも悪趣味だなと感じた。俺はなんだか情けなすぎて悲しくなってきてしまった。藤野は「龍二先輩、もう大丈夫です」と俺に言ってきたので財布の中の5千円を全て奪って藤野に手渡した。                 「もう藤野には2度と関わんないでもらえます?もし関わったら写メ、ばら撒くんで」と言ったら「わかったよ、もう近寄らねー。だからそれだけは勘弁してくれ」と言ってきた。       「わかりました。約束なんで破ったら次はこんなもんじゃ済まないんでよろしくです」と伝えてリキ達には帰らせた。リキは服を抱えて急いで車に乗って走り去っていく。           俺達はそのまま少し公園でタバコ吸いながら話をした。「龍二先輩、ありがとうございます。」なんて藤野は言ってきたから「なんかあったらまた言えよ」と返した。何故か優しくしたくなるやつだ。同じ暴力でも人を助ける暴力はなんかいい事をした気分。結局は暴行だけど。笑

こんな事ばっかりしてるから噂が広がって地元では怖がられて仲良い人以外は大抵俺達を避けてるんだろう。自覚はある。けどモヤモヤはしばらく続いてこの後も喧嘩三昧の日々が続いた。

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