story 職質の嵐
相変わらず朝方まで遊んで寝ずに働いての繰り返しの毎日。同じ会社で隣町の成塚は突然仕事に来なくなりもう1週間になる。連絡も付かずに秀人や高橋にも連絡したが繋がらない。。暴走族を抜けた安田というやつに連絡してみると集団暴走で逮捕され鑑別所に入ったと聞かされた。成塚は俺と2人で起こした傷害事件に続いて2度目の鑑別所だ。暴走族の集会でとうとう警察に検挙されたらしい。成塚や秀人や高橋など隣町の現役のメンバーほとんどが逮捕されてしまったみたいだ。
秀人に関しては傷害と窃盗が重なり3件でほぼ確実に少年院行きとなる可能性も高い。頻繁に会っていた仲間たちがあっとゆー間に居なくなり、警察に友達を奪われた様な感覚を覚えた。仕事は楽しく出来ているからもちろん続けてるが成塚がいるのといないのじゃ全然違うよな。俺が今塗装屋として頑張れてるのも誘ってくれて日々競い合える良きライバルがいての事でもあったんだなと気付かされた。
仕事が終わり隣町の会社から単車で地元に向かう途中後ろから何度もパッシングをされる。信号待ちで止まったので降りていって引きずり下ろそうかと考えてるとまさかの尾島先輩。笑 「龍二〜。なーに喧嘩しようとしてんだよ笑」と笑われた。必死に気付いてましたよ感を出したがバレバレだったみたいだ。笑 シーマのケツを持つ形で車の後ろを走って地元に戻って駅前のコンビニに寄った。 「今日も都内行くから付き合えよ」と言われ大好物のレモンティーを手渡された。俺にとってレモンティーはコーラと同じくらいに大好物だ。セフレのサヤと会う約束があったが「先輩からの誘いだから」と断り尾島先輩には一言返事で「今夜も都内行っちゃいますか〜」と返した。一服して少し話してから一旦家に戻りシャワーと着替えを済ませて今夜の予定も尾島先輩となった。お気に入りのアルマーニの白パーカーにデニムというコーデ。今日はばっちりとキメて行けるしルンルン。「失礼します」と尾島先輩のシーマの助手席に乗り込み都内に向けて出発した。夜飯は焼肉をご馳走になった。たらふく食べて腹もパンパンで睡眠不足もあってか俺は道中に眠ってしまった。 目が覚めると警察に窓をコンコンと叩かれて目が覚める。周りを見渡すと都内のガソリンスタンド。職務質問だ。どうやらスタンドで給油中に通りかかった警察官が近付いてきたみたい。人生で初めての職務質問に戸惑う俺に「身分を証明できる物を出せ」と警察官が言ってきて補導されると思っていたら横から尾島先輩がスッと俺にカードを手渡してきて俺はそのままそれを警察官に手渡した。警察に間違いないかと事実確認され確認すると俺とは全く別の名前が記載された保健証だったが「間違いない」と俺は答えた。2人とも体をベタベタ触られ持ち物まで全てチェックされた。人生初の職務質問だがそれだけ怪しく見えたんだろう。なんとか職務質問をクリアしてまた車を発進させた。また少し走って池袋のサンシャインを通過する時また警察が赤灯を回して路肩に寄せろとスピーカーで言われ止められる。またもや職務質問。俺はなんだか今日は変な日だなと感じてた。しっかりと2度目の職務質問をクリアした俺達はそのまま六本木に向かった。都内の夜は職務質問の嵐だ。夜の車からみた東京はギラギラして見えてとても綺麗な街並み。東京タワーが見えて来る。小さい頃、家族と登った記憶がある。赤く光って上に向かって真っ直ぐ伸びてる様がカッコよく見えて「またいつか登りたいな」なんて考えてた。 街の落書きよりも夜の都内をドライブするのが今は1番楽しい。なんか大人の遊びって感じ。
六本木駅前を通過して狭い道をグルグルと走って洒落た住宅街に停車した。 「ちょっとタバコでも吸って待ってろ」尾島先輩はそう伝えて車から降りていった。俺は言われた通り車の中でタバコ吸って待ってるとなにやら尾島先輩は少し離れた所で誰かと話してる。その人は自分達より全然年上に見える。30代くらいかな。 少し話をすると尾島先輩は戻ってきて今度は新宿に移動すると言う。また新宿かよ。。顔に出たのか「歌舞伎町は行かないから心配すんなよ」と言われた。そして3週間連続の新宿に到着。ドンキホーテの前に路駐をしてまた尾島先輩は車から降りて歩いていった。ぼけ〜っと外を眺めて待つ事30分。尾島先輩が戻ってきた。今度はオフィス街のある西新宿。深夜0時を過ぎていたがチラホラ人がいる。 「龍二、1人ぶっ飛ばすから手伝ってくれ」先輩命令なので断る事は出来ない。。2人で車から降りて車の前で一本タバコを吸う🚬立ち並ぶビルを見上げて俺はこの先の展開を妄想してた。「また捕まるのかな〜」なんて考えてる間に吸い終えた。ビルの間を2人で抜けて裏通りに歩いていく。人通りはパタっとなくなり1人の男が誰かと電話をしてる。後ろから2人で近付いていきなり尾島先輩が相手の足を警棒でぶっ叩いた。不意打ちを喰らった相手は足を抱えて倒れ込んだ。さらに相手の顔を蹴っ飛ばして馬乗りになって殴ってる。「龍二、バック取って車戻ってろ」と尾島先輩に言われ俺はそいつのバックを無理矢理奪い取り急ぎ足で車に戻る。 バックの中身を物色してると札束パンパンに入ってる。100万の束が6個だ。少し目が眩んだが素直に尾島先輩の帰りを待つとすぐに戻ってきた。車を発進させて再度新宿の駅前ドンキホーテに車を停車させた。そして奪い取ったバックを持ってネオンの中に消えていく。また30分くらいして戻ってくると俺に「さんきゅーな」と10万を手渡ししてきた。嬉しさというより驚きが大きかった。 この日はこれで地元に戻ることになった。 帰りの道中、俺は急遽手にした10万円を何に使おうかだけを考えてそのまままた眠りに付いてしまった。ただのカツアゲみたいなもんだと軽く見ていたんだ。この時までは。。。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?